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そんな二つ名は嫌だ


 雰囲気に流されてお母様と一緒に私の部屋まで来たけど、マリーとの会話は魔法による念話でしかできない。つまり、お母様にはマリーの声が聞こえない。


 でもそうなると、お母様の前でぬいぐるみに一方的に話し続ける姿を見られることになる。


 それは恥ずかしいので、以前にもマリーに(ほどこ)した【発声】の魔法をON。三人での会話を可能にした。


「ねえマリー。メリーが魔法をつかえるってこと、知ってたんじゃない?」


「うん、ボク知ってるよ!」


 で、肝心のメリーの話をすると、案の定。

 マリーは、メリーが魔法を使える事を知っていた。というか、マリーも使えた。


 浮かんで飛んで光球も出せる。念話も使えた。


 やたら飛び続けることを疑問に思い「歩けるようにしたよね?」と問えば、床を歩くのは体が汚れるし、魔法少女のマスコットとして人に見下される位置を歩くなんて行動に慣れたくないと言われてしまった。


 相変わらず間違った魔法少女観は健在らしい。



 とりあえずマリーから聞くべきことは全部聞いて部屋を出ると、そのまま学院へ戻る……ことはできず、私はそのままお母様の部屋に連行された。


 そしてそのままお説教タイム。


 まず魔法少女のマスコットとは何なのかの説明をさせられ、無許可でのメリーたちの改造を叱られ、ただのぬいぐるみでなくなったメリーをネムちゃんに預けたことを叱られ、ついでに普段の行動までも叱られる。


 やれ自覚が足りないだの、軽率だの、力ある者の義務がどーたらだの。


 大体お母様の言う通りだけど今じゃなくても良くない? と心の中で辟易(へきえき)としながら聞き流してると何故かすぐにバレるのは、お母様も読心系の魔法使ってるんじゃないかと疑ってたりする。


 挙句「こんな調子ではソフィアが二つ名を戴けるのは先の話になりそうですね」なんて言うもんだから、叱られモードとか完全に吹っ飛んだ。


 何その話聞いてないよ?


 なんでも私がお母様に協力して作られた数々の魔法に関する資料は全て王様の元に送られていて、内容の重要性は表彰に値するが、機密事項としても扱われている為に私への二つ名授与が(おおやけ)に出来ない状態なんだとか。


 何その話聞いてないよ???


 本当は【剣姫】と同様、学院入学時に授与するという話もあったんだけど、知識を公表する危険性だとか対策の準備が不十分だとかで、でも新たな魔法の可能性を示した者に何の褒美も無しとはうんたらかんたら〜と議論された結果、「二つ名いっとく?」と決まりかけた所に学院入学時試験でのヒースクリフ王子との喪神病事件。あれで二つ名授与どころではなくなり、話は流れたんだって。


 ありがとう王子様。今日めんどいヤツとか思ってごめん。


 どうやら私は知らないうちに二つ名(笑)の危機から脱していたようだ。



「そんなに嫌ですか?」


「だって恥ずかしいじゃないですか。【無言の魔女】とか【情熱の騎士】とか」


「……【情熱の騎士】は、二つ名ではないです。ただ、貴女が恥ずかしがる理由は分かった気がします」


 あ、そうなの?


 ってことは、もしかしてあだ名? あだ名なの? お父様のあだ名が情熱の騎士だったの?? それは呼ぶわ。なんとからかいがいのあるあだ名なのか。


「ちなみに私の二つ名はどんな候補があったんですか?」


「そうですね。【神智の稚児】は良かったと思います。おふざけで【幼智者】などもありましたが」


 おい後者。


 王様がくれる偉い称号じゃなかったの? 幼稚な者と音完全に被ってんじゃねーか誰だ提案者。


 前者はちょっと大仰だけど、後者に比べたらよっぽど良い。


 神の智恵を持つ稚児……ってこっちも子供じゃん! 良くないよ! 全然良くないよ!!

 しかも稚児って、乳飲み子レベルでしょ!? 乳幼児じゃねーよ! いくら背が小さかろうとそこまでじゃないよ! さすがに小学生くらいはあるわ!!


「……稚児が、良い二つ名なんですか?」


「え? ああそれは、初めの報告がソフィアが六歳の時でしたからね。あの時は本当に驚いたものです。ふふっ」


 和んでるトコ悪いけど、私は納得いかないよ。

 六歳って小学生じゃん。今よりは子供だけど、稚児って程じゃないじゃん。児童くらいにしておいてよ。


 二つ名なんて、やっぱり嫌いだ。


マリーの話を聞いて「相手にその気がないとはいえ、見下ろされるのは嫌だよね」と思わず共感するソフィアであった。

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