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隠されると暴きたくなる


 カイルがね、なんだかすっごく嫌そうな顔するんですよぉ。


 私たちはただ、一緒におしゃべりしようと思って来ただけなのに。


 なにやら慌てた様子で理由を並べ立てては必死に私たちを遠ざけようとイジワルするもんだから、ついついイジワルし返したくなっちゃうのも仕方ないと思うんですよぉ。


 イジワルには、イジワルで返す。

 当然ですよね?


 本当はねー。私だってイジワルなんてしたくないんだけどぉー、でもしょうがないよねー。カイルが先にイジワルしてきたんだしぃー。


 さぁーて、イジワルなカイルくんはそんなに焦って、一体全体なにを隠そうとしているのかなー? 私にも教えてくれないかなー? 教えてくれなくても無理やり聞き出すけどねー?


 うっふふふふふ。


 覚悟してねっ☆



「じゃあさっきまでそんな話をしてたんだね」


「ああ! カイルのやつは俺がちゃんとシメといたから安心していいよ!」


 私に気がある男子を調子づかせて、カイルが今までしていた会話のおおよそは聞き出せた。


 ふーむふむ。

 となると、別にカイル側で変な話をしていたわけじゃないのかな? 睨まれてた原因になりそうなものはなかったように思う。


「あはは、それは大変だったねー。ね、カイル」


「……ああ」


 私が話しかけると、焦る。


 私が別の人と話してると、なんだかそわそわしながら、やたらとこちらを気にしてくる。


 ……なんだ? これ。

 私に何かを聞き出されるのが困るのかと思ってたけど、それにしてはどうにも様子がおかしい。


 どちらかといえば、私が何かを話すんじゃないかと警戒しているみたいだ。


 ……何を話せばいいんだろ?


 カイルたちのところで繰り広げられていた話の中に、ヒントになりそうな話題はなかった。と、思う。


 私との関係を詮索されて。

 クラス中に話を広めた女の子とイチャコラして。

 で、私の方へ面倒なこの男を寄越そうとした。


 うーむ。


 どれも私の一言で面白い話の方向に持って行ける自信はあるけど、カイルが慌ててるのとはちょっと違う気がするんだよねぇ。


 こうなったら仕方ない。


 聞くか!


「ねね、カイル。私になにか隠してない?」


「隠してない!!」


 ……うわぁ、被せ気味に反応してきたよ。

 素直に言うとは思ってなかったけど、ここまで露骨に嫌がるとは。


 これは大層な弱みとみたね! 楽しみだな!


「で、何隠してるの?」


 私、さぞ楽しそうな顔してたんだろうなぁ。


 重ねての問いに、カイルは自らの失態を悟ったか、嫌そうな顔をしてそっぽを向いてしまった。


「……隠してない」


 ふふふ。そんな自分でも通じないって分かり切ってる言い訳して〜。


 顔を(そむ)けるなんて敗北宣言も同然だよ?


 それと、どうせ顔を背けるなら反対方向の方が良かったね。


「カイルくん。……隠している人はみんな、そう言うんだよ?」


 その子多分、私よりめんどいよ。


 思わぬ所で待ち伏せを受けたっ! みたいな顔して驚いてるけど、いつから私だけが相手だと錯覚してたのかな?


 勘違いしてはいけない。


 みんなは誰の味方でもない。

 ――面白そうなネタを持つ者、全ての敵なのだっ!


「ソフィアのことを考えていて頭がいっぱいだった。とか?」


「ああ、ソフィアは近くで見るとやっぱりかわいいなぁ、としみじみ感じ入っていた。とか?」


「実はトイレに行きたいけどソフィアが邪魔で行けないとか」


「実は既に漏らしたとか」


「アンタは黙って」


「さいてー」


 うん。だから当然、純粋に私の味方ってわけでもないんだよね。

 耳にしたくもない下品な言葉しか話せない人もいるし。


 カイルの敵ではあろうと面白がるのがメインで秘密を暴こうとしないのであれば、私にとっては味方でもない。せいぜい退路を塞いだ程度に思っておくか。


 さて、それで肝心のカイルの隠し事についてだけど……。


「あ、そういえば……」


 と意味深に言葉を紡げば、カイルはやはり、ビクリと肩を震わせて反応した。


 やはり、私が知っている何かを恐れている。


 なんだ、私は何を知っている? カイルは何を知られたくない? 何故このタイミングで? 私が知っているカイルに纏わること? カイルの恥?


 私に何を言われるのを、カイルは恐れているんだろう? 


「カイル、ってさ……」


 また肩が跳ねた。


 よし、ここまでは正解っぽい。ここからが本番だ。


『そういえばカイルってさ』。これに反応したということは。


 つまり、カイルの何かであることは確定。それも知識。

 カイルの過去の失敗など、私が知りうるカイルに関わる記憶である可能性が極めて高い。


 ――いや、本当にそうか?


 カイルには表情を作って私を陥れるほどの演技力はない。そこは心配ない。

 なら、今引っかかったのはなんだ?


 カイルの、知識。

 私が知る、カイルの――そう、ここだ。


 既知の情報なら、()である必要が無い。


 つまりカイルが恐れているのは、私がついさっき知ったばかりの、カイルに関する情報で――。


「――キスが上手いらしいね?」


 果たして、私が選んだ答えは。


「……ッ!!」


 ――見事大当たりを引き当てたようだ。


出ました特賞、大当たり!

景品は「カイルきゅんの恥ずかしがってる顔」を堪能する権利です!やったね!!

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