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おつかれミルクティー


 災厄の魔物を倒した後。その報告をお母様にしたら「下見という言葉の意味を知っていますか?」って遠回しに叱られた。


 でもお母様が回りくどい言い方をする時は大して怒ってはいないので、「みんなの不安を取り除くのが聖女として最優先すべき役割であると考え、その通りに実行致しました」とお仕事頑張りましたよアピールをして難を逃れた。

 聖女って案外便利な言葉かもしれない。



 しかし、想像以上に疲れた……。


 直接戦闘を行った私は、疲労を理由にして一足先に家に帰らせてもらった。


 簡単な報告はしたが、詳しい説明はお兄様が代わりにしてくれると言うので全てまるっとお任せし、お風呂後ベッドに一直線。


 今はふわふわの温もりに包まれながら今日の出来事を反芻しているところだった。


 やはり自分の部屋というのは落ち着く。

 はぁ〜〜〜、と大きなため息とともに、疲れも身体から抜けていくようだった。


「あってよかった、アイテムボックス」


 攻守に加えて普段使いでも便利って、万能すぎてヤバいね。


 いや〜〜〜でもやっぱりないわ〜〜〜。

 いくらボス級とはいえ、あの攻撃手段はないわ〜〜。


 私の油断が原因とはいえ、あの思わぬ反撃は本当に、寿命が縮む思いがした……というかあの攻撃は反則でしょ。あんだけ常識外れの巨体で注意を引いておきながら視界外から光速の一撃って、普通避けられないから。死ぬから。

「わ〜コイツ雑魚すぎ〜」って言ってた次の瞬間にはわけもわからず即死だなんて、敗北時リセットができる私以外じゃ様子見しに行った時点で死んでおしまいだと思う。


 それをまさか、リセットなしの一回目で倒せるなんて……。

 これは間違いなく、お兄様と私との愛が起こした奇跡だね!!!


 あの時は気が動転してて気が回らなかったけど、あの危機的状況を使えば「もしもお兄様を失っていたらと思うと、私……ッ! もうこの想いを秘めておくことなどできませんっ! がばちょ!」って襲いかかっても許された気がする。でも一旦時間を置いて冷静になった今から襲いかかったらフツーに断られそうな気がする。

 てかお兄様、今は王様への報告の為に家にいないし。夜這いすらできない。


 ああ〜無念〜。千載一遇の好機を逃すなんて〜。私のバカバカ。


 でもお兄様に女として意識してもらって、その後お互いに恥ずかしがりながらイチャイチャできたのは、あれはあれで最高だったから良しとしよう。うん。


 あのこそばゆい感覚を思い出しながら、もぞもぞもんにょりとベッドの中でゴロゴロしてたら、部屋に戻って来てたリンゼちゃんに声を掛けられた。


「ソフィア。甘くしたミルクティーを淹れたのだけれど、もう寝てしまう?」


「飲むー。ありがと」


 やっぱりメイド服のリンゼちゃんは最高だな。


 今日みたいに高そうな服を着て偉そうに振る舞うリンゼちゃんも悪くは無いけど、私としてはいつも通り、メイド服を着てるくせに偉そうで、でも気遣いはちゃんとしてくれるリンゼちゃんの方が好みど真ん中で好きだなあ。


 偉そうなのは同じでも、感じる印象が全然違うというか。実際に公的に偉い立場になっちゃったらそれはもうリンゼちゃんじゃないっていうか。


 本当は偉いのにそれを振りかざさず、偉そうにしてる様も自然ではあるのに見た目が完全に子供なせいでどうしても可愛らしく見えちゃうのがリンゼちゃんの魅力だと思う。


 あれだね。ロリババアってやつだねきっと。

 そのくせ肉体的には間違いなく子供だってんだから、神様ってやつはズルいと思う。


 幼い頃からどれだけスキンケアに力を入れようと、天然物の子供の肌には敵わないんだよ……ッ!


 と、まあそんなことはいいんだ。


「ねえ、リンゼちゃん」


「なに?」


 ミルクティーが残した甘さを口の中に感じながら、私は元女神様に確認した。


「災厄の魔物って、人を殺せちゃうやつなんだよね?」


「……そうね。その表現でも間違いはないわ。アナタが止めなければ、多くの人が亡くなっていたのは間違いないでしょう」


「そっか」


 やっぱり危ない存在だったんだね。


 そっか。……そっか。


 ………………お兄様が死なないで、本当に良かった。



 再度口に運んだミルクティーは、強い甘みに隠れて、少しだけ。


 舌に残る、渋い味がした。


どんな攻撃も無効化し、どんな防御も意味を為さない。

貴重品の保管、重量物の運搬、果ては遠距離移動まで。

すごいぞえらいぞ〜アイテムボックス〜♪

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