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タラシストソフィア


 カレンちゃん。剣聖との勝負に勝ったことを知ってる疑惑発覚。


 気になったので、聞いてみました!


「え? ……ミュラーさんに剣術が認められたなんて、すごいなって、思って。……違うの?」


「実はそうみたいで……。よく分かったね」


 疑ってごめんミュラー。アナタは無実だった。


 まあカレンは気が強いミュラーのこと苦手そうにしてるから、わざわざ話してるなんて思わなかったけどね。


「ミュラーさんって、剣のこと以外で人の評価変えなさそうだから……」


「あ、あはは……」


 確かに。

 言われてみれば、私が剣の腕見せる度に仲良くなっていったような……。あれ? 普通に仲良くなれたと思ってたのは錯覚だった?


 いや、そんなことは無いはずだ!


 その証拠に、……証拠に、えっと。あれおかしいな。否定できるだけの材料が無いなんてそんなわけ……。


「ミュラーさん、私のこと嫌いみたいで。たぶん同じ武門の家の娘として、恥晒しとか、思ってるんじゃないかな」


「そんなことは……」


 え、そうだったの?


 いや、これはきっと素直に聞いちゃダメなやつだ。


 今のカレンちゃんは言わばネガティヴモード。

 だって普段より饒舌(じょうぜつ)だし、私の可憐なカレンちゃんはそんな卑屈に笑ったりしないし! 今日はきっとあの日とかでちょっぴり被害妄想が止まらなくなっちゃったナーバス系少女なんだ。


 ミュラーに対する劣等感があるんだね。でも大丈夫!


 ぶっちゃけ剣の達人の女の子よりもお淑やかでかわいい女の子の方が需要あると思うし!


 ミュラーはキレイ系、カレンはカワイイ系。


 ほら、住み分けもバッチリ。


 つーか君らね、生まれながらの優れた容姿をもっと大切にした方がいいと思う。


 剣術とかもいいけど怪我したらシャレにならないよ? 美形はかなりお得だってことを身をもって体験した私が声を大にして主張したい。


 美少女は何をしても許される。


 憂い顔もかわいいのよね。

 でもお友達が悩んでるなら、助けになるのがソフィアちゃん。かわいい子の笑顔、プライスレス。


「カレンは今の自分がキライなの?」


「……うん」


 そっかー、分かるよ。一度卑屈になっちゃうとねー自分だけじゃどうにもねー。


 そういえばカレンちゃんも【豪腕】とか呼ばれる有名なお家らしいし、剣術が素人ってのもおかしな話だ。となると、過去にトラウマになる出来事でもあったのかもしれない。ここからはデリケートゾーンかな。


「でも私はカレンが好きだよ!」


 にゃは〜と緩い笑顔で宣言してみた。


 ううむ、ネムちゃんみたく満面の笑顔とはいかなんだ。狙ってやると、さすがに恥ずかし。


 とはいえ恥ずかしい思いをした甲斐はあった。


 カレンったら目をぱちくりして、くりりんとした瞳があらかわいい。


 とりま意表を突くことには成功したっぽい。

 このまま畳み掛けて、心のモヤモヤを吹き飛ばしてあげよう!


「カレンは私の事、すごいって思ってくれたんだよね? そのすごいソフィアさんは、カレンのことをすごいって思ってます。いいところもいっぱいあると思ってます。どう? そう考えたら少しは自分のこと、好きになれないかな?」


「え……?」


 え、って。そんなに意外? これは超ネガティヴモードだったかな。


「私はカレンが優しい子だって知ってる。困ってるとすぐに助けてくれるし、いつも気を配ってくれてるの、分かるよ。そんな優しいカレンが、私は大好き」


 またまた手をギュッてしてみたりして。


 本日二回目だけど別の人だしいいよね。逆にダメかな?


 我ながら何やってるんだろって気になってくるけど正気に戻るのは後回しにしよう。恥ずかしいから。


「ソフィア……」


 うん、この年頃の子は「好き」って言葉の大切さを知ってるからね。固く閉ざした心にも届いたようでよかった。


「本当に? 本当に、私なんかのこと、好きなの?」


 おっとーこれは根深い、根深いですよー。


 こっちから握った手が強く握り返されて、まるで逃がさないと言われてるようではありませんかー。いや逃げないけどね、カレンちゃん意外と目ヂカラあるな。


「ねぇ、もう一回言って? 私の目を見て、『カレンのことが好き』って」


 マジっすか。


 いや、えー、それはちょっと恥ずかしいっていうか自分のタイミングがあるというか、その、ね?


 うう、でもここが正念場だって分かってるよ。


 まさかの不意打ちに慌てすぎて正気に戻っちゃって、ここが教室だとか、休憩時間が終わりに近付いて人が増えてきてるとか気付いたけど頑張るよ! 頑張ればいいんでしょう!


 カレンちゃんの笑顔の為だ、私は恥を捨てる!


「カレンのことが、好き」


 ……。


 ……………………なんか言ってぇ!


 もう限界だから! 涙目になっちゃうから!


 顔が! 恥ずかしさで死んじゃう!!


「……うん。ちょっと元気出た。ありがとう、ソフィア」


 なにやら納得してくれたようで本当によかった。


 えへへ、と恥ずかしそうに笑う表情からは、言葉通り暗さが無くなっていた。いつものカレンが蕾ならば、今のカレンはさしずめ綻んだ花。


 朱色の花弁を頬にのせ、明るく照れ笑う彼女のかわいいこと。


「……うん」


 あー! 萌え死ぬ!

 この笑顔になら殺されてもいい!


かわいいは正義!

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