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仲間はずれあげいん


 フェルが呼びに来ました。緊急の要件らしいです。


 お兄様の身に何かがあったのかと思いましたが、勘違いだったみたいです。


 本当の用件は、お姉様の出産に関することでした。



「お姉様が……出産?」


 ねえまた? またなの? また私だけ聞いてないよ? いい加減泣くよ?


 一度は安定した私の精神がガタガタと悲鳴を上げひび割れそうになっている事にいち早く気付いたお兄様が、情報の秘匿を主導した人物の名を挙げた。


「ごめんねソフィア。父上がソフィアには知らせるなって」


「お父様? どういうことですか?」


 ほーお? そう? お父様は私の敵だったの? ふーんそっかあ。


 うっとおしいけどこんな愛され方も悪くないなって思ってたのに、お父様は、私とお姉様の仲の良さを知ってるはずなのに、そんな情報操作しちゃうんだ?


 そろそろ使っちゃうよ?


 娘に許された奥義が一つ。「洗濯物、パパと一緒に洗わないで!」


 言われたら嫌だろうなと思ってるから密かに自分の下着は自分で洗濯しているというのに。


 これからは公言しちゃうぞ。


「お父様と一緒ヤダ」って言っちゃうぞ。言い続けちゃうぞ。


 許しを乞うなら今のうちだかんね。


 私の発する険悪な空気を感じ取った……のかは分からないが、お父様はバツが悪そうに理由を話しだした。


「……お前が憧れたら困るからだ」


 は? なに?


 相変わらず言葉の足りない人だな。

 つまりどゆこと? それともただの言い訳ですかあ?


 お母様やお兄様に口止めまでして隠そうとしてたんでしょ?

 私の意思を無視して、私の不興を買うと分かった上で、それでも隠そうとしたんでしょ?


 言い訳とかすんな、私の怒りを受け止めろ。そして贖罪に菓子を納めろ。十年分くらい毎日!


 憤慨する私にお父様はそっぽを向きながら、未練がましく言い訳を続ける。


「女は子供が好きだろ? 妊娠したアリシアの姿を見て、ソフィアまでもが『早く結婚したい』などと言い出したら……その、な?」


 なんだその理由。子供か。つかそんなん絶対言わないから。そもそも相手がいないし。


 いやみんなカッコイイよ?

 知り合いで見目が良くないの……って言い方はアレだけど、普通っぽいのは古き日の思い出レニーちゃん山賊一家のメンバーくらいなもので、貴族の皆様方は私なんかが選り好みしちゃうのも申し訳ないくらいには見た目もいいし、性格もいいしで優良物件ばかりと言えよう。


 それでもお兄様と比べちゃうと……ねぇ。


 普段から見てるのが好みどストライクなお兄様のせいか、私の恋愛センサーってばどんな男を見てもピクリとも反応しないんだよね。あ、お爺ちゃんには反応したけど、流石に歳がね。世間体もあるしね。


 その点お兄様との恋愛を想像すれば、妄想は留まることを知らないと断言出来る。

 近親相姦は禁忌であると同時に、淫らな熱を燃え上がらせる背徳感を生むのだ。


 まあ、ね。正直、ほら。

 想像の中で、お兄様と……ってのもね! あるよ! 女の子だもの!


 想像の中のお兄様にとびきり甘い声で愛の言葉を囁かれて「今夜はたっぷり可愛がってあげるね……」とかとか! その先も優しくしてくれてとか、色々考えちゃうのも仕方ないでしょう!? だってお年頃だもの!!


「ソフィア!? いま誰のことを思い浮かべた!?」


 え、なにお父様?

 それはもちろんマイラヴァーズブラザーであるお兄様ですがなにか?


 あ、そうか。

 子供を欲しがる=愛の営みの想像をしてると思ったんだね。なんと下世話な。


 ……いや、実際想像してたし。この場合私が下世話になるのか……?

 男の人はエッチな女の子が好きって言うけど、お兄様はどうなんだろ?


「ほらまた! また女の顔してたぞ! もう相手がいるのか!? 誰だ! やっぱりカイルか!?」


「違いますよ」


 女の顔て。やめてよね恥ずかしい。

 てかなんでここでカイルが出てくるんだ。


 お父様、実はカイル推しなのかな?


そもそも洗濯機とかないので、ひとつひとつメイドさんの手洗いですけどね。

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