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vs剣姫


「いきます」


 相対して初めてわかる剣姫様の怖さ。


 めっちゃ速い。そして容赦ない。

 迫る剣先は、真っ直ぐに私の顔面を目指して突っ込んできた。


 振りかぶる動作も何も無い。

 速度にものを言わせた、神速の突き。


「くひぃっ!」


 慌てて回避したら変な声が出た。恥ずかしい!


 それよりもミュラーさん、手加減してくれるんじゃなかったの!? 初手から全力で潰しに来てるじゃないですか! 超怖かったんですけど!?


「やっぱり避けたわね」


 やっぱりじゃないんですけど!?


 心臓はバクバクいってるし、たぶん涙目になってるし、というか突きって、しかも顔面にに突きって! 何考えてるのこの人!? 乙女の顔に傷が付いたら責任とってくれるの!?


 もう、もう言いたいことがいくらでも浮かんで来るのに、ひとつも言葉になってくれない! 文句よ伝われ! ていうかアホか! あんなの当たったら死ぬわ!


 自分の状態を確かめてみれば、膝はガクガク、呼吸も浅くなってた。言葉が出ないのも納得の怯えっぷりだった。


 いやだって、普通に生きてて顔面に全力で剣先突っ込まれることなんて無いでしょ? そりゃ怖いよ。


「て、手加減してくれるんじゃなかったの?」


 ほら声震えてるじゃん。心臓なんて口から飛び出そうだよどうしてくれるの。


「ソフィアなら避けられる気がして」


 気がしてって、避けてなかったら大惨事だよ!!


 この子、剣姫なんてお綺麗なもんじゃない。狂戦士だよ。バーサーカーだよ戦闘狂のウォーモンガーだよ。つまり理屈が通じない系。


 ……ホントに死ぬ可能性、あるんじゃないか?


 一瞬ヒヤリとしたけど大丈夫なことを思い出した。

 突然の事でビックリして完全に忘れてたけど、身体強化の魔法が掛けてあるから刃物が飛んでこようがダンプカーが突進してこようが平気なんだった。ここにダンプカーないけど。


 まさか本当に必要な場面が来るとは思ってなかったから、いざその時になってもすっかり忘れてた。


 まあ忘れてようが覚えてようが怖いものは怖い。いやもうホントに。

 大丈夫だからってあの刺突を真正面から受けるとか考えらんない。


 というかね、もう戦意萎え萎えですよ。

 正直剣術とか、ネムちゃんと同じで「できたら格好良いなー」くらいの軽い気持ちだからこんなに怖い思いするくらいだったら剣術とか出来なくていいです。


 そうだよ、ミュラーこんなに強いんだから勇者として魔王でも倒すのがいいんじゃないかな。お相手はあちらですよ?


 あ、カレンちゃんとネムちゃんのとこほのぼのしてていいなあ。私もそっちに行きたい。


「余所見なんて余裕ね」


「ひゃわ、わぁっ!」


 やめてえ! 追撃やめてえ!


 私程度の技量じゃ止められないから物理的に距離取るしか対処法ないんだって! 身体強化の温存とか言ってられないだって怖いもん風切り音おかしいってもう許してよぉ!!


「降参しますからもう止めません!?」


「これから楽しくなりそうなのに、降参なんて許すはずないでしょ?」


 剣姫様、怖い。

 その笑顔も考え方も、何もかもが怖いわ。


 追撃の速度も加速度的に上がってるし、これもう身体強化してるの完全にバレてるよね。というかかなり本気出してるのにそろそろ余裕なくなりそう。ミュラーってばマジ強すぎ。


 仕方ない、こうなったら奥の手を出すしかないな。


 人はいつだって、抗えない暴力には知恵で打ち勝ってきたのだ。屈するものか!


 弱者だって舐めてかかると痛い目を見るってこと、思い知らせてくれよう!


「あっ、カレン!今の、今の角度いい!カッコよかった!」

「そ、そう?よかったね」


――魔王様主導のポージング研究は熱を増してゆく!

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