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今なら魔王だって怖くない


 王妃様の呼び出し。


 まさか入学試験の翌日に、そんなラスボス級の人と対面する羽目になるとは思わなかった。


 王子様に迫られた時の対応が悪かったのかそれとも他の用事があるのかは分からないが、私から王妃様への用事はないので是非ともお断りしたい。

 当然できないんですけどね!


 それでもいつも通りに、気が進まない程度で済んでるのは、不本意ながら王子様のあの一件のせいというか、おかげというか。


 王子様のファンが一斉に魂の抜けた人形みたいになったアレに比べたら大抵の事は耐えられると思う。


 昨夜も夢に見た。


 普通に試験を受けてたところで横から不意に伸ばされた手と握手したら、停電が起きたみたいな急な暗闇に包まれて、私と、手を繋いだ王子様と、そのファンの子たちだけの世界になって。

 ニコニコ笑顔の王子様の後ろで同じような顔で笑ってた女の子たちが一斉に真顔に、なってさ……?

 体がふっと消えて顔だけになった女の子たちが、ゆっくりと近づいて来るの。人形みたいに感情の抜け落ちた顔で!

 ひいいっ! って悲鳴あげて逃げようとするんだけど、王子様に掴まれた手が、石に掴まれてるみたいでビクともしなくて、どうやっても剥がせなくて。

 最後にはニコニコ顔の王子の背後に浮かぶ数十の女の子たちの顔が、目が、私のことをジーッと、至近距離で覗き込むようにして見つめてくるの。


 目が覚めた時、ああ助かったって思ったよ。

 怖すぎて感情が一時麻痺したわ。あれが悪夢ってやつなんだろうね、マジでトラウマものだよ。


 そんなわけで、今の私は多分まだ恐怖の感情が麻痺してる。


 無礼な態度一発で人生終了の可能性がある王妃様にこれから会うことになってても、アレよりはマシだと思ってるから。


 それともうひとつ。


 左手に伝わる感触が、動き出す熱をくれるから。


「ソフィアは僕が守るから」


 そう言って、呼び出されてないお兄様が着いて来てくれたのだ。


 お母様も最初は難色を示してたけど、私とお兄様の様子を見て、話を聞いて、王妃様が許すならばと同行を認めてもらうことができた。


 私、このお兄様にだったら抱かれてもいい。


 まあそんなことしないからこそのお兄様なんだけど、最近のお兄様は前より甘やかしてくれるからワンチャンありそうな気がしなくもない。

 ダメだった時に触れてもくれなくなったら困るから試す気無いけどね。


 で、そんな心強いお兄様がついていながら情けない話なんだけど、やっぱトラウマになってるっぽい。


 女の子が怖い。


 お城に入ってからずっと案内してくれてるメイドさん。

 普通に挨拶してくれただけなのに、あの笑顔がスっと無表情になるんじゃないかとビクビクしちゃう。

 前を歩く彼女が次に振り返った時、私は悲鳴をあげないでいる自信が無い。


 どうしようね、これ。


 そんな心配をしてる間に目的地に着いたみたいで、お兄様含めた私達は王妃様の前に通された。


 遮音魔法ってこっちの声が相手に聞こえなくなるのはいいんだけど、相手の声も聞こえなくなるのは不便だね。要改善だ。


お兄様ルート突っ走ってる感がすごい。

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― 新着の感想 ―
[一言] 「ダメだった時に触れてもくれなくなったら困るから試す気無いけどね」 なんか、気持ち悪いこと考えているようですね。
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