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次なる作戦


 第一次作戦は失敗した。ならば次の作戦だ!



 カイルが抱いているカレンちゃんへの好感度によって次の行動を決めようと思ってたんだけど、そこが不明のままだと選べる行動が限られてくる。


 とりあえず密室で二人きりにでもしとけば進展するかな?

 いやいや、そんな簡単に済むならもうとっくに付き合ってるよね。やはりカイルにもカレンちゃんと付き合いたいという意志を持ってもらうことが肝要だ。


 ――と、いうことで。


「カレンの魅力をアピールしていこうと思うんだけど、どうかな?」


「あ、アピール……?」


 今度はカレンちゃんを推していく形でいこうと思うわけ。題して「カレンちゃんのいいとこ見せて惚れさせちゃお☆」大作戦だね!


 カイルの好みなんて知らないけれど、カレンちゃんのいい所なら知っている。優しくて謙虚で照れるとかわいい。もちろん照れてなくてもちょーかわいい。


 つまりはとってもかわいい女の子ってことだね。


「具体的に言えば、まずはカイルに恋愛感情を抱いて貰うために積極的に話しかけようってことかな。触れ合う時間が多ければ多いだけカレンを意識する機会も増えるだろうから、そうしたらこっちからも意識してることをさりげなく伝えて……見事! 相思相愛の恋人になっちゃいましょう!」


「ええ……?」


 士気を高めるようと思ってテン(テンション)アゲで頑張ってみたら、カレンちゃんには何故かヒかれた。居た堪れなくて涙出そう。


 何故だ。何故そんなにもやる気がないのだ、カレンちゃん。せめて「相思相愛」の部分で照れてくれないと私のやる気だって出ないんだからね……!


 カレンちゃんの願いを叶えるという点では協力したいけど、カイルなんぞにカレンちゃんを渡すという事についてはいまいち納得出来ていない私だった。この案件についてはカイルから成功報酬でも貰わないと釣り合わないと思う。


 うう〜、カイルのくせにっ! カレンちゃんから惚れられるなんて生意気なんだよー! 私だって好かれるのにめっちゃ時間掛かったんだからねー!


 ……なんて、不満はいくらでも浮かんでくるけど、カレンちゃんって見た目通りに乙女なところあるからね。正直なところ、カイルくらい整った顔の男子が「かわいいね」「こんな良い子に愛されたら幸せだろうな」って何回か耳元で囁けばそれだけで簡単にオチちゃう気もする。私達の中で一番攻略難易度が低いのは実の所カレンちゃんだと思う。


 ちなみに最高難度は私です。

 私はお兄様一筋だからね。他の男子とか基本的にお子ちゃまにしか見えませんので、ごめんあそばせ。


 まあそんなこんなでやる気はなさげだったけど、とりあえずカレンちゃんにはファーストミッションを与えることにした。カイルと適当におしゃべりをしつつ、適当なところで肌に触れて来いという単純なものだ。


「肌……?」


「手とか腕とか、どこでもいいけど。『筋肉触らせて』とか『ほっぺたに何かついてるよ?』とか、何かしら理由をつけて三秒以上カイルの肌に触れてきてくれればそれでいいから。がんばってね!」


「……えっ? それ、私がやるの……? カイルくんに……?」


 他に誰がやると言うんだ。私? 私がやってもカイルはどーせ胡乱気な目で見てくるだけだよ。面白い反応を返してくれる純情なカイルはもう何処にもいないんだよ。


 というわけで、ぐだぐだ言ってないでさあ行った行った! とりあえず行っちゃえばなんとかなるなる!




 ――と、送り出してから僅かに三分後。


 カレンちゃんは顔を真っ赤にしながらさっさと帰って来ちゃいました。これでもカレンちゃんにしては相当頑張った方だと思う。


「どうだった?」


「びっくりするくらい、固かった……、です……」


 後ろで聞き耳立ててたいつもの子たちがいつもの如く「カイルくん、固かったらしいよ」「やめてあげなさいよ」って楽しそうに話してるけど、手だからね。あくまで手を握った感想の話だからね。


 魔法で二人の一部始終は観察していたんだけど、カイルってば目敏く私とカレンちゃんが話をしていたところを見ていたみたいでさ。カレンちゃんがおずおずと声を掛けたところで開口一番、「ソフィアに何かやらされてんだろ? あいつの言うことなんか全部無視してもいいんだからな」って同情するように言ってやがんの、失礼しちゃうね。


 それからはもうあわあわしっぱなしのカレンちゃんと対応に困ったカイルの見ていられなくなるくらいもどかしいやり取りがあったんだけど、最終的には無言で唐突に手を差し出したカレンちゃんにカイルが首を傾げながら握手で応えて。無事にミッション達成を果たしたんだ。これで一歩前進だね!


「肌と肌で触れ合うと気持ちがちょっと近付くでしょ? こうやって徐々に距離を詰めていくのが良いと思うよ」


 そう助言をすると、カレンちゃんからの返事が聞こえる前に、その肩からひょっこりと生えた二つ分の頭から返事が聞こえた。


「ほほう、肌と肌をねぇ?」


「そんな助言の仕方、誰に聞いたの? 男? ねぇ、まさかとは思うけど実体験なんてことはないわよね?」


 ……まあ、場所が悪かったね。それは認める。


 こんな食いつきの良さそうな餌を無防備に放り投げた私も悪かったとは思うんだけど――


「一応、カレンの一大事だから。邪魔するなら――」


「いやいやいやいや、協力するって!」


「そうよ、水臭いわね! 私達にもなんでも相談してよ、友達でしょ!!」


 ……あの、はい。気持ちは伝わったんで、とりあえず声のボリューム落としてもらってもいいですかね……? 教室中の視線集めてるんだわ……。


「それで?ソフィアはあれで、カレンのどんな魅力を伝えようとしてたの?」

「もちろんかわいさだよ?」

「あー、なるほど……。確かにあれはかわいいわ」

「照れてるだけでとんでもないかわいさだったもんねー」

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