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お父様に聞いてみた


 夜。

 お父様から呼び出しを受けた。


「今日、俺のところに連絡が来た。……喜べソフィア! やっと聖女として正式に認められる事になったぞ!」


 どうやら王様が正式な認可をくれるらしい。お父様が喜んでいた。


 私まだ未成年だけどいいのかな? と思ったけど、ダメだったら言わないよね。


 それに王様なんて一番偉いんだから「俺がルールだ!」でなんでもできちゃうだろうし。呼ばれたら行くしかないんだから覚悟を決めないとなー……。


 ふんふんと適当に聞いていたら、当日の話になった。


「アイリスがいないから俺が付き添いで行くぞ」


「分かりました」


 あ、そうなの。お母様はまだ帰って来ないの。


 前にも何日か家を空ける事はあったけど、半月も家にいないのは初めてじゃないかな。


 毎回お母様が家を空ける度「これで私は自由だひゃっほーう!」とか叫んでだらしなく過ごして楽しんでたりはするけど、こんなにも会っていない期間が長くなるとちょっと寂しくなってくる。


 ……というか。

 まさかとは思うけど、事故とか遭ってないよね?


 なんか心配になってきた。


「お父様。お母様はいつ頃戻られるのでしょうか?」


 念の為確認してみた。


 そしたらお父様、ピクンって。

 動きが一瞬、不自然に止まった。


 めっちゃ怪しい。


「ん、む。それはまだ、未定だ。向こうでの用事が済めば戻ってくるだろう」


 ふーん、未定ねぇ。とりあえず無事ではあるみたいだね。


 でもねお父様。

 何事も無かったかのように話してるけど、だったらなんで今、目を逸らしたのかな?


 ソフィアぁ、とっても気になりますぅ。


「そうなのですね。ところでお母様は、何処へ、何をしに行っているのですか?」


 当たり前にお仕事関係だと思ってたけど、お父様の態度が怪しいってことは何か私に伏せておきたい事があるとみたね。


 例えば、そうだな。


 ……遠方の友達と色んな街のケーキバイキング食べ歩き、とか!?

 言ったら絶対「着いてく!」って言うから、置いて行かれたとか!?


「それはもちろんお仕事だとも」


 あ、そーゆー定型句結構ですんで。


 というか、言葉遣いがもう胡散臭い。そして「何処へ」という質問に答えて無い。


 これはきっとあらかじめ「こういう質問が来たらこう答えよう」って決めてたな。なんて安直な。


 全く、いつまで私を子供扱いするんだろうねお父様ったら。


 私だって成長してる。

 あと二年程で成人なんだ。


 そうでなくたって、精神年齢だけでいえばこの世界での成人年齢を超えてるのに。


 幼い子供を長く演じすぎたせいで精神もかなーり若々しくなっちゃった自覚はあるけど、それでも心だけは永遠にJK(女子高生)のつもりなんだ。


 お父さんって存在に憧れがあったから、お互いに笑顔になれる様な、お父様に求められるままの明るく可愛い女の子であり続けたけれど。


 いつまでもそんな言葉で誤魔化されてはあげませんよ?


 だってあなたの娘は、とーってもわがままに育っちゃったんですから!


「そうでしたか。遠方で、なおかつお母様が直接出向かなければならないようなお仕事の話は聞いていなかったのですが。そういえばエミルの街で仕入れる予定だった素材に問題が起こったとの話があったような……お父様は何か聞いていませんか?」


 まあわがままっていうか、好き勝手しすぎるっていうか。


 みんながあんまりにも甘やかしてくれるもんだから、自重する機会を見失ってる……みたいなね?


 それに私、もともとイタズラとか好きだからね。


「え? あー、確かそんなことを言っていたような気も……」


「あ、ごめんなさい。あれは別ルートで無事に手に入ったんでした。で、お父様はお母様から、何を聞いたと仰いましたか?」


「……………………」


 そもそもの話。

 お父様が私に隠し事とか、どう考えても無理でしょ。


「なんで教えてくれないの!」って迫ったら頑として教えてくれないかもしれないけど、「お父様が私に隠し事なんて……クスン」とちょっと泣いて見せれば簡単にポロリするよね。間違いない。


「……は、はははは!」


 罠に嵌められたと気付いて真顔になったお父様は、何を思ったか、突如笑い出した。


 急にだったからびっくりした。


「ソフィア、アイリスに似てきたなぁ……」


「え、本当ですか?」


 お母様に似てる? そお? えへ、嬉しいな。


 しみじみ言うお父様と、ほっこりした空気になった。



 ……でも、隠し事はちゃんと話してもらいますからね?


お母様>王様。

ソフィアちゃんは家族が大好き!

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