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魔物ペット発見病


 しばらく王妃様のお話に付き合ったら満足されたらしく、無事に帰ってくることが出来た。


 だというのに、お兄様は未だに、なんか……まだちょっとピリピリしてるというか。いつもの穏やかなお兄様じゃない。

 そんなにヒースクリフ王子が気に入らなかったのかな、ってそんなわけないよね。


 お母様も真面目な顔でなにか考え込んでるし、もしかしたら無事に済んだと思ってるの私だけ?

 実は王妃様に呼び出された時点でアウトだったとか、何かやらかしポイントがあったのかなあ。


 いや、それならお母様だって帰りの馬車の中で言うはずだ。


 家に着いてからというのは……ああ。本格的なお説教は長くなるから、とか?

 どうしよう、まさかお兄様も私の失敗に怒ってたりしないですよね? お兄様だけは、何があってもソフィアの味方ですよね!?


「あのあの、ごめんなさい……」


「? どうかしましたか、ソフィア」


「ソフィア? どうしたんだい?」


 あ、空気が軽くなった。

 よかった、私のせいじゃなかったみたい。


 でもどうしよう。謝っちゃったせいでお母様が「まだ何かやってたのか」って顔になってる。ごめんなさい誤解なんです。


「いえ、お二人が難しい顔をしてらしたから、また気付かぬ内に何か失敗したんじゃないかと……」


 実際、お兄様の難しい顔とかかなりレアだよ?

 なんでも涼しい顔してこなしちゃうから困ってるところなんて見たことない。


 反対にお姉様は、困ったらすぐ友人に相談してみんなの力で解決する主人公タイプだ。

 まあ、相談する前に原因に突撃する猪突猛進な面も持ち合わせてたけど、そこはそれ。お姉様なので仕方ない。


「……少し気になることがあるのです」


 お兄様の方の内心を聞きたかったけど、お母様が先に口火を切った。


 こうなるとお兄様の方は、後で個人的に聞くしかないかな。


「喪神病発症者の近くでは魔物が生まれやすくなったり、強くなったりする、という話があるのです」


 なにそれこわい。


 あれ? つまり昨日の試験会場って実は大ピンチだったの?

 あの後魔物が大量発生しましたって話はなかったけど、喪神病こわすぎね。


「ですが昨日の件で魔物は発生していないようなので。人数が人数ですし、違和感があるといいますか……」


 ふむん、魔物が湧かなかったのはおかしいってことか。

 ちょっと考えてみよう。


 実は魔物が湧いてた場合。

 近く、ってのがどの程度の範囲か分からないけど、むかし山賊さんに聞いた話では、魔物の出現場所は魔石の欠片を使えばコントロールできるらしい。

 あの日、あの場所には多くの人が集まっていたから、新入生が魔物を見つければ騒ぎになっているはず。

 同様に、教職員しか入れないような場所でも全く騒ぎになっていないのはおかしい。

 喪神病の発生は偶然だし、たまたま誰かが持ってた魔石の欠片から魔物が生まれたなら騒ぎになるのが自然だ。

 湧いてた可能性は低そうに思う。


 次に、魔物が強化されてた場合。

 あの日フェルたちは連れて行かなかったけど、私みたいに魔物を連れ歩く人がいたらその魔物が強化されたはず。

 強化された時にでっかくなるのか、暴走でもするのか、はたまた何も変化無しなのかは分からない。

 分からないけど、魔物が突然現れるよりは周囲に気付かれにくいと思う。元々大っぴらに連れ歩かないだろうからね。


 ふむ、つまりだ。


 学院には、魔物を飼ってる同志がいる!

 これはぜひ突き止めて、お互いのペット自慢をしないといけないね!


可愛い魔物が異常という常識は当然、すっぽ抜けてる。

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