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王都近郊で


 ソワレさんが泣き疲れて眠った……ように見せつつ、当初の予定通り睡眠魔法でアイラさん共々眠りにつかせ、街から離れたところでワープでポン。

 我が家のある王都近郊の街道へとショートカットした。


 勿論誰かに移動の瞬間を見られたりしないように、先行偵察にフェルを送り出して安全は確保済みである。


 今まで一度も見破られたことの無い透明化の魔法があっても過信せず、二重三重の安全策を用意する私、偉すぎない?


 ふふふ、どーよお母様。

 たまには褒めてくれたっていいんだからね!


 ドヤ顔で胸を張る私に対し、お母様はなぜだか呆れたような顔を向けていた。


 おかしい。

 とても納得がいかない。


 ソワレさんを眠らせた時にその横でずっと目をつぶってたアイラさんを改めて眠らせるのをつい忘れそうになってたなんてことはバレてないはずだし、その後はちゃんとお母様の指示通り、いや指示以上に完璧に、細心の注意を払って人目につかない転移を成功させた。


 ドヤ顔だって子供のおちゃめだ。

 微笑ましく見る理由にはなっても、呆れる理由にはならないだろう。


 そもそもお母様は、これだけお母様の為にと身を粉にして働いている娘に対して優しさが足りてないんじゃないかと思うね。


 ですからもっと、私に優しくしましょう。お母様。


 でないと私だって、反抗期なんですから。

 親の理不尽には反抗だってしちゃいますよ! ぷんぷんとね!


「……ソフィア。人目を掻い潜る術が随分と手馴れていた様子ですが、まさか普段から私の目を盗んであちこちの街に出向いていた訳では無いでしょうね?」


「いえいえまさか。そんなまさか。ハハハ」


 怒りから一転、勝手に逸らしそうになった顔を必死に留めた。


 疑るような視線がちょー痛いです。


 ……でも、そうか。手際が良すぎたか。どこでそう判断されたのかなぁ……。


 ……いや違う。今思うべきはそこじゃない。


 私はお母様の言葉に傷付いた。

 だから、悲しげに言葉を返すのが正しいのだ。


「お母様にそのように思われていたなんて、悲しいです……。私、お母様の為にと頑張ったのに……」


「それには感謝しています。どうもありがとう」


 清々しいほどに信じてないね。


 まあ自分でも、今の言い分は無理があると思う。一言目との落差が酷いし。

 やっぱり虚を突かれた時の一言目って大事だよねー。


 実際お母様の指摘されたようにあちこちの街に好き勝手遊びに行ってた事実なんてないんだけど、何故かお母様に指摘されると条件反射で後ろめたくなっちゃうんだよね。


 ……うん、本当にあちこちなんて行ってないよ?

 せいぜいあっちとそっちとか、その通り道とか、その程度で。うん。


 ……この話やめよう。ボロしか出さない気がしてきた。


「ところでお母様。私そろそろ正式に【聖女】の称号を賜るみたいなんですけど、学院にはそのまま通えるんですよね?」


 折角なので微妙に気になってることを聞くことにした。


 お母様も私に詰問するつもりはなかったようで、馬車を進ませつつすんなりと変わった話題に答えてくれる。


「ええもちろん。その為の話は通してありますが……その話、誰から聞いたのですか?」


「誰からって、お父様ですが。陛下から連絡が来て、正式な認可を、と……話が……」


「そうですか」


 ……あれ? なんか地雷踏んだ? お母様の雰囲気が怖くなったんだけど。


 どれが地雷だったんだ。


 えっと話を変えたあたりではまだ別に不機嫌じゃなかったよね。で、正式な認可を誰から聞いたかって質問にお父様からって答えたあたりから、急に雰囲気が……。


 きっとお父様のせいだな。


 細かいことは分からないけど、きっとお父様のせいだな!!


「あの、お母様。紅茶はいかがですか? 水筒に入れて持ってきたんです」


「ありがとう」



 それからは、私から話を振ることも、お母様から話が振られることも無く。


 少し居心地は悪いものの、家に帰り着くまで、概ね平和な時を過ごしたのだった。


喋るとボロが出るのなら、喋らなければいいじゃない。

秘技!たぬき寝入り!!

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