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お母様から逃げよう

    

「知ってるんだな」


 なんとびっくり山賊とメルクリス家には関わりがあった。


 お父様は最近部屋に篭りっぱなしで出ていないはずだ。なら、こちらに来ているのはお母様だろう。


 なんでも最近現れた魔物について意見を求められたらしい。


 過去形だった。

 つまり、お母様は既に帰宅の途に就いている。


「今からここで会う予定なんですよ」とかじゃなくて心底安心したよ、これも普段の行いのお陰だね!


 一瞬でメルクリス家の関係者だってバレたけどまだ大丈夫。うん、まだいけるいける。


「じゃあまだ街にいるはずだし行こっか。早い方がいいよね」

「ああ」

「まま待ってください!」


 全然大丈夫じゃない!

 とにかくなにか喋ってないと、このままではすぐにでもお母様の前に引っ立てられてしまう!


「私、山賊さんのお話に感銘を受けました!  もっと聞きたいです!」


 いけない、慌てすぎてる頭が働いてない。

 こんなんじゃダメだ、煽りが足りない!


「山賊さんはこんなに大変で危険な仕事をしてくださっているのに私が知らなかったようにまだ山賊さん達の素晴らしさを知らない人がいると思うんです! 私もお友達に話してあげたいので是非もっと武勇伝を聞かせてください!」


 これでどうだ!?

 両手を合わせて上目遣いっ! 娘を持つ父ならこれは効果抜群でしょう!? 演技じゃなく目もうるうるしてるよ!


 煽てに周りの男達が反応した。団長さんも狼狽え気味でいい流れだったのに隣から「ぷふっ」と笑いが零れると団長さんの顔が「しまった!」と言わんばかりに歪められ正気に戻ってしまった。レニイイィィィィ!!


「あはははは! そんなに会いたくないの? 大丈夫だよ、アイリス様は優しい人だからお父さんやお母さんにあんまり怒られないように取り計らってくれると思うよ」


 うん、違うんだレニー。そのお母さんがアイリス様なんだよ。


 そりゃあ、彼女たちから見た私は森で迷っていた貴族の子。

 保護しないで放り出すなんて選択肢は無いだろうけど、私は見なかったことにして放り出されたい。


 心配をかけて怒られるだけなら甘んじて受けよう。

 だが私はお父様と話をした同日にアイゼンに近い森にいるという不可能事の上にいる。

 この事実は言い訳ができない。


 もしかしたら魔法の事を話さなくてはならないかもしれない。


 飛翔魔法や透明化魔法といった()()()()()魔法。


 私がそれらを使えると知った時、あの暖かい家族のみんなは……どんな反応をするだろうか?


「じゃ、スワン。ひとっ走り行ってきてー」

「うぃーっす」

「あああああああ!!」


 私が悩んでる間にレニーが取り返しのつかないことをしてしまった!

 今ちょっとシリアスな顔してたでしょ空気読んで!


 心の準備できてないでしょ!!


「そんな死にそうな顔しなくても大丈夫だって〜。ボクに任せときなって!」


 何が大丈夫なのか! なんて能天気なんだ!


 あっはっはとレニーの笑い声が聞こえる。

 その声を聞いていると、もう足掻くだけ無駄な気がしてきた。


 山賊の女の子、強い。


 激しく頭を抱えていたら目の前に菓子の入った皿が置かれた。

 その隣に飲み物、食べ物も置かれ、次々と増えていく。


 更には椅子を持った男達が私達のテーブルの周りに集まってきた。


「さて、あとは待つだけだ。武勇伝だったな。時間の許す限り話してやろう」


 何が始まったのかと驚く私に告げて。

 団長さんが、ニヤリと笑った。

レニーに弄ばれるソフィアちゃんの巻

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