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お友達の作り方


 反省ってなんだろうね。


 そんな哲学的なことに思いを馳せてみた。


 いやね、私ってほら、万能で完璧な美少女だけど、ちょっぴりお茶目な一面があるじゃん?


 玉に(きず)、ってやつ? ただ完璧なだけじゃなく、弱点も併せ持ってて親しみやすい感じのあれよあれ。

 だから失敗とかそんなに気にしないようにしてるんだけどさ。


 最近、ちょっと多いよね、失敗。

 少しのドジなら「かわいいでしょ?」で済んでも、短期間に何度も失敗したらさすがにどうかなーと思ったりするんですよ、これでも。


 で、反省って過去を振り返るものじゃん?

 もうあんな失敗はしない! という戒めであって、まあ決意表明というか願掛けというか、要するにほら。過ぎちゃったもんは仕方ない面もあるじゃん。


 でも事態が未だ進行中なのに反省が必要な場面もあるわけですよ。


 今が正にそれ。


 昨日はごたごたしてて忘れて帰っちゃったけど、カレンちゃんに声掛けてるまま放置してたんだよね。


 おどおどチラチラしてるの見るのは普段だったらかわいいなあで済むんだけど、今日はさすがに罪悪感が勝ってそれどころじゃない。あ、もちろんカレンちゃんは今日もかわいいですよ!? でもそうじゃなくて!


「あのカレンさん! 私とお友達になってください! 昨日もそう言おうと思って声を掛けたんです!」


 もう邪魔の入る余地が無いように一息に言いきった。


 若干クラスメイトの視線が向くけどね、もう今更っていうか。

 だって昨日のこと以上の恥とか存在しないでしょ? もう開き直ったよね。どうしようもないなら気にするだけ損だわ。


 我ながら神経太いなーとは思うけど、切り替えって大事だと思う。


「え、っと……。メルクリス、さん?」


「ソフィアって呼んでください、私もカレンって呼ぶので。それにしてもカレン、勉強が得意なんだね。全問正解なんてすごいよ!」


 戸惑ってるけど押し通す。


 気弱系は警戒心強いから、穏当に距離を詰めるなら毎日の声掛けから始めるのがいいんだろうけど、昨日の私を見られた時点で警戒心とか気にするだけ無駄ムダ。どうせもう変な人認定されてるよ。……悲しくなんてないやい。


 だから強引にいくことにした。

 多少ウザかろうが馴れ馴れしくして友達っぽくする。名付けて既成事実作戦。


「あ、その……そんなことない、よ?」


 素で言ってるなこれ。

 自分の学力がクラスの頂点だっていう自覚ないな。ていうか気弱っぽいのに発言割りと強気だよねこの子。天然か?


「そんなことあるよ! 私も結構自信あったのにいくつか間違えちゃったもん」


 そうそう、間違えて全問正解しそうになってたんだよね。

 こんな間違え方する人他にいないと思う。


「……ソフィアさんも、四位だったよね? 充分すごい、と思う……うん、すごい……」


「ありがとう!」


 いいねいいね、褒め合いはコミュニケーションの基本だよね。


 っていうか私四位だったんだね。

 一位がカレンちゃん、二位が王子様。三位にもう一人いるのか。


 さすがは特別クラス。学力高いね。


 それにしても、なんか話しかける前より落ち込まれたんだけどどこかで地雷でも踏み抜いたかな。とても申し訳ない。


 NGワードに気をつけながら次の言葉を探していると、私たちに近付く人物に気づいた。


「そうか、四位か……ふはは! ならばソフィア、さん。貴様は今日から我の配下となるがいい!」


「わーネムちゃんだー」


「ネムちゃんって呼ばないで!」


 面倒くさ……もとい。自称魔王っ娘のネムちゃんが現れた。

 例の魔女帽子とマントは装備してないけど魔王モードらしい。


「で、なんで配下?」


「うむ。魔王には優秀な配下がいるものだからな!」


 ふはは! と高笑いを始めて会話が困難になったネムちゃんに首を捻っていると、カレンがネムちゃんにビクつきながら教えてくれた。衝撃の事実を。


「あの、ネフィリムさんが三位だからではないでしょうか」


「え? この子三位なの? 筆記の試験で? うっそだあ」


「嘘ではない!」


 女子三人でわいわいきゃーきゃーやってたら、こちらの様子を(うかが)ってた王子様が諦めたのを感じた。

 良かった、こっちに来なくて。



 それにしても、ネムちゃんが成績上位なんてねぇ……。


 うっそだあ。


孤高じゃないぼっちはチョロいんです。

チョロっと褒めれば直ぐに仲良くなれるんです。間違いない。

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