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生みの親として責任を取ろう


「ご迷惑をおかけしました」


 山賊のみなさんにぺこりと謝罪。


 私がお母様の娘だと分かるとみんな驚いていた。

 青い髪のお母様と違って私の髪はお父様譲りの銀髪だ。顔立ちもお父様似らしい。性格も……。


 一つ一つ並べてみれば確かにお母様とは似ていない。せいぜい腹黒さくらいだろう。思っても誰にも言えないけど。


 チラとお母様を見遣れば意味ありげに微笑まれた。


 違う。あれは私に後ろめたいことがあるからそう見えるだけだ。邪な考えがバレているわけじゃない。

 ニッコリと微笑み返しておいた。


「お母さんに会えて良かったね!」


 母娘の再会に見えたのだろう、レニーの純粋な笑顔が眩しい。


 ていうか本当に迷子だと思ってたのかな。

 まぁいいや、薮蛇になりかねないし。


「送ろう。外には魔物がいる」

「そうなのですか?」


 団長さんの言葉にお母様が意外そうに問いかける。


 二人は魔物のことで話し合っていたそうだから、何か予定外のことでも起こったのかな?


「はい、今日生まれたやつみたいです。それを追いかけている内に、この子と会ったんですよ」


 団長さんに代わってレニーが返事をしながら近づいてきた。


 なでなで。

 話しながら嬉しそうに頭を撫でてくる。


 私の頭を撫でるとみんな同じ顔をするんだけど、そんなに撫で心地がいいのかな。自分で触ってもよくわからない。


 頭の触り心地を確かめるついでにレニーの手をもにもにしていると抱き締められた。


「襲われなくてよかったねー」


 ねーっと言われても愛想笑いしか返せない。だって襲われてるし。結構怖かったし。


「ええ本当に。ソフィア、こちらに」


 レニーとじゃれあっているとおいでおいでと手招きされた。


 お母様も抱きたくなったのかな?


 お母様は私を着せ替えたり、ぬいぐるみを抱かせたり、自分の膝の上に乗せたりするのが好きだ。

 その時の私は着せ替え人形に徹することにしている。


 ちなみに、お姉様は自分に似すぎていてイマイチで、お兄様は嫌がるから必然的に私の役目になった。


 私は色んな服を着れて楽しい、お母様は着せて楽しい、お姉様は見て嬉しい、お兄様もお父様も楽しそうな家族を見て嬉しい。

 みんなが嬉しい、得しかない。


 他所様の家なのにお母様はしょうがないなあと近寄った私は簡単に捕獲された。


「ソフィア、貴女魔物に会っていますね?」


 ビクッ。


「魔物はどうしました?」


 私ってそんな分かりやすいかな。ちょっとヘコむ。


 とりあえず風の魔法でスパッと殺ったことを伝えると顔を顰められた。


 うん、気持ちは分かる。

 でも緊急事態だったからね、丁寧に絞める暇はなかったんだ。


「魔石はどうしました」


 魔石。

 魔物を倒すと出るってやつだ。


 そんなものは決まっている。


「忘れてました。取りに行きましょう」


 あぶないあぶない、私としたことが。

 魔物を狩ったら剥ぎ取るのは常識だというのに、死体が残らなかったからろくに確かめもしなかったのは失敗だったね。


「いえ、貴女は残っていなさい。私が――」


 お母様が言いかけた時、背筋がゾワッとした。


 うわあ気持ち悪い、なんだこれ。

 何故かナマズが地震予知する時ってこんな感じかなとか思った。


 そしてその感覚は割と当たりだったらしい。


「また魔物が出たのか。最近は本当に多いな」

「しかも大物だな。久しぶりじゃないか?」


 団員達がざわめき出した。

 今のは魔物が出たときに感じたのと同じものだったんだね。


 これからどうなるのかと見ているとお母様が耳元で囁いた。くすぐったい。


「何を他人事のような顔をしているんです。恐らく、貴女が回収し損ねた魔石が原因ですよ」


 びっくりして振り返った。

 え? 私のせい?


 魔石を魔物に変えるにはごにょごにょする必要があるんじゃなかったっけ?


 狼狽えている間にお母様は私を見据えて告げた。


「事情が変わりました。貴女が産んだものです、きちんと責任を取りなさい」


 それはつまり、私に魔物をどうにかしろってことかな?


 さっきは待ってなさいって言いかけてたのにどういうことなの。

次回、一瞬ですっぱりされた魔物くん進化して再登場

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