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求婚


「ねーソフィアー。ソフィアーソフィアー」


「……なぁに?」


「我と子供作ろ?」


 ネムちゃんがおかしい。


 教室内の話題が子作り一色なのはまだいい。許そう。もう諦めた。


 男子が意味ありげにチラチラとこちらを見るのもまだいい。鬱陶しいけど行動に移さないなら許そう。「僕と子作りしよう」とか言われたら早退する自信がある。


 でも、女の子に結婚を迫られるのは想定外だ。


 いや結婚ではなく子供目的? ヤリ捨て?


 ひとつだけ言えるのは、ネムちゃんはやっぱり何を考えてるのか分からないということだけだ。


「ネムちゃん。女の子同士で子供は出来ないんだよ」


 いくらネムちゃんだろうとそのくらいは知ってるはず。


 そう思いつつも、万が一がありそうなのがネムちゃんである。


「ふふん。我だってそのくらいは知っているのだ」


 そうなんだ。ちょっとだけ安心した。

 本当にちょっとだけしか安心できないのが困りものだけど。


 ふふふんとふんぞり返ったネムちゃんは高々と告げる。


「だが! 魔王たる我が魔力と、第二の魔王たるソフィアの魔力があれば、不可能はない! 共に生誕の奇跡を起こそうではないか!!」


「起こさなくてもいいかなぁ」


 それに第二の魔王じゃないしね。

 ネムちゃん、私を魔王にするのまだ諦めてなかったんだね。


 この分だと私の部屋を魔王軍の参謀本部にするって言ってたのも諦めてなさそう。

 また新しい興味の対象になりそうなオモチャでも用意して話題を逸らす準備しとかないとダメかな。


 それに……。


 脳裏に浮かぶのは、女神様(リンゼちゃん)と聞いた創世の魔法のお話。


 ……子供をつくるのとは違うけど、あるんだよねぇ、生誕の奇跡。


 アイテムボックスという世界を作る魔法。


 断られて当然の発言をしておいて「な、なんたることだっ!」って顔してるネムちゃんが不機嫌顔でむむぅと不貞腐れる様子は大変かわいいが、その魔法の素質は本物だ。と、思う。


 だから、やり方教えたらネムちゃんならアイテムボックスくらい作れちゃうんじゃないかと思う。


 ネムちゃんの魔法適性というか、想像力、妄想力? なんでもいいけど、魔法を使うために必要な素養って私並みにありそうだし。


「むぅー。ソフィアは欲がないのだ」


「欲はあるけど、子供はまだいらないかな。私たちには早いって」


 まだっていうか、できることならずっといらないけどね。恋愛の経験値的なものが圧倒的に不足しているので。


 ふむん。そうか、そうだね。

 となると子供がいらないというよりは、実感がわかないという方がより正確かもしれない。


 そーだよ、お付き合いすらしたことないのに妊娠とか子供とか、そもそも順番がおかしいんだよね。

 なによりみんなの貞操観念がおかしい。絶対おかしい。


「つまり、心に決めた相手はいる、と?」


「いません」


 何だい急に、ミュラーったら何を言い出すんだい。「あら残念」じゃないよまったくもう。


 次から次へとからかわれるのに適当に返事をしていれば、そそくさとミュラーに近寄る一人の男。


 ……楽しそうなウォルフってこれもう、嫌な予感しかしないのはなんでだろうね。


ソフィアが教室中の話題に着いて行けずわたわたしている裏で、カイルも内心わたわたしていた。

ソフィアの前では強がれても、彼もウブな少年ですからね。

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