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大切だから思い悩む


 お兄様の話によれば、情報はお姉様の旦那様であるロバートさんから(もたら)されたものであるらしい。


「事前に体内を調べたところ、逆子のようだと」


「逆子か…… 」


 逆子って危ないやつじゃなかった? 帝王切開、要は腹を裂くとかいう聞くだけで痛そうな対処が必要なやつ。


 お姉様のためには何とかしたいところけど、私には妊婦さんに関する正確な知識がない。授業で一通りは学んだけど、前世ではほら、そんな真面目じゃなかったから……。


 私に出来る事と言えば、痛みを感じ無くさせるだとか、死んだように眠らせるだとか、その程度だ。


 死者蘇生は人相手に使ったことがないからできれば使わずに済ませたい。というかお姉様にしたってその子供にしたって、死体とか見たくないし!


 ……なんだろう、自分の考えがさっきからバイオレンスな方向にばっかりいってる気がする。


 きっとリンゼちゃんのせいだ。リンゼちゃんのネガティブがうつったんだ。


 女神時代の苦労話とか、ダークで壮絶で聞いてるだけでうげぇってなるのをいっぱい聞いたせいだ。きっとそうだ。


 悲しさを忘れたみたいに淡々と「あの時は悲しいと思っていたはず」とか他人事のように言うんだもん。

 なんでもコミカルに幸せな脳内変換しちゃう想像力豊かな私としても、とても楽しい気持ちにはなれなかった。


 というかリンゼちゃんは、今も女神様ではあるんだけどね。


 より正確に言うなら、私と話してたリンゼちゃんは現世用に受肉した女神様の分身? 神の権能を失ったもう一人の自分? みたいなものらしい。


 神としての力は無くても意識や知識は本体と変わらないって話だから、つまり我らを導くこの世界の女神様本人も、女神様のくせしてやたら暗いということだ。


 リンゼちゃんってばお菓子をあげて褒めたたえて、なんとか気分良くなってもらおうと奮闘しても、効果があるのかないのか顔に出ないから分かりずらいし。


 それでも帰る頃には表情もだいぶ出るようになってたから、多分意味はあったんだろう。

 ネガティブ女神様とかこの世界の行先が不安だから、リンゼちゃんにはぜひとも元気になってもらいたい。


 次からももっとたわいの無いお話が出来るといいな。


 てか刺客とか世界の破滅とか興味ないからね。軽く人生終了になりそうなネタばっかり振られても困るからね。


 次からは暗い話になりそうだったら止めよう。

 ……下手すれば何も聞けない状態になりかねないけど。


「ソフィア、なんとかできるか?」


 お父様に問われて思考を戻す。


 お姉様のことは私だってなんとかしたい。だが、有効な手段がない。


 どうせならリンゼちゃんに生誕とか再生系の神話聞いとけばよかった。

 そしたらなにか参考にできたかもしれないのに。


「……お姉様の元にみんなで行くくらいならできますけど、医療の心得はないので……」


「だよな」


 むう。

 確かに「もしかしたら」とは言ってたけど、何も出来ないと突きつけられると悔しいものがある。


 なによりお姉様が苦しんでいる時に座して待つなんて……。でもお姉様は私の魔法のこと知らないはずだし、大変な時にわざわざ心労を増やすような真似するのもなあ……。



 悩ましい。


 私はどうするのがいいのかなあ?


女神様のネガティブは不幸自慢と言うより事実の羅列。

「女神になる前は何してたの?」なんて質問が良くなかった。

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