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誘拐の罪悪感は消えた


 正当防衛ってあるじゃん。自分の身を守る為に仕方なく〜ってやつ。


 だって神様の一撃だよ? 一撃必殺だよ? 天からの目にも留まらぬ不意打ちで反射的に防げたのが奇跡みたいなものだったんだよ? 不可抗力だよね?


 しかも私は、その攻撃をあのバカでっかい魔物が放ったものだと思っていて、まさかあれが神様のすてみタックルとか思いもよらず……災厄の魔物と同じアイテムボックスに隔離……そのまま数日放置……。


 以前マリーに実験台になってもらったところ、アイテムボックスの内部は時間の流れが独特になってるみたいで、外での一時間がまるで一瞬のようにも数年のようにも感じられるらしい。


 つまり運が悪ければ、神様の体感時間的には百年以上も閉じ込められてた感覚になってる可能性もあるわけで……。


 出したら怒られそうだから、いっそこのままにしとくのはどうかと提案したらリンゼちゃんに「ならソフィアがそう言っていたとアイリス様に報告してくるわね」と真顔で言われ慌てて取り消した。

 お母様を出すのはずるいと思う。



「なんでもいいから早くしてくれない? 私も眠いのだけど」


 神様誘拐なんて事実を認めたくなくてうだうだしてたらリンゼちゃんに急かされた。


 私だって眠いよ。

 二人とも眠いんならこの件明日に回して良くない? と思うんだけど、わざわざ起こされたってことは良くないんでしょうね。


 分かったよ。分かりましたよやりますよー。


 でも万能と自負する私のアイテムボックスでも、たった一つだけ欠点があってだね。その問題点を解消しない限り安易にアイテムボックスを開くわけにはいかないんだよね。


 ほら、神様を助けようと思ってアイテムボックス開いたのに代わりに災厄の魔物が出て来たら困るでしょ?


 倒したよーって報告されたはずの災厄の魔物が報告者の家から突如出現! なんて事態になったら反逆者コースまっしぐらだからね。


 とかとかそんな事を考えてうだうだしてたんだよーとリンゼちゃんに報告すれば、そんな心配は無用だということだった。


 神様と災厄の魔物を同じ空間に入れて置いて放置されてるわけないでしょうって。

 それはまあ、そうかもだけどー。


 でもサイズ差とか、耐久力とか……あれって滅ぼせるもんなの? って感じがどうしてもしちゃうんだよね。まるでスコップで山を平らにしようとしてるみたいな? 象と蟻っていうの? まあ倒してくれてるんなら願ってもないけどさ。


「確認するけど、災厄の魔物は神様が退治してくれてるんだよね? アイテムボックスの中には神様だけが残っていて、神様は人間が大好きだから怒って攻撃はしてこないんだよね?」


「恐らくね」


 リンゼちゃんの話では、神様は女神様とは違って人間が大好きだから、幼くて美人な人間である私には優しく接してくれるだろうという話だった。

 リンゼちゃんったら真顔で急に褒め出すんだから。びっくりしちゃいますようもう。うへへ。


 なんかもう聞きたいこととか確認したいこととかリンゼちゃんに美人って言われたこととか、考える事が色々あるのに、私のアイテムボックス内に神様拉致監禁中、ってのが気になってしょーがない。


 とりあえず、神様出そうね。リンゼちゃんも大丈夫って言ってるし……。


 一生封印する予定だった災厄の魔物入りのアイテムボックスへと感覚を繋ぎ、それでも念の為に小さめに。手の中で親指大の出入り口を開けた。


 次の瞬間。


 ビカーッ!! とアイテムボックスから放たれた白色光線が天井を貫通。


 呆然と見上げる天井に、焼き跡を残しながら線を描いて――もらっては困るので、すぐさまアイテムボックスを閉じた。天井には細長い穴が空いていた。あ、天井どころか屋根まで貫通してるー。この角度からだとお星様まで見えるぅーあはは☆


 っておい。


「リンゼちゃん?」


「違うのよ」


 何が違うというのか! あれ顔に当たってたら間違いなく死んでたでしょ! なんならリンゼちゃんが受けてみますかあぁん!?


 話が違うにも程がある。


 一歩間違えば大惨事ですよ! 既に大惨事だけども!!


 天井にこんなご立派な穴を開けちゃって、雨が降ったら直通じゃん! 虫がだって入り放題じゃんかー! これお母様に怒られたら全部リンゼちゃんのせいだからね! 私、リンゼちゃんに無理矢理やらされただけだって言うからね!!


「こんなの危なくて出せないんだけど?」


 問答無用で攻撃してくるんじゃ出入口も開けられない。出入口が開けられないんじゃ救出もできない。


 これもう放置決定でいいよね。

 自業自得な神様、後は自力でよろしくでーす。


「……もっと広い場所で、空に向けて開けば」


「出てきた後に私攻撃されない?」


 なんとか解放を求めるリンゼちゃんに「あの破壊光線見たでしょ? あの殺意マシマシ光線を?」と確認すれば、先程は力強く「大丈夫」とか言ってたのと同じ口から無責任な発言が飛び出した。


「………………ソフィアなら防げるわよ。きっと」


 そもそも防がなきゃいけない状況にしたくないって言ってるんですよ?


神様の小粋な目覚ましパフォーマンスによって二人の眠気は天井の一部と一緒に吹き飛んだ様です。やったね!

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