表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1317/1407

恋のキューピット作戦、始動!


 カレンちゃんとカイルをくっつける為にはどうすれば良いか。


 私の答えとしては「相思相愛にしてきっかけを与える」こと。


 つまりはカイルがカレンちゃんに告白するのが一番手っ取り早いと思った訳だ。


「ねーねー。カイルってさ、カレンのことどう思ってるの?」


 どうやって好きにさせて、どうやって告白させる流れにするか。


 考えることは色々とあるが、なんにせよまずは情報が必要となる。もしかしたら、既にカイルがカレンちゃんにラブしてる可能性だってあるかもしれない。


 作戦を練るためにも現状を正しく知ることは急務だった。


「……今度は何を企んでるんだ?」


「いきなり人聞きが悪すぎない?」


 流石は私の幼馴染み。まさか一発で私が企みごとをしていると見抜くとは……だがその内容までは掴めなかったようだね!


 私の質問が聞こえていたのか、カレンちゃんが「ぴえっ!」って顔して驚いてるけど、カレンちゃんの今いる位置はカイルの背後だ。カイルの視界からは外れている。


 確かに「あの子が好きだって言ってたよ」と伝えて意識させるのも有効な手段だとは思うけど、今はまだそこまで急ぐ気は無い。カイルの持つカレンちゃんへの感情を聞いて、それからゆっくりと授業時間中に次なる作戦を考える予定だ。


「ちょっと疑問に思ったから聞いただけじゃん。あっ、それじゃあさ。私のことは好き? この愛くるしくて可愛らしいソフィアちゃんのことはどのくらい好き?」


 カイルの性格だと無理に聞き出そうとすれば頑なになってしまう可能性が高い。そこで私は一計を案じ、自らを道化とすることでカイルの警戒心を解こうと考えた。


 結果、カイルからは「ハッ」と鼻で笑うような態度だけが返されることとなったのだった。はははこやつめ。ぶちのめすぞ?


「ソフィアはなんつーか……いつまで経っても変わんねぇよな……」


「見下しながら言うのやめてくれる?」


 やめろ、私の頭のてっぺんを可哀想な目で見るんじゃねー! むしろカイルが育ちすぎなんだよ! 男子ばっかり背が伸びんのズルいんだよう!!


 もう今すぐにでもその口を黙らせてやりたい衝動に駆られたが、今の私はカレンちゃんのキューピット。二人の恋を成就させる為に私怨は捨てるのだ。怒りはさっさとポイしちゃおーねー。


「えーと、おバカなカイルには理解できなかったみたいだからもう一度だけ聞くね? 私のこと――」


 どのくらい好き? と再度問おうとしたその瞬間、背筋を悪寒が走り抜けた。やっべ、クラスでこの質問は後で私が玩具にされる。至急聞き方を変えなくては!!


《思考加速》を無駄に有効活用して考える時間を捻出した私は、なんとか違和感なく続く言葉を捻り出した。


「――私のことさら大切な友人であるカレンのこと、どーいう人物だって捉えてる?」


「はあ……?」


「色々あるでしょ。勉強できてすごいなぁとか、まつ毛が長くて綺麗だなぁとか、胸大きくて柔らかそうだなぁとか!」


「自分の欲望だだ漏れてんぞ」


 欲望? 違うね。これは帰巣本能だもんね。


 カレンちゃんのバブみ力にただ私の魂が魅了されてるだけ。綺麗で優しくて触り心地も良いとか、そんなん嫌いになる人いるわけないでしょ!


「ほら、私は可愛くて頭が良くて優秀で気が利いてカイルみたいなのにも優しくて……って、いいところがいっぱいあるけど、カレンにもカレンの魅了があるでしょ? それをちょっと語り合いたいなって」


「人のこと語る前に自分を見直した方がいいんじゃないか?」


 うるせーなもう、いいから話に乗ってこいやあ!


 何言ってもチクチク絡んでくるからムカついてきた。いつまでも言わせるままにしとくと思ったら大間違いだぞ。


 私は努めて笑顔を作りながら、無理矢理に話の軌道を修正した。


「そうだねー、私もカレンみたいになりたいと思ってるんだー。カレンは健気で優しくて、ある種の理想の女の子だもんねー」


 その言葉を聞いたカイルは、今までとは少しだけ違う反応を見せた。


 僅かに驚いたような、怪訝そうな雰囲気を見せたあと、ちらりとカレンちゃんの姿を確認したかと思ったら……やけに真剣な瞳で私を見つめてきた。え、なんぞ?


「ソフィア。……お前、目指すならもう少し現実味のあるうおっ!?」


「そろそろ怒るよ?」


「今まさに怒ってる最中じゃないのか?」


 てゆーか、だからさ。避けないで? この怒りをきちんと発散させて? 痛みに歪む顔を見せて私の溜飲を下げさせて?


 なんかもう色々面倒になってきた。


 現時点でのカイルのカレンちゃんに対する好感度を知りたいと思っただけなのに、何故か頑なに答えないし。私がムカついてるのを見て露骨に嬉しそうにし始めるし。いつからこんなムカつく奴になっちゃったんだか。


 まあ十中八九私のせいではあるんだけど、昔の失敗なんて後悔したところで始まらない。


 幸か不幸かカイルがこれだけ失礼な態度をとるのも私に対してだけみたいだし、カレンちゃんがカイルの本性に気付いて幻滅しないうちに、ささっと二人をくっつける作戦でも立てることとしましょうかね〜。


「ソフィアってあざといけどかわいいよな」

「ああ、自分の強みを分かってるよな」

「カレンは言うまでもなくかわいいよな」

「あの守ってあげたくなる雰囲気が最高だよな」

「ミュラーも気は強いけどたまに慌ててたりすんのがかわいいんだよな」

「普段は凛々しいあの子が俺の前でだけ見せる顔ってのは興奮するよな」

「で、カイルがそんなかわいい子たちに囲まれてる姿をよく見るのだが」

「……俺もカイルと同じ髪型にしたらモテたりするかな?」

「無理だろ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ