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お勉強会


 ……勉強嫌いを甘くみてたよね、


 なにせ特別クラスなのだ。


 いくら勉強が苦手だろうと、優秀な生徒の集まる特別クラス。


 特別クラスに属する者なら等しく心に燃やしているはずの向上心さえあれば、現時点での学力など問題にもならない。そのはずなんだ。


 ……だというのに。


「ねぇ……ソフィア? そろそろ休憩しない?」


 ミュラーが酷い。


「お菓子……はまだあるし、飲み物もあるけど、えっと、その」


「……この問題が解けると次の問題も解きやすくなるの。だから休憩は、同じ設問の問題をあと五問解いたらね」


「そ、そんなに……?」


 そんなにじゃない。むしろ休憩が多すぎ。


 カイルもウォルフも分からないなりにうんうん唸りながら頑張っているというのに、ミュラーときたらサボることしか考えてない。


 そもそも全然集中できてない。


 勉強する気があるのかと疑いたくなるほどに、ミュラーの態度は酷いもんだった。


「えっと、ほら、ネフィリムさんのことが心配だし。少し様子を見に」


「それは後で私が行くから。ミュラーは勉強」


「はい……」


 ああ、ネムちゃん?

 ネムちゃんは開始早々おしゃべりしかしないし、教えるのも壊滅的にヘタだったので放逐しました。今頃はミュラーのとこのメイドさんに連れられて家宝の武器とか見せてもらってるんじゃないかな。


「ソフィア……怒ってる?」


 ミュラーはまた勉強に手を付けず、余計なことにばかり気を回していた。


「怒ってるというか、考えてる。やり方が合ってないのは確かなんだよね」


 これはもう、ダメだ。根本的にダメだ。


 本人に勉強する気がなければいくら教えたところで意味が無い。ならまずは、勉強が楽しいものだと知ってもらわなければ。


 問題は、その方法なんだけど……。


「……そう? やっぱりソフィアもそう思う? 私には勉強って合ってないって」


「だからって努力しなくていい理由にはならないけどね」


 壁にぶつかる度に避けてたら、どーせすぐに八方塞がりになるだろうし。壁の越え方は知っておくに越したことはない。


 私の返事を聞いて項垂れているミュラーに断りを入れて、カレンちゃんに任せたカイルとウォルフの方を見てみることにした。


 カイルが間にいるとはいえ、カレンちゃんとウォルフの相性も心配だしね。


 席を立ってカレンちゃんに近付くと、すぐに労いの言葉が掛けられた。


「おつかれさま、ソフィア。……ミュラーさんの方、大変そうだね?」


「カレンもおつかれさま。地頭が悪いわけじゃなさそうなんだけど、本人のやる気がねー……。こっちは?」


 迎えてくれたカレンちゃんと話しつつ、二人の進捗を見る。


 ふーむふむ。

 どうやらウォルフにカイルが教え、カイルにカレンちゃんが教えるというサイクルが上手く噛み合っているみたいだ。めっちゃ順調に用意した課題が進んでいる。


 まあミュラーが遅すぎるだけともいう。


「ん? ああ、ソフィアか。ミュラーの方は……大変そうだな」


「ソフィアか。どうだ、ミュラーに教えるのは。いくらソフィアと言えど………………大変そうだな」


 私に気付いて顔を上げた二人はそのまま机に突っ伏すミュラーを見て、全く同じ労いの言葉を掛けてくれた。カレンちゃんまで含めると三連続。パーフェクト達成だ。


「……まぁ、やりがいはあるよ」


 そんなに大変そうに見えますか。そうですか。楽でないことは確かだけどね。


 一応、案はある。


 古来より子供を動かすにはご褒美と相場が決まっている。


 ではミュラーが自発的に勉強を頑張りたくなるご褒美とはなにか?


 まぁ、ミュラーだもん。戦いっきゃないよね。


「うーん」


 でもなぁ。できればミュラーとは戦わずに済ませたいんだよなぁ。また頭割られたら堪らないし。


 みんながいる現状。ミュラーの家。お兄様。バルお爺ちゃん。ネムちゃん。


 色んな要素が集まってる今なら、なんか方法がありそうな気がするんだよねぇ。


 うーん。


 どうしたものか。


ミュラーも大分甘やかされて育ったようです。

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