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お母様と帰ろう


 レニーの作ったアップルパイは、お預けに次ぐお預けで膨らみに膨らんだ私の期待に見事に応えた。

 良いものを食べ慣れてるお母様も褒めるくらいだ、レニーは将来いいお嫁さんになれるね!


 大変おいしゅうございました。



「また遊びに来てね!」


 山賊の皆さんからのお見送りに手を振りながら、お母様と山を下る。


 お土産に貰ったアップルパイを大事に抱えて、今はお母様の操る馬に同乗してアイゼンに向かっている。


 お母様の帰り支度が整い次第、私の魔法で飛んで帰るそうな。


 人を飛ばしたことがないから危ないって言ったんだけど、お母様の勢いに負けたのだ。

 空飛んでみたかったんだね。


 まあ本当に危険なら引き受けないし、大丈夫そうだとは思ってる。

 もし途中でダメそうだと分かったら裏技もあるから無問題なのだ。



 お母様を待っている間にアイテムボックスの改良ができないか考えていた。


 折角街まで来たんだからとおねだりしてリンゴをたくさん買って貰った。アイテムボックスに収納済みだ。


 これで家でもアップルパイを作れる。

 レニーの作り方を見てしっかりと覚えたから今から作るのが楽しみだ。


 だけどできることならお姉様にもオリジナルを食べさせてあげたい。


 理想のアイテムボックスさえあれば、収納して持ち帰るだけでいつでもどこでもホカホカのままのアップルパイが楽しめるというのに、私が未熟なせいで今のアイテムボックスは鎌鼬の巣になっている。


 いや、鎌鼬たちが入っていることはまだいい。前にやってたゲームでは召喚獣はアイテム扱いだった。


 だけど私のアイテムボックスの中は一つの小宇宙。生き物と食べ物を同時に入れたら多分、生き物しか残らない。それは保管とは言わない。生き物に餌を与えただけだ。

 だから中身をせめて種類別に保管したい。


 そのためには!


 助けて私のNO細胞! 今こそ前世の遺産、数々の漫画知識を! 漫画は無駄じゃないと証明するのよ!


 むーんと唸る。唸りながら記憶を辿っていく。


 今更だけど漫画なんて少女マンガがメインだったし、チョイスを間違ったかもしれない。

 ここはゲーム知識を使う場面だったね。やっぱり漫画は役には立たないのかっ!


 とりあえずドラゴン冒険譚のゲームを参考にしてみよう。


 あれは確か、冒険の旅に出る時に魔法の袋を手に入れるんだ。薬草と毒消し草が個数で判別できて混ざらないし、当然傷んでダメにもならないやつ。武器も防具も何十種類も入る凄いやつ。旅商人の意義とは。


 そうそう、消耗品と武具、貴重品はタブで分かれてたね。

 で、アイテムの名前に個数。

 わかりやすいすっきりした表示でいいよね。


 ん? つまりアイテム管理画面を付ければいいのかな?

 障子みたいに枠で区切るのしか考えてなかったけど、ゲームみたいに説明画面がピロリンッ♪って出てきてもいいよね。


 入れるのだって、魔法だしアイテムボックスといったら空中! と思ってたけど、手持ちの袋の中を無制限に広げるのも充分魔法っぽいし。


 うーん、アイテムボックス道は険しい。


 あ、お母様の準備ができたみたいだ。

 やっぱり魔法の改良はもっとゆっくりと時間が取れる時じゃないとダメだね。


 このアップルパイは普通に持って帰ろ。


 ってゆーか普通、冒険の始まりにアイテムボックスを手に入れて、中盤で船、終盤で空を飛ぶものじゃない?


 順番おかしいよね、私。


初めて来たアイゼンの観光より帰宅を選ぶインドア派

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「お母様の帰り支度が整い次第、私の魔法で飛んで帰るそうな」 お母さんは、ここまでどのようにしてきたのかな?歩いてくるには、距離があるのじゃないの。
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