ヘレナさんに説明してもらおう
この後、魔法の授業で使う部屋に移動して実証実験をするらしい。
「その前にヘレナ、説明を」
「ソフィアちゃんには難しいんじゃない?」
「大丈夫よ」
と思ったけど移動する前に実験の意義を教えてくれることになった。
まあ、お母様にあらかじめ頼んどいたんだけどね。
魔法の発動で一番大切なのは、想像力だと思う。
その想像力をより強固にするのが意思だ。
常に完璧な魔法を思い浮かべられれば何も問題は無いけど、常に最高のコンディションを保つのは難しい。
ちょっとでも「できないかも?」と思ったらできなくなる。
魔法は繊細なのだ。
自分でも他人でも、「できる!」と強く思える要素は多ければ多いほどいい。
他人が使えるから自分も使える。
誰かができると確信してるなら、できるんだー、と思う。
魔法の発現が理論で説明出来るなら、聞きたいと思うのは当然だ。
むしろ魔法のキモの部分だけ仲間はずれになんてされたら協力してる意味がまるで無い。
お母様に呆れた目を向けられても、あからさまな溜め息をつかれても、ちょこちょこ入るお小言も、全スルーしてまでお母様に新魔法の開発の様子を見せたのはこの時のためと言っても過言ではない。
ここは間違いなく、魔法を制する者が世界を制す世界。
自衛の力はいくらでも欲しい。
折角美人に生まれ変わったんだから、前世みたいにあっさり死にたくないからねっ!
「えっと……ソフィアちゃん? 聞いてる?」
「……すみません、聞いてませんでした」
なんで私ってこうなんだろうか。
バカは死んでも治らないって私みたいに転生した誰かの実体験だったのだろうか。
頭脳は大人、体は子供状態で頭脳も身体も超優秀なはずなのに、なんで私はこんなにおバカなんだ……。あれかな、成績のいい馬鹿ってやつかな。
すごくスペックの無駄遣いしてる気がする。
もうちょっと頑張ろ。
「ソフィアは頭は良いけど魔法の基礎知識が無いからね。学院の生徒と同じような説明じゃ分からないのも無理ないわ」
「そっか、そうよね。ごめんなさい、気が回らなくて」
「いえ、その……すみません」
ただ聞いてなかっただけです。
悪くないのに謝らせちゃって申し訳なく思うけどわざわざ指摘することもできない小心者でごめんなさい。
次はちゃんと聞くから許して欲しい。
「じゃあ、もう一回最初からね? そもそも、魔法の発動プロセスとは――」
ヘレナさんのありがたい講義が始まった。
お母様のソフィアおバカセンサーは不調なようです。
久しぶりに友人と会えて嬉しかったんですね。