おじいちゃんの用件を聞こう
時間ギリギリ(間に合ってない)のは全部デジモンの新作アプリのせい
青い髪のお兄様は、おじいちゃんがお母様を怖がっているという発言に否を唱えた。
「母上、お願いします。リッテンバーグ様は決して母上を恐れてこちらに来ない訳ではないのです。全ては私のせいなのです」
お願いしますってなんだ。それもう明らかに口止めされてるよね?
「全ては私の不徳ゆえなのです。リッテンバーグ様の教えを受けているにもかかわらず未だ至らぬ我が身が、公爵家の名を汚すことになるのではないかと愚考した次第でありまして。何処へ出しても恥ずかしくないとお墨付きを頂けるまでの外出を控えていたのです」
なんか師匠を慕う弟子みたい。
青いお兄様はおじいちゃん想いなんだね。
「では、今日から戻ってくると?」
「いえ、本日は別件であると伺っております。私は付き添いです」
「そうですか」
お母様はいつも通りの貴族然とした微笑みを浮かべていて、貴族レベルが圧倒的に劣る私には心の内は読めない。
「それでお父様は?」
「ここにおるぞ」
お母様が尋ねると、部屋に動く鎧が入ってきた。ガシャンガシャンと煩い事この上ない。
「……お父様ですか?」
「いかにも」
騎士甲冑おじいちゃん。パワフルだ。
いや、お母様の年齢を考えればまだまだ若いはず。
隠居したおじいちゃんという言葉がイメージを先行させたようだ。
……っていうか、年齢なんて顔見れば一発のはずだから変な格好してるおじいちゃんが悪い。
お母様の反応を見る限り、いつもこの格好ではないみたいだし。
おじいちゃんはガショガショ鳴らしながら私とお兄様の座っている近くまで来ると、ガション! と一際大きい音を鳴らして、尊大なポーズを取った。
脚は大股、腕を組んでふんぞり返っている。いや似合うけど。
「我が名はリッテンバーグ・オルグラシア! アイリスの父にしてそなた等の祖父である!」
ででーん! というオノマトペが見えそうだ。豪快おじいちゃん。
「さて! ロランドにソフィアよ! 挨拶がてら儂の武勇伝を聞かせてやりたいところだが、急用でな! ロランドはロイと共に外に出ていてくれるか!」
「は、はい。失礼致します、リッテンバーグ様」
「むぅ、リッテンバーグ様とな……」
このおじいちゃんも勢い系だった。
見るからに相性の悪そうなお兄様はそそくさと退散し、不満げなおじいちゃんが零した言葉は聞こえなかったようだ。足を止めずに青兄様と部屋を出ていった。
さて。
なんで私残されてんだろ。初対面だよ? ……いや、顔見てないけどさ。
「ロイならまだしも、孫に改めて呼ばれると距離を感じるな。もっと親しみのある呼び方を……」
「お父様。ご用件を」
ひやっとする。
冷たい。お母様の声音から冷気を感じる。
山賊砦で叱られてから、お母様、私の前でこういう顔を隠さなくなったよね。
嬉しい反面、知りたくなかったとも思う。ああ懐かしき平穏な日々。
「う、うむ」
ごほん、とわざとらしく咳払いをしたおじいちゃんが、たぶん深刻そうに言った。
全身甲冑ってコスプレにしか見えないよね。
「メルクリス家、いや、はっきりと言おう。ソフィアが魔物を飼っていると聞いた」
場を沈黙が支配する。
私はなんと答えるべきか。そもそも私が答えていいのか。
お母様に視線を向けると頷かれたので、私が答えることにした。
「飼ってますけど、それがなにか」
青兄様は端役




