Another視点:感謝の祭祀
台詞オンリー回。
「ソフィアちゃん、魔法もすごくて、なのにかわいくて」
「つまりすごかわ。すごくかわいい」
「ネフィリムちゃんだって、とてもじゃないがあんな魔法真似できないよ。魔王を名乗るだけはある」
「つまりとってま。とっても魔王」
「なにさっきから」
「あだ名考えてて。かわいくない?」
「可愛くないことも無いけど……普通に名前で呼べば?」
「そんな畏れ多い! 彼女等を名前で呼ぶなんてそんな畏れ多い!」
「あだ名の方が畏れ多くない?」
「てかロランドはいいのか」
「彼も神。ここに三柱は揃われた」
「御利益ありそうだから拝んどこ」
「ああズルいぞ! 私も拝む!」
「まとめて拝めばいいじゃん。ネフィリムちゃん喜びそうだし」
「天才か」
「じゃあ僕、祭司するね。祝詞もいくつか知ってるし」
「おう任せた! さすがロランドくんは気が利く……あれ?」
「神だ! 神がご降臨なされた!」
「祭司は神と人とを繋ぐものだから、人から見れば神に見えるのかもしれないね」
「お、おう、そうか。そうか……?」
「騙されるな! そいつは祀られるのがいやなだけだ!」
「そういえばソフィアが、妹に愛される兄になる方法を――」
「さあ何してるんだみんな! 祭司様の前に可憐な二人の神様をお連れするんだ!」
「なんて見事な買収術」
「さすがロランド。これぞロランド」
「あ、当然だけど。このことはソフィアには秘密にしておいてね。僕、いいお兄様で通してるからさ」
「かかかかしこまりましたぁ!」
「こいつこそ真の魔王だよなあ」
「表の支配者と陰の支配者を兼任する真の支配者。特別クラスにいる限り、彼の支配から逃れることは出来ない……っ!」
「逃れてもいいよ?」
「そんな畏れ多い! 滅相もないですそんな畏れ多い!」
「気に入ったのかそれ」
「私はもっと支配して欲しいですわ!」
「出たなロランドの愛人!」
「ペットじゃなかった?」
「未来を誓い合った婚約者ですわ!」
「どれも違うからね」
「顔はいいのになあ……」
「家格もいいのになあ……」
「こんなペット嫌だよね」
「みなさまあんまりですわ! でもロランド様にならもっと詰っていただいても!」
「ネフィリムさん。みんなが魔法を見せてもらったお礼がしたいみたいだから、こっちに来てもらえる?」
「安定のスルー」
「知ってた」
「そんな冷たいところも素敵……」
「これだもんね」
「これも知ってた」
「はいはい、お約束もいいけど、下級生の子にあんまり恥ずかしいところ見せないでよね」
「今更じゃね?」
「私たちっていつも等身大で生きてるからね!」
「ネフィリムちゃんやソフィアちゃんに失望されてもいいの?」
「それは困る!」
「さあみんな! 俺たちの感謝を示そうぜ!」
「「「おお!」」」
「でもこれ普通は引かない?」
「大丈夫でしょ。ロランドくんの妹さんだし」
「それもそっか」
「俺ソフィアちゃんになら蔑まれるのアリかもしれない」
「変態かよ! でも分かる」
「はいはーい、変態どもは一番遠いところに並んでくださーい」
「「そんな殺生な!」」
常に人を動かせる側に立つ、それがロランドクオリティ。
クラスメイトはとっくに掌握済み。そう、一年前から彼の支配は始まっていたのだ――。