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謝っとけば大抵なんとかなる


「レイネシア様は、ソフィアの魔法のことは?」


「風の初級魔法で火を吹き消したとは聞いておりますが……」


 雲行きが怪しい。


 元々王宮なんて場所に呼び出された以上いい話ではないと思っていたとはいえ、少なくともお母様は味方で、相手取るのは王子が中心になると思っていた。


 それがまさかの裏切りとは!


 てゆーか、初級魔法くらいじゃ魔力酔いなんか起こらないって誰か言ってたもん。絶対言ってた。

 だから王子のも魔力酔いじゃないと思います!

 私、悪くないと思います!


「この子の魔法は周囲への影響が大きいようで、これまでにも何人も魔力酔いにしています。今回のことも、恐らく」


 恐らくと言いつつそんな自信満々に言われると自信なくなってきた。


 いや、でもほら、試験で魔法を使うのは学院側の意向によるもので、いわば強制されたわけで。

 学院側の認識不足というか危機管理能力に問題があっただけでむしろ私も被害者というかっ!


 ……まあ、私がいなかったら起こらなかった問題なんだろうけど。

 みんな魔力酔いになりやすすぎると思うよ。


「……それでは、本当に?」


 あ、決定? 私のせいって結論に落ち着きそう? 皆さんの視線はそういうことですよね?


 王子様に濡れ衣押し付けそうになってたのが判明したあたりから内心ビクビクしてたけど、こーゆーときは殊勝な態度が正解だって知ってる。私は黙って俯いてれば庇護欲を掻き立てる容姿だから怒りにくい、とお母様も言っていたではないか。


「意図していなかった事とはいえ、どうやら全ての原因は私にあったようです。皆様には大変なご迷惑をお掛けしてしまい申し訳ございませんでした。心よりお詫び致します」


 秘技、とりあえず謝っとく。


 実際悪かったとは思ってるんだよね。


 私の軽率な魔法のせいで王妃様やらお母様にまで迷惑をかける羽目になったし、私の精神だって大ダメージを受けた。


 王子様も昨日あれから怒られたんだろうけど、そっちは私を聖女呼ばわりした罰でトントンだと思う。あれめっちゃ恥ずかしかったんだからね!


 と思ってたんだけど。


「そなたが謝る必要などない! 魔力酔いなどかかる方が軟弱なのだ。喪神病の危険性を知っていたにも関わらずむざむざ大勢に発症させたのは紛れもなく私の責任。全ての責は私にある」


 ここでまさかの援軍。いや実はちょっと期待してたけども。

 王子様も案外悪いやつじゃないのかもしれないね。今、私の好感度がグーンとアップしたよ。やったね!


 でもよくよく考えたら、目の前で女の子が「全て私のせいですっ」って俯いてるのに「おう、そうだな」とか言ったら王子様失格だもん、助けるよね。

 王子様するのも人知れぬ苦労がありそうだ。


 私、王子様じゃなくて良かった!


「お気遣いありがとうございます、ヒースクリフ様。でも悪いのは私ですから……」


 ここで「あ、そう? じゃ全部アンタのせいってことでよろしく!」とはならないのが貴族社会。貴族じゃなくてもそこまで外道なことは言わないけど。


 いくらなんでもそこまで社交性捨ててませんから。

 一度は言ってみたいなーとは思うけど。思うだけならセーフだからね。


 それにしても、今の儚い笑みは中々だったんじゃないかな?

 我ながらこんな腹芸ばっかり上手くなるのはどうかと思うのだけど、穏便に済ませられるなら手段は選んでいられない。

 ここは主犯っぽい二人がごめんなさいして終わりでいいと思うんだよね。


 どっちが悪いとか不毛じゃないですか。

 二人とも反省しているようだから次からは気をつけましょうね、でいいじゃないですか。

 決して私の方が重くなりそうな罪を折半できそうわーいなんて話じゃありませんよ?


 罪を憎んで人を憎まず。

 この件は不幸な事故だったんです。誰も悪くは無かったんですから。


無言のお兄様は何を思うのか。

少なくとも「あんな必死に妹を庇ってくれるなんて!ヒースクリフ様になら安心して妹を嫁に出せるな!」ではない無いことは確か。

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― 新着の感想 ―
[一言] うわメンドクサイ…… 超絶面倒臭すぎて、タイトルが行方不明になってる。
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