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アイテムボックスが悪い


 それにしても、ヘレナさんに尊敬の眼差しで見られるハメになろうとは。


 ちょっと聞かれるままに喋りすぎた感ある。

 今更だけどね。


 でも美味しいお菓子で気が緩んでたというか、天国を満喫してたから仕方ないと思うの。


 素晴らしいおやつの提供者であるヘレナさんにサービスしてもいいんじゃ? とかの心理も働いただろうし。


 聞かれたから答えただけではあるんだけどね。


 つまるところお菓子が美味しかったせいだ、うん。いやお菓子に罪なんてあるはずない。だってこんなに美味しいんだもの。


 罪と言うならアイテムボックスの存在自体が罪だな。



 調べれば調べるほどに新たな謎と混沌(カオス)を齎す神秘の魔法【アイテムボックス】。


 ふむ、神秘か。


 ノリで出てきた言葉だけど言い得て妙だ。

 前にも思ったけど、宇宙創造って神様の領域だと思うんだよね。


 アイテムボックスを使う時って、内部は確かに宇宙を想像してはいるんだけど。


 それも「私は万能だからなんでもできーる! なんでもつくれーる!」と思い込んで発動したものでは、確かにあるんだけれども。


 さすがに宇宙まで作っちゃうとねぇ。


 やっぱ私、自覚がないだけで神様なのかもしれん。


 くっ、この事実にもっと早く気付いていれば。

 そしたら知らない村とか行って、のじゃロリ神様プレイとかしたのに!


「妾は神様なのじゃ。崇め奉り、清き信仰を捧げるものに奇跡を見せてやるのじゃー」とか適当言って、問題起こさずに新魔法の試し打ちとかできたのに!


 そうでなくても、ネムちゃん見てたら神様プレイも楽しそうとか思うよね!


 しかも私ってほら、幼少期は銀髪幼女じゃん。

 銀髪ロリとか、月夜の晩に空飛んでるだけで神秘性バツグンじゃん? お手軽神様認定もらえるじゃん? ああ実に勿体ないことをした……ッ!


 これは悔やんでも悔やみきれない!


 人生で一回限りの、貴重なロリタイムを無為に――いや待て!


 ――月を背に、空に浮かぶは謎のシルエット。


 腰まで伸びる長い髪。そして女性的なメリハリある肢体。


 月明かりに照らされ、露わになった姿はなんと、此の世のものとは思えぬ絶世の美女。神秘のヴェールに包まれたその正体は、果たして……神か、悪魔か。


 ――みたいな路線もアリじゃないか!?


 うん、アリ。むしろアリ。アリアリですよ! 絶世の美女、いいね!


 ただそうなると私の発育が緩やかなのが悔やまれるな。


 残念ながら、現時点では同級生の中でもトップクラスの幼さだからね、私。もちろん外見の話ですよ。


 まあこればかりは将来に期待だ。時間が解決する問題は今は置いておこう。


 妄想がぶっ飛んだおかげで気分もリフレッシュできたから、そろそろ目を逸らしてきた問題に対処すべきなんだけど……。


 ううむ、しかし困ったな。

 不用意に知識ひけらかしちゃったけど、私は科学者とかになるつもりは無いんだ。研究者のヘレナさんに尊敬される立場というのはやはり良くない。


 一応話す内容には注意して、引力と重力、宇宙の概念と、あとは水の性質や気体の性質。密度がなんちゃら、空気の膨張がどうたらと、ちょちょっと説明しただけなんだけど……というか、説明した私だって「この説明じゃ分かんないよね」ってくらいの簡単な説明だったのに、ヘレナさんめっちゃ食いついてくるし、あんまり深いこと聞かれても私自身完全に理解してるわけじゃないしで、しどろもどろだった自覚あるんだけど……。


 それでもヘレナさんにとっては、自信を喪失させるのに充分な知識量だったみたいだ。


 よくこれだけ覚えてたと喜べばいいのか、詰め込んだだけの知識で自信失わせてごめんと悲しめばいいのか。


 とはいえこれ、もう完全にお母様案件じゃないかな。


 科学とか化学とか物理学とか、理系科目って応用次第でかなり危ないことに転用できる気がするし、どう考えても私の手に余る。


 お母様と相談して、人に話してもいい知識と、秘匿すべき知識を明確にしたい。


 でないと……。


 チラッとヘレナさんの様子を窺う。


 案の定というべきか。

 メモ用の紙束を準備して、テーブルの隅の一角を占拠したヘレナさんと目が合った。


「それで、ソフィアちゃん。まだ帰るまで時間はあるわよね? さっき言いかけてた『恒星』とか『電離』とか、どういう意味なのか教えてくれない?」


 知識欲に飢えた獣さんの目が怖い。


 未だに理性が残ってるヘレナさん相手だからこうしてお願いされる形で済んでるけど、もしかしなくてもこれ、相手によっては拷問とかされるレベルの知識だったりするんじゃないかな?


 こちらにはチートな魔法があるとはいえ、さすがに拷問されるかもとか考えただけで怖いな。


 やっぱり早いうちにお母様に丸投げして対処してもらお。


「まあまあ。ヘレナさんもこちらに座って一緒にお茶でもしながら話しませんか? 私もずっと魔法を使い続けて疲れちゃいましたし」


 その為にも、はやく家に帰らないとね。


 実際は疲れてないけど、というかずっとお菓子食べてただけだけど。

 逃げませんよ〜ということを示すために努めて穏やかに隣を勧めてみた。


 さて、ここからヘレナさんを、どう言いくるめて帰ろうかな?


困った時はお母様に丸投げ!

悩んだ時もお母様に丸投げ!

お母様大明神様ならきっとなんとかしてくれる!だってお母様だから!

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