魅力的な女の条件
そーかそーか、女の魅力が溢れてたか。
私の内面に留めきれない大人オーラが、純真な男の子の心を誘惑してしまったか。溢れ出る魅力に耐えられなくしてしまったのか。
ならば許そう。エロかったとか言いやがった男子よ。
……女として見られて、ちょっと嬉しかったとか思ってないよ?
そもそもだね。
考えてみれば、平凡を絵に書いたような一般的なJKですら電車に乗っただけで痴漢されるというのに美少女になってから今まで一度もそーゆー性的な目で見られてこなかった事が逆におかしいんだよね。
私みたいなかわい子ちゃんが無防備にお兄ちゃんに甘えてる姿なんて見たら女の私だって脳内写真フォルダに溢れるほど素敵ショットを撮りまくるに決まってる。それが野生の男どもならヨダレを垂らして目を離せなくなるのが道理ってものだろう。
ふっ、これが美少女税ってやつなのかな。
美しさは罪……。まあ、美しいってよりかわいい系だけど。
慎ましい身体でも男の視線を掴んで離さない罪な女。やー、将来ナイスバディに成長した時が楽しみだね!
それにしても最近はクラスで割とはっちゃけてるはずなのに、それでも男子達に女として見られてるとは。
男ってものはもっとお淑やかなお嬢様が好きなものだと思っていた。たとえばそう、カレンちゃんみたいな。
ん? そーいえばどこかで「男は子孫を残すためどんな女にも欲情する。女は強い子孫を残すため男を選り好みする」って聞いた覚えがあるな。つまり私はどーでもいい……いや、うん。さすがにどんな女でもってことはないでしょ。私だって強さで男の好み決めないしね。
やっぱ顔だよ、顔。あと性格。
腕力とか関係なくない? 筋肉は、まぁね。適度なら好きだけどね。
それに性格だって好みがあるし、やっぱり一概には言えないと思う。
自分ではあまり褒められないと思っている楽しいもの優先なこの性格だって、むしろそれがいい! なーんて人もいるかもしれないし。
大雑把は大らか。神経質は気が利く。無駄に元気は良い元気!
受け取る側によって評価は変わると私は学んだのだ。
高校入学の時に「あなたの良いところを教えてください」の面接対策したからね!
それに私の場合……ふふふ。自慢のお肌補正もあるはず。
毎日の魔法スキンケアで赤ちゃんのようなたまご肌。
つるりんぷりんとしたもちもちほっぺたは触り心地が良いとクラスの女子にも評判で、触られすぎて口角が上がり戻らなくなった為お触り禁止にしたという逸話まである魅惑のほっぺたなのだ。
そして勿論、その魅惑のお肌ケアは全身に施してある。
最近はこの処置のせいで子供っぽく見られるのではないかと思いもしたけど、やめられるわけがなかった。
子供っぽく見られるけどツルピカな珠肌と、すくすくと女らしい身体に成長するもニキビや肌荒れのあるお肌。
どちらを選ぶかなど明白だ。
一時の感情で未来の完璧な肌を捨てるなんて、愚か者のすることである。
一生お肌の綺麗な美少女、しかも成長したらお母様やお姉様のような美人になるとか、私ってかなりお得な女なのではないだろーか。その上素敵青年なお兄様が義兄になるのだ。
すごい。私すごい。むしろ私が私と結婚したい。
……あ、やっと始業の時間だ。
やはり妄想はいい。楽しい気分であっという間に時が過ぎる。
例の発言をした男の子たちを見ればエロ発言を聞き咎めた女子に白い目で見られて小さくなっていた。
そんな顔するくらいなら言わなければいいのに。アホなのかな。
「……時間切れね。ここは御二方とも素敵だということで手を打ちましょう」
「異存はないわ。あと、照れてるソフィアは可愛かったよ!」
「そうね!」
いままで意見の対立をしていたはずの二人が、私にいい笑顔を向けて去っていった。
……仲良いね?
やっぱり私、弄ばれていたみたいです。
男は顔。女も顔。
顔さえ良ければ人生イージーモード!魔法も使えたらなお良いね!




