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等身大フィギュアをつくろう


 おじいちゃんと青兄様は一泊して帰っていった。


 初対面のインパクトが大きい二人だったけど、帰る頃には普通の人だった。

 全身甲冑は対魔物戦闘を想定してたからみたいだけど、脱いだらもはや別人だし。


 武勇伝はがっつり内政系だった。インテリおじいちゃん。

 甲冑綺麗すぎたから予想はしてた。


 青兄様もまだ家には戻らないことになったけど、公爵家の跡取りが空席で養子という形でそこに座らせることになるかもしれないからとか、なんか複雑な事情があるみたいだった。


 難しいことは聞きたくないというか、そんなことよりどうしても気になっていることがあってだね。


 あの騎士甲冑が頭から離れない。

 いっそ造ってみようか。うん、造ろう。


 そうと決まればお母様に声をかけないといけない。

 私の魔法がバレてから、新魔法の開発はお母様の許可が必要になったのだ。

 大抵はそのまま立ち会って呆れた顔をしたり口を出したりしてくる。

 流石は専門家というべきか、有益な助言も多い。



「なぜ甲冑など……」

「お爺様のを見て、面白そうだと思ったからかな?」


 人形に心が宿るんだもん、甲冑が動いてもいいよね的な。なんだっけ、歩く騎士? 動く骨格標本? あんな感じで。

 上手に出来たら自室の自立型警備要員にでもしよう。


「貴女はいつも非常識ですね」

「お母様にしか言われたことありませんけど」

「みな貴女の容姿に騙されているのです」

「お母様に感謝ですね」


 何度も立ち会わせてる内にお母様とも大分打ち解けてしまった。


 素のお母様は結構口が悪い。


 けれど悪意はない。これは軽口が言い合える仲ってことだと思う。


 その証拠に、以前『胸が小さい』と言われてショックを受けてしまった時にはすごく謝られた。

 傷つける意図はないんだろうなと分かってはいたけど私が反応したせいで、暫くの間はお母様が申し訳なさそうにしていた。


 思ったよりも引きずっていたので『あんまり気遣われると私の胸が憐れまれる程なのかと錯覚しそうになるのでやめてください』とお願いしたら可笑しそうに笑って、最後にもう一度だけと謝ってくれた。


 多分だけど、本当に私の勝手な想像でしかないのだけど、お母様ってほら、友達見たことないし。

 女友達に憧れでもあったんじゃないかな。


 だって、お母様の軽口ってお姉様みたいなんだもん。


 親子だからね、で済ますことも出来るけど、それにしては軽口に慣れてなさそうな印象を受ける。


 それに比べてお姉様はと言えば、貴族としては緩いのに友達が多い。心地良い距離感を心得てるし、場の空気を変えるのも上手と友達百人いそうな人だ。リア充といえる。

 高位貴族のミランダ様となんだかハイソな会話をしていることもあれば、下働きのメイドとも友達みたいに話していたりする。


 圧倒的コミュ(りょく)


 私は羨ましいとは思わないけど、楽しそうだとは思う。


 お母様がお姉様を羨んでいるかは知らないけど、以前の雰囲気よりかは話しやすいので何も問題は無い。


 今の問題は騎士甲冑だ。


 折角だからちょっと豪華な感じにしたい。


 初めての挑戦だろうと目標は高く持ち続けるべきだと思う。同じ物を造るだけならおじいちゃんに頼めばいくらでもくれそうだけど、それでは意味が無い。


 動く甲冑というシュールな物体の中身はハリウッドスターでした。そんなギャップに心惹かれたんだ。外見も中身も自作したい。


 魔法で金属は作った事がないけど、土も火も水も無から生み出すんだから金属くらいいけるでしょ。金だって生み出せちゃうかもね。


 うーん、お母様を呼ぶのは早かったかもしれない。これは設計図から始めるべき事案だったかな? でももう呼んじゃったし、とりあえずガワだけでも造ろうかな。


「いきますよー」


 イメージが大切な魔法でも、適当な造形は不可能じゃない。


 めちゃくちゃに描いたイメージでも、再度全く同じ形が思い描けるのなら魔法を発動するに足る強度が得られる。私の優秀な頭脳ならそれができるのだ。えっへん。


 そんな訳で、おじいちゃんの甲冑と似たようなものを造ってみた。

 これをベースにあれこれ追加していこう。


 うん、テンション上がってきた!


「まだ成長期だから。お母様もお姉様もあるから大丈夫なはず。大丈夫なはず……」

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