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ロランドvsクラスメイト


 私をクラスの共有妹にしようと企むお兄様のクラスメイト全員と、私を守るべく立ち塞がるお兄様が対峙する。なんだこれ。


 この構図は美味しいけど、なんだこれ?? 全員そっち側なの? 常識人いないとか嘘でしょ。


「ロランド! ソフィアちゃんを独り占めするなんてズルいぞ!」


「独り占めも何も、ソフィアは僕の妹だ」


 僕の! 妹!!


 ぐっはぁ! いい! いいよこれ! お兄様のクラスメイトの方々、グッジョブ!


 お兄様は純粋に、私が妹であるという事実を述べたに過ぎないということは重々承知しておりますとも。


 それでも背後に庇われるという胸きゅんシチュエーションに「ソフィアは僕のだ」発言!

 お兄様、嬉しいですけど心臓がつらいので手加減してください!


「ロランド君!」


 警戒するお兄様の前に一人の女子が踏み出した!


「私たちは、ロランド君からソフィアちゃんを奪いたいわけじゃないの。みんなでソフィアちゃんを可愛がりたいだけなのよ!」


「そうよ! ロランド君だってよく自慢していたじゃない。私たちはソフィアちゃんと、もっと仲良くなりたいだけなの!」


 え、よく自慢してたんですかお兄様? 教室で妹のことを? それってちょっとシスコン入ってませんかいやー照れるうー!


「俺だってそうだ!」


 おおっと、今度は男子からの主張だぁっ!


「お前の話を聞く度、俺は思っていた。『そんな理想的な妹がいるはずがない』、『ロランドでも家族は欲目で見るんだな』と。だがしかしっ!」


 握り締めた拳をバッと振り払い、お兄様に熱く語りかけるッ!!


「ソフィアちゃんは、正に理想の妹だった!! 愛らしく可憐で、兄であるお前を見る目には確かな憧憬が込められていた! 溢れんばかりの親愛の情があったッ!!」


 見える、見えるよ。私には彼の流す血涙が見える。


 彼は本気で叫んでいるんだ。

 今、魂の叫びをお兄様にぶつけているんだ!


「そんな彼女を見てっ、羨ましく思わないわけが無いだろう!? お前ら兄妹が仲睦まじく笑い合うのを見る度に、俺の妹は『外では話し掛けないで』とか言ってくるのにって絶望する俺の気持ちがお前に分かるか!? 分かるはずがないよなぁ!? 俺だって『お兄様♪』って呼ばれたいッ!!」


 妹ちゃん、お兄さんに優しくしてあげてーっ!!


「それをおま、お前ぇっ、これ見よがしにそんなっ! お、俺っ、俺だってなぁっ」


「もういい、やすめ!」


「お前の気持ちは充分伝わったから! それ以上傷つくんじゃない!」


 うおおぉぉーーーんっ! という慟哭を残して仲間たちに引きずられていく彼。


 これが、魂の叫びか。

 悲しい気持ち、伝わったよ。辛かったんだね、苦しかったんだね……。


 でもちょっと暑苦しかったから、妹ちゃんのウザがる気持ちもわかるな。

 あ、ほんのちょっとだけだよ? でもアレが日常だとすると……。


 日頃からの貢ぎ物が効果的だと後で助言してあげよう。


「なあ、ロランド」


 あ、今度は自称お兄様の親友の人だ。


 なんかもう観劇してるみたいで楽しくなってきたよね。お兄様のクラスメイト、愉快すぎる。


「お前の妹は、お前が言うとおり、最高の妹だよ。それを散々自慢して、見せびらかして……。俺たちには話もさせてくれないってのは、ちょっと酷いと思わねぇか?」


 お兄様が、ぐ、と喉を詰まらせる。


 お兄様、優しいからね。罪悪感を刺激するのは効果的だろう。

 的確にお兄様の弱点を突くとは、さすが親友を自称するだけはある。


 でも度が過ぎたら止めるからね?

 お兄様を傷つけるのは私が許さないよ。もし普段からお兄様の優しさを利用してるようなら……、まあ、いらない心配かな。今のところは、だけどね。


 私が発した不穏な気配を察したのか、女子たちの空気が若干乱れたのを感じたけど、お兄様の前で自らの演説に酔う自称親友さんには全く効果が無かったようだ。


 そうだ。そういえばこの人鈍感だったね。


「なあ、ロランド」


 その割にはお兄様が自分を責めるだけの間をとってから言葉を続けるあたり、伊達に特別クラスじゃないってことなのかな。


「お前が自慢してたソフィアちゃんの優しさ。俺たちにも感じさせてくれよ」


 なんか言い方エロいね、気のせいかな。


「お兄様を狙う女の子には牽制しとかないとね」

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