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混ぜちゃダメ


 うわーい魔族だ! 会いたかったんだぁ♪


 ……って、なるじゃん? 普通?


 でも、そこにいた魔族代表がぬいくるみのお馬さん(アドラスさん)だったらどう思うかって話よ。


 初めて会う魔族がアドラスさんって……、魔族のイメージが、こう……ぬいぐるみのペット的な方向に……。


 分かってはいるんだよ? 魔族がみんなこんなん(アドラスさん)じゃないって。


 でもやっぱり、初めてって大事だよね。



 絶滅したと聞いて諦めてた、魔族との初邂逅! ……のはずが、アドラスさんがそうだと聞かされ微妙に萎えていたら、ネムちゃんが言った。こてりと首を傾げて、いつもと変わらぬ軽い口調で。


「知ってるよ? 師匠が魔族だって」


「え?」


 なんですと?


 私もイマイチ事の重大さを把握しきれてないけど、ネムちゃん程じゃないと思う。


 日本でだって絶滅した生物が見つかれば話題になる。

 数日はテレビに流れ続けるし、人と出逢えば会話のネタに上がること請け合いだろう。


 ……まあ、その程度だと言えなくもないけど。


「だって師匠、元魔王だもん。魔王は魔族の王様なのだからな!」


 あ、そうですね。はい。


「ネムちゃん。これから私のお母様とアドラスさんが大事な話をするみたいだから、一緒に外に出てようか?」


「むう? そうなの? わかったー」


 今わかった。この子いると混乱するわ。


 普段は明るく元気なムードメーカーとして害もないけど、魔法とか魔族とか、「魔」の付くものに近付けると元気すぎて堪らん。何よりもネムちゃんが大好きな魔王様プレイと使う単語が被ってて紛らわしすぎる。

 大好きな話題につい盛り上がっちゃうのもわかるけどね。


 この部屋に入った瞬間のインパクトが強すぎて今まで忘れてたけど、そもそも私たちの目的はメリーの回収。


 あちらさんが連れ帰ってくれと言うなら是非も無い。

 初めの懸念だった「ネムちゃんの師匠ロリコン疑惑」も無さそうだし。というかそれ以上にヤバかったし。


 なんてゆーか、完全に想像とは真逆に突っ切った感じ?


 まさか同年代でもずっと一緒にいると元気すぎて疲れちゃうネムちゃんに、一緒になって魔王様ごっこしてくれる年上の知り合いがいようとは。


 話し方は命令口調で偉そうなのに、小さな女の子を弟子と称して一緒にごっこ遊びする賢者。


 ……こうして出た情報を並べると完全に狙われてる感あるんだけど、実物を見た限りだと放っておいても平気そうなんだよね。


 どちらかといえばネムちゃんを御しきれてないアドラスさんが心配になるくらい。

 ネムちゃんの元気の発散場所のひとつなのかもしれない。


 というわけで、メリーとネムちゃん回収するんで後のことは任せました! とお母様にアイコンタクトを送れば、即座に頷きが返される。


 この阿吽(あうん)の呼吸よ。


 後始末がお母様に任せられるならさっさとメリーも回収して帰ろうね。


 メリーは残して事情説明役にしてもいいんだけど、もしメリーを残したまま、この部屋に私たちみたいな急な来客があった場合。とても面白い誤解が生まれちゃいそうだからね。


 女学生が「私、見たんです! 【無言の魔女】様が、【探究】の賢者様を跪かせているところを!」とか言い触らすような事態になったら面白……困るからね!


 ……困るか? いや、困るな。


 困った時には任せて安心お母様保険の代表であるお母様に恨まれるような事は極力避けねばなるまい。


 私はソフィア。お母様の娘。


 お母様に叱られないギリギリの悪戯(いたずら)ラインなど、とうの昔に見極めているのだ。


いっぱい叱られましたからね。

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