治療ってたーのしー!
説明が長すぎた。
ついヘレナさんに説明する時みたいに懇切丁寧に論拠とか並べてたけど、そんなの普通いらないよね! 結論だけでいいよね!
「つまりね。カレンの魔道具は悪影響しかないからもう使わない。で、魔力の流れを正常に戻しつつミュラーから正しい《加護》の使い方を学ぶ。いま身体に過剰に溜め込まれてる魔力は私かミュラー相手に吐き出す。これで解決!」
とっても分かりやすくまとめられたと思う。
投げやりとかじゃない。お昼休みは短いからね!
現実に帰ってきたカレンちゃんは私の解決策を聞いても不安そうだけど、そこはもう仕方ない。
長年続けてきた習慣を今すぐ変えろというのは難しい事だと理解している。信じ難い気持ちもあるだろう。
だから私の話が本当だと信じてもらう為に、これから行う作業は必要なことなのだ。
私の趣味とか性癖とか、そんなんじゃないのだ。
「じゃあカレン、背中向けて。今から体内の魔力を正常にするからね」
「うん……?」
何をされるのかわからなくても素直に言うことを聞いてくれちゃうカレンちゃん好きだよ。
これから起こるだろうことを想像して内心わくわくしつつ、無防備に差し出された背中に手を置いて。
「すこーし変な感じするけど我慢してねー」
「ひゃううぅぅぅっ!?!」
一瞬で逃げられた。
これこれ、この反応。
カレンちゃんてくすぐったがりだよね。
「な、なにいまの……? なに……? なにしたの?」
距離を取ってぷるぷるしててかわいい。癒される。
「ソフィア、顔」
……カイルの忠告を受けて、きゅっと顔を引きしめた。
「……えーと、驚かせてごめんね。今のはカレンの身体に私の魔力を流して、凝り固まった魔力をほぐそうと思ったんだけど……。我慢できそうにない?」
むっちゃこくこくされた。そんなに嫌か。
「なら次からはまたミュラーに相手してもらうといいよ。でも最初が肝心だから……今回は私ので、我慢してね♪」
あ、楽しすぎて語尾が上がってしまった。まあいいか、やること変わんないし。
ごめんね〜。震えるほど嫌でも、これしとかないと困るのはカレンちゃんだからね〜。私も心を鬼にして手早く終わらせるからね〜。
つってもどう頑張ろうと数分はかかっちゃうんだけどね。てへり。
「あの、あのっ!」
「はーいリラックスしてー。大人しくしてれば数分で終わるからねー。終わったら魔道具着けなくても普通に生活できるようになるからねー」
落ち着かせようとかけた言葉は効果てきめんだったようだ。
カレンちゃんは一瞬ぴくりと震えると、さっきまでの慌てぶりが嘘のように大人しくなった。
真剣な目で見つめられたので、こちらも真面目モードに切り替える。
「……本当に?」
「本当に。その後もしばらくは適度に魔力抜いた方がいいかもだけどね」
カレンちゃんは、人の目をよく見る。長いこと見る。じーっと見る。そりゃもう見まくる。
多分嘘をついてないか確かめてるんだろうけど、同世代相手ならともかく、私にそんな技は通用しない。嘘ついてる訳じゃないしね。
かわいい子からじっと見つめられるなんてむしろご褒美だ。
視線と視線がぶつかる。ちょっぴり寄った眉がかわいい。くりりんとした瞳がきゅーとだ。
いつまでだってこうしていられる自信があるんだけど、残念ながらカレンちゃんはある程度すると満足して瞳を閉じる。百合百合タイムの終了である。
「わかった。ソフィア、おねがいします」
「うん、任せて」
はいっ、というわけで納得もできたようだし、さっそく続きと参りましょうかねー♪
まずはこの爆発しそうなでっかい固まりをよく解してー。
「ひにゃぁぁああアアアア!!?」
んー、吸っちゃう前に手足に循環させて総量確認しとこうかなー。
「んっ、ふぁっ!? えぅっ、やぁ、ぁんっ!」
うわすっご。太いとこ以外全然流れないや。
これはもう一箇所ずつ丁寧にやってくしかないかー。
「ん……っ! ぁ……ふぅ。っ、……うっ。…………はぁ」
こんなもんかな? それじゃあ魔力流して確かめましょうねー。
「にゅううぅぅぅ!?!」
私が何かするたびにカレンちゃんが奇声をあげる。
はっきり言って、とても楽しいです。
「おいソフィア……。それ、必要なことなんだよな?」
ジト目のカイルに睨まれたりもするけど、これは後ろめたいことの無い健全な治療行為。
だから自信を持って断言しましょう。
「もちろんだよ!」と。
ただ、あまりにいい笑顔だってのは、指摘しないで貰えると助かるかな。
自覚はあるので!
公共の場で嬌声をあげて悶える女生徒の噂は一部の男子たちの間で噂となったらしい。




