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フラグは見つけ次第折る


 圧巻の試合が終わって、直ぐに復活した先生がわっはっはと笑っている。


 男子はその回復力に驚嘆し、女子は……ミュラーの勇姿に大興奮だった。


「すごいね! セリティスさんすごいね!」


「最後の大丈夫だったの? 怖くなかった?」


 一躍人気者だ。

 みんなに囲まれて誇らしげにしている姿は知らない人みたいにも見えて、でもそんな一面もミュラーらしさなんだろうと思い直した。


 個人的にはウォルフ関連で百面相してる方が愉快で楽しいけど、戦ってる姿も格好良かったし。

 今の姿なら【剣姫】と名乗られても納得出来る。


 そういえば普段はあそこの女子たちを独占してる王子様はどんな顔してるかなと思って探してみれば、初めに先生に呼ばれた中にいたみたいで一人も女子を侍らせていなかった。

 それでこんなにミュラーに集まってるのか。なんか納得。


「ミュラーはすごいだろう」


 先生に呼ばれなかった仲間のウォルフが、とても意味深な響きを込めて声をかけてきた。


 ウォルフ君、今日は私に絡む日なのかな。


 まず声の調子とか、ミュラーのことで悩んでますって私に伝えようとしてない? あわよくば相談相手に仕立てようとされてる気がする。


 だってこの子、ミュラー相手だとちゃんと内心隠そうとしてるもん。

 私と話す時だけ察してくださいとばかりに深刻そうな声出すの。確信犯でしょ。


 あと空気も読めるはずだよね。

 私が情事……じゃないけど、それっぽいの見てたのを指摘されて、恥ずかしいからわざわざ離れた位置にカレンちゃんたちと陣取ったのにどうしてこっち来るのかな。

 君はもっと人の気持ちに敏感な、空気読める子だって私知ってるよ。


「先生の回復力もすごいですよね」


 だからつい話を逸らしちゃう。


 だってなんかもう、想像つくじゃん。

 相思相愛なのにくっつかない二人。公爵家ですごく強い女の子と、同じ武門の家でも先生の目に止まらない男の子。


 自殺しそうなくらい悩んでるなら別だけど、これって要は男の子のプライド的な問題でしょ。


 女の子側からしたら「そんなのいいから」って思うけど、でも公爵って響きだけでもう怖いし、お互いの家族に反対されそうな気もするし、ウォルフが不安で踏み出せなくなるのもわかる。確かに重い問題だよね。


 でもほら、事情知らなくても既にとっても面倒そうじゃん。ぶっちゃけ関わりたくないじゃん。

 そもそも貴族社会に未だ適合できてない私が相談なんか乗れないって。


 悪いとは思うけど、素直に相談されてないうちからのお節介は、ほら。私もちゃんと反省する機能ついてるから。今までの推測が全部勘違いの可能性もあるしね?


「……ミュ」


「そうそう! 先生の最後の技! あれすごかったよね! 私ドキドキしちゃった!」


 言わせん、言わせんぞぉ。

 愛の試練は厳しいものを乗り越えてこそ意味があるんだ。


 自分で言うのもなんだけど、私を相談相手にするのは間違ってると思う。それは本当に思う。


 けど同時に、お助けキャラとしての私の性能は破格だとも思う。


 未来視とかは禁呪指定したから使わないけど、興味湧いたらそんな禁ほいほい破っちゃう自覚あるし、未来視なんかなくても遠見、読心で相手の現在地、好感度を把握し、天候操作に気温操作でデート日和も人為的に作れちゃう恋愛ゲームのシステムみたいな性能してるんだから。こんなのに頼っちゃダメでしょ、常識的に。


「うむ、剣術のすごさがとても伝わってきたのだ! というか我も使いたい!」


「……お二人とも、怪我がなくて良かったです」


 うむ、だから私はお友達とイチャイチャすることにします。



 ウォルフ君。

 世の中には「フラグ」という概念があってね。


 想い人との相談に乗ってもらってた女の子がだんだん気になってきて……とか、そーゆーのテンプレって言って、よくある話なんですよ。


 私はそんな誰も得しない展開ノーセンキューなので、こんな非攻略対象の女の子無視して、そろそろ後ろ見よう?

 初めはチラチラ見てたのに今ではこちらを凝視してる剣姫様、褒めてあげると好感度がグッと上がると思うけどなあ。


 男子のプライドもあるだろうけど、女の子には優しくするものだよ。


(だから私にも優しくしてね!)という心の声が聞こえる。

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