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妖しい二人


 男の子の活躍の場、剣術の時間がやって参りました。


 特別クラスは他のクラスとは違って、剣術や魔法もクラス単位で受けるらしい。


 特別クラスへと選ばれる基準は突出した何かがあるか、平均的に優秀であることが条件であると独自の調査によって確認が取れている。


 なお調査方法は身体強化によって遠くの話し声まで良く聞こえるようなった地獄聞き耳による地道な盗み聞きです。

 先生の会話も聞いたから間違いない。


 私は多分平均的に好成績タイプで、剣術で目を閉じちゃうカレンちゃんは筆記で優秀だから選ばれたんだろう。


 そんな選抜基準なら剣術の時間だけでもクラス単位じゃなく能力で組を分ける方が合理的だと思うんだけど。

 得意な人と苦手な人がごっちゃで練度の差が激しくとも、優秀な技術を見るのはそれだけで価値があるってことらしい。特別クラス特典だね。


 先生のレベルはちゃんと上に合わせてるし、生徒同士で教えるのも勉強になるんだ。とカイルが教えてくれた。


 武門の子がそう言うならそういうものなんだろう。



 そんなわけで、剣術の授業は入学試験で剣術を選ばなかった人もやる。

 それがどういうことか。


 お分かりかな? 簡単な推理だね。

 今日は女の子もいっぱい参加するということです。


 集まって「えーどうしよー」とか言ってる女の子たちに興味のない素振りをしつつ、チラチラと盗み見る男子の多いこと。


 練度が低い女子を入れることで男の子がいいところ見せようと張り切る。結果、男子の練度が上がる。

 この教育プランを考えた人は策士だね。


 それにしても……。


 真面目に取り組む男子と、それを物色する女子と、その女子を見る男子。


 この雰囲気なごむわー。


 あっちでイチャイチャしてるカップルよりもこっちの初々しい集団見てる方が絶対いい。いや羨ましいとかではなく。


 だってあの二人、雰囲気おかしいもん。


 能天気に「すごいだろー」「すごーい」とかやってれば微笑ましく見てられるんだけど、女の子は身を寄せて腕とかお腹とか撫で回してるし、男の子はそんな彼女の耳元で甘い言葉を囁いてるし。いや聞き耳立ててるとかではなくてね?


 子供の出せる色気じゃないよ。背後にラブホでも幻視できそうでこっちの顔が熱くなってくる。


「ソフィアもああいうのが気になるのかな?」


 ビックゥ!


 いつの間にかウォルフに後ろを取られてた。

 心臓に悪い。


「いえ、あのような行為をこの場でされていることに少々驚いてしまいまして」


 悲鳴を上げなかった私グッジョブ。


 実際浮いてるというか、明らかにあそこだけ空気が違う。

 授業中であることを考えれば私の言い分は正しい。問題ない。顔も見て分かる程に赤くはなってないはず。


 だというのに、私の返事を聞いたウォルフは笑い出した。


「ははっ……、ああごめんね。いやあカイルがさ、君が緊張すると敬語になるって言ってたもんだから」


 またカイルか。マジでこりないなアイツ。


 つまりこういうことでしょ。

 カイルが余計なことを言ったせいで、私がカップルの妖しい行動を興味津々で見ていたことがバレてると。


 もうどうしようね。


 カイルと仕返しのイタチごっこしてもキリがないし、それよりも今はなんとかこの場を誤魔化して……でも既にバレてるわけで……。

 これ以上は恥の上塗りになりそうだし、敗北を認めるしかないのか。


 ダメだ。冷静に思考して落ち着こうとしても顔が赤くなってるのがわかる。おのれえ。


「あまりいじめないでください」


「あはは、ごめんね」


 くう、恥ずかしい。

 昨日に引き続きウォルフには恥ずかしいところを見られてばっかりだ。


 ウォルフって腹黒っぽいから、あんまり弱み見せたくないんだけどな。


剣姫様が、とある男の子を目で追っていました。

彼が女の子に声をかけます。するとその子は驚いた様子で、頬を赤く染めたではありませんか。


――ギルティ?

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