表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
508/1407

権力って……いいかも


 (ソフィア)は切り札を使った!!


「昨日はリチャード先生と国王陛下に会いに行ったんだけどね」


 特殊な効果を持つ呪文を詠唱!


 鍵となる言葉(キーワード)、「陛下」の効果により理性値が回復!

 クラスメイトたちは理性を取り戻した!


 鍵となる言葉(キーワード)、「陛下」の特殊効果により属性「貴族」を持つ者に自戒の効果!

 クラスメイトたちは落ち着きを取り戻した!


 ざわめきの減った教室に、切り札の真の力が迸る(響き渡る)!!


「女神様の事は、基本的に陛下の許可が無いと話せない事に決まったから。だから聞きたいことがあったら陛下に聞いてね?」


 特別な意味(スペシャル)を持つ言葉(・ワード)、発動!


 鍵となる言葉(キーワード)、「陛下の許可」の効果により条件を満たしていない「国民」全てに沈黙の効果!

 クラスメイトたちは一斉に口を(つぐ)んだ!


 ――教室は静かになった!!



 テッテレー。


 権力って、やっぱすごいわ。

 虎の威を借るだけの簡単なお仕事って素敵だね。


 拘束も緩んだようなので速やかに自由の身を取り戻し、ぴしりと固まってしまったクラスメイトたちを掻き分け左方面の見通しを良くする。そうすればすぐに生け贄の任を全うして散り果てた亡骸が見つかったので、とりあえず生存確認を試みてみた。


「カイルー。生きてる?」


 一声掛ければあらふしぎ!


 ブラックな残業で疲れ果てたサラリーマンみたいだったカイルが、美少女の一声に活力を得て生きる屍となって復活するんですねーまあ素敵! これが美少女の力よ!


 って、実は、本物の社畜なんて見た事ないんですけどね。てへり。


「おおー……。お前来るのおっそいんだよ……」


 そしてゾンビさんのこの返事よ。

 助けてやったのに全くなんて言い草だろうね。


 今日の私の機嫌が良くなかったら、君は今頃更なる追撃を食らっているところだと理解しているのかね? んん?

 と弄りたくもなるところだけど、なんだか本当におつかれのようなので今日のところは勘弁してあげることにした。


 海よりも深い慈悲に泣いて喜ぶといいと思う。


「つかそんなことになってんだったら、真っ先に来てみんなに説明しておけよ……」


 だが慈悲を与えられたはずのカイルは机に突っ伏したまま恨み節を言うのが精一杯らしく、まるで元気がない。いつもの生意気さが嘘のようだ。


 まあみんなの様子とカイルの疲れ具合を見れば、()もありなん、って感じかな?


 実はみんなが気にしてた女神様の件。女神様の意向によっては情報全公開って話もあったんだけど、王様やお母様と話し合った結果、やっぱり秘密にしとこうかって事に収まったんだよね。


 だって女神様って、アレだよ? イタズラで授業中の教室に降臨したり、胸にコンプレックス持ってる女の子に爆乳を見せつけて楽しんでるような、アレな性格なんだよ?

 これはもちろん、別に私が貧乳に劣等感を抱いているって話ではないんだけどね。


 いくら本物の女神様に難があろうと、私たちが真実を秘匿する限り、幻想を抱いてる人にとっての女神様はいつだって理想的で神秘的な人類の守り手であるわけでして。


 そちらの方が良いだろうって、正に幻想を打ち砕かれて微妙な顔した王様がね。言うもんだからね。そう決まったんだよ。

 現実って厳しいよね。


 で、そんな話し合いをしてたから昨日の午後は学院に戻る時間はなかったし、帰ったら帰ったでお兄様の看病の続きという重大なお役目があったから忙しかったし、あとはまあ、なんだ。

 ……偽乳の魔法の研究も、少しは……ってこれはいいんだ。少し夜更かしする原因になっただけだから!


 ……ともかく!


 昨日女神様が現れた時点でこの状況になるのは予想出来てたはずなのに、バカ正直にいつも通りの時間に来たカイルが悪い! 私、悪くない!

 その証拠に、カレンもミュラーもいない……って、ちょっと待って。


 ………………カレンちゃん、トイレにいるね?


 さらっと学院内で探しただけだから映像も音声も拾ってないけど、これ……もしかするの?


 思えばカレンちゃんは、当然カイル以上に真面目で、その真面目さがおもしろかわいい系のキャラでとっても魅力的な子なんだけど……。


 私は恐る恐る、カイルに尋ねた。


「カイル……。カレンって、もう来てたりする?」


 ぴくり、と肩が動く。


 それまでずっと顔を伏せたままだったカイルが、気まずそうな顔でこちらを見た。


「……トイレ行くって言ったきり、帰ってない……かな」


 守れよぉぉ!! カレンちゃん守ったげてよぉぉおおお!!


「いやー私達も、ちょっとやりすぎたっていうか、ねぇ……?」


「無理に聞き出したわけではないのだけれど……」


「カレンってなんか弄りたくなる雰囲気あるんだよな」


「バッカ、今そんなこと言う話の流れじゃなかったでしょ!?」


 カイル同様、気まずそうなクラスメイトたち。


 反省はしてるみたいなのが不幸中の幸いかな。


「えーっと……。とりあえず、カレンを迎えに行ってくるね?」


 強い言葉にならないよう言葉を選び、それだけを言い残して。


 私はカレンのいるトイレへと向かったのだった。



 ……脱出成功とか、思ってないよ?


「俺に、陛下に聞けと言うのか……。女神様のおっぱいの真実を……!」

笑顔で絶望を告げられたはずのおっぱい君は、何故か漢の顔をしていたとか、いないとか。

陛下に謁見する為には偉業を為すのが手っ取り早い。

そう、彼のサスセスストーリーはこうして始ま(始まりません)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ