隠されると暴きたくなるのです
ちょいとミスって、教室で「私がカイルを好き」って話が出回ってそう。なんなら「現在告白中」くらいまで盛られてるかも。
大変不本意ではあるけど、今はその原因となったカイルの話を聞き出す方が先だ。
「で? そっちこそ何隠してるの? カレンちゃんとの間に何かあったんでしょ?」
現状を認識した恥ずかしさはカイルを睨みつけることで誤魔化すことにした。
それでも燻ったものはあるけど、本当に恥ずかしいのはきっと教室に戻った後の、恋バナに飢えた女の子軍団による質問責めで……うううう、カイルめぇ! 私の迂闊さが招いたことだって分かってるけど、カイルめぇぇ!
行き場のない感情はとりあえずカイルにぶつける。これ幼なじみのじょーしき。
元々八つ当たりの認識はあったんだ、今更八つ当たりの原因が一個増えた程度変わらないでしょ。
不満のままにがるるると威嚇すれば、カイルは呆れた様子で顔を背けた。
「なんでお前が怒ってんだよ……。何も隠してねーって」
あれ、反応が……。これは本当に何か隠してるっぽい。
それにカレンちゃんだけでなくカイルまで素直に言わないのは正直意外だ。
単に勉強教えてもらってただけだけど、普段そんなに仲のいい相手じゃないから勘ぐられるだろうし、正直に説明するのもなんだか照れ臭い。その程度だと思ってた。
だが、この隠しよう。
これは本気でカレンちゃんに猛烈アピールしてる、なーんて可能性も出てきたかな? なんだか楽しくなってきたぞう。
こうなると俄然興味が湧いてくるな。絶対聞き出そ。
「嘘。仲が悪かったとは言わないけど、勉強の教えあいっこするほど良くはなかったはずだし。それにカイル、嘘つくときの癖が出てる」
「む」
ぺたぺたと自分の顔を触るカイル。
はい確定。
癖が出てると言われわざわざその確認をするなんて「私は嘘をついています」と認めてるようなものだ。
まあそんなんなくても分かってたけどね。
理不尽に怒られて及び腰になるカイルとか怪しさしかない。いつもだったらもうちょっとは反抗してくる。
てかカイルに限らないけど、学院の人達って後ろめたいことがあるとみーんな目を逸らしたり声に力が無くなったり、逆に慌てて大声出したりするんだよね。
分かりやすくてとても助かるんだけど、みんな嘘つき慣れて無さすぎてちょっと心配にもなる。平気で嘘つける私が腹黒いみたいにも感じちゃうしさ。
「で、なに隠してるの?」
「いや、その……」
嘘がバレたと気付いただろうに、未だに口を割らないカイル。
この期に及んで往生際が悪い。
嘘が発覚した時点で素直に白旗を上げればいいのにと思いはするものの。……でもそんなところが、私がカイルを気に入っている理由でもある。
昔から適度に反抗してきて弄り甲斐あるんだカイルって。良いリアクションするし。
でも、そうか。これだけ言っても吐かないか。
「そうだよね、やっぱり言いづらいよね」
そーかそーか。そんなに言い難いことなら仕方ない。
……私がそのお口を、滑り易くしてあげる必要があるよねぇ?
カイルいじめてるとソフィアが生き生きし出すんだ。
1000字のつもりが4000字になって1話が3話になったりするんだ。不思議だね。




