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み、味方がいない……


 私の提供した丸パンとカレンちゃんのお弁当をみんなでつまみながら、私達は先程のことを話していた。



 神秘の魔法、アイテムボックス。


 女神様と似た魔法を使う私を、みんながどう思ったのか。

 もしかしたら、未知の魔法を使う私に恐怖を抱いたかもしれない。もう今までのようには話せなくなるかもしれないと、心配をしていたのに……。


 いたのに……ッ!!


「ソフィアだからな」


「ソフィアが何をしたってもう驚かないわよ」


「あはは……」


 この反応ですよ。


 いやね、この反応だけだったら私も「あははーだよねー」でいいのよ?


 納得いかないのは、アイテムボックス内からシンが放ってた破壊光線。あれも私の魔法だと認識されてるっぽいこと!


 確かに傍から見れば私が女神様に向かってビームを発射してるようにも見えたでしょうよ。でもね、違うの! ビームは私のじゃないの!


 私がしたのは、言わばハムスターを閉じ込めてた袋の口を開いただけで!

 その中からおしっこが飛んできたからって「あ、ソフィアがおしっこした」ってならないでしょ!? ハムスターのおしっこでしょそれ!

 そこの違いは大きいでしょって言うのに、みんなは「でもソフィアだってできるでしょ」って、できるかどうかじゃないでしょ! 大事なのは、やるかやらないかでしょう!!? 私は破壊光線とかそんな危ないの、考えたことも……、……シンが使うのを見るまで考えたこともなかったよ!


 甚だ不本意である!


「だからね。あの光は、本当に私のじゃなくて」


「またその話? はいはい、分かったから。あの光はソフィアのじゃなかった」


「つーか何がそんなに気に入らないんだ? 神様を捕まえるなんて、普通そっちの方を否定するもんじゃないか? お前自分の非常識さ考えろよ」


「ソフィアがどれだけ非常識でも、私たちはソフィアの味方だからねっ」


 何度言ってもまともに取り合って貰えない。


 それと、なんでだろうね。

 唯一私に優しく接してくれてるはずのカレンちゃんの言葉が、一番胸に刺さるんだ。


 あとカイルは今度殴る。


「神様の件は不幸な事故だったの! 私だって捕まえたくて捕まえてた訳じゃなくて、ああでもしないと家を壊されそうだったから仕方なく……」


 当時の状況を思い出しながらカイルの言葉に反論を重ねていく。


 そりゃ神様誘拐なんて非常識と言われても仕方ないかもしれないけど、こっちにだって事情ってものがあったんだ。あんなの誰が好んで捕まえに行くかっての。放せるもんなら放してたさ!


 バーカバーカ、カイルのバーカ。と心の中であかんべーしていると、その心の動きを読んだみたいに盛大な溜め息を吐かれた。そして「お前って、ホント……」とまた溜め息。


 どうせ濁した言葉の先もまた私を(けな)す言葉を言おうとしてたんでしょ。でも言えば私が食ってかかるからって濁したんでしょ。この根性無しー!


 カイルってホントむかつくうぅぅ!! と睨んでやったら、髪をくしゃってやってカッコつけてたカイルが顔を上げて、心底哀れむ様な視線で私を見てきた。


 ムカつくからその顔やめれ。


「あのなぁ。お前がほんっとーに理解してないみたいだから教えてやるよ。いいか? 勉強はできるくせに頭の悪いソフィアでも、こう言えば分かるか?」


 どんだけ煽り倒してくるんだ。


 さっき二人の前でカイルのかわい〜い過去を暴露したのがそんなに恥ずかしかったのかな? それで反抗的なのかな? 実は照れ隠しなのかな?


 仕返しのつもりなのかもしれないけど、そんな頭の悪いソフィアちゃんに勉強で負けてるカイルくんは、一体どんなことを教えてくれるっていうのかなあ? 楽しみだな〜。


 と、私が余裕綽々でいられたのはそこまでだった。


「俺がお前を非常識って言ったのは、()()()()()()()ってことをお前がなんとも思ってないからだよ。『捕まえる気なんてなくて〜』じゃねぇよ。なんで神様を捕まえるなんて発想が出るんだよ。普通は捕まえようなんて考えねぇし、万が一考えたところで捕まえられるものでもないんだよ」


 ……一瞬、思考が固まった。



 ………………カイルの言うことにも、一理、あるかも?



 なんて逃げの思考は、続く言葉で吹き飛んだ。


「お前みたいに非常識じゃない普通の人はな。神様の決定に逆らおうなんて思わないんだよ。仕方なく捕まえた〜とかねーの。分かる? 分かりましたかぁ?」


 私が怯んだとみるやここぞとばかりに見下してくるカイルのこの楽しそうな顔。さーぞかし楽しいんだろうねーあははははー。


 ムっカつくうううぅぅぅぅぅ!!!


「カイル……大人げないわね」


「ソフィア程じゃないだろ」


 んなわけあるか。どうしてカイルはそう私に失礼なんだ。


 悔しさに文句のひとつも言ってやりたいところだけど、しかしカイルの指摘した事が完全に意識から抜け落ちていた私に、反論の術はなかった。


 そして、なんとか反撃の芽を……と頭を巡らせている最中。私は信じられない言葉を聞いた。


「ソフィアは、ほら……見た目はまだ子供だから」


 ……!?


 ミュラー、お前もかー!!?


「自律式ロボット……破壊光線……。それに、敵のビーム攻撃を吸収して……?」

ソフィアの玩具がまた進化しそうだった。

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