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魔法対決に胸を膨らませよう


 お父様とカイルが魔法で勝負することになった。


 それ自体は楽しみではあるけど、景品は私だ。

 もちろんそんな話に同意した覚えも無いのでどちらが勝とうとも「本人の了承も得ずに女性を景品にするのが男性方の流儀なのですか?」と反故にする気満々である。深く反省しろアホ男ども。


 とにかく、リスクがなければこれも純粋なイベントとして楽しめる余裕はある。


 自分の魔法は色々と試してそれなりの腕前になった自負はあるが、思えば他人の魔法はあまり見たことが無かったように思う。


 この機会に学ばせてもらおう。


 そう考えれば学院の入学試験前という今の時期にカイルが来たのは僥倖だったかもしれない。

 迷惑をかけられた分くらいは役に立ってもらってもバチは当たらないよね。



 勝負にあたって屋外に場所を移す。

 カイルとお父様が放つ緊張感に当てられて、観戦者である私たちの口数も自然と減っていた。


 それにしても、魔法対決か。


 字面は非常に魅力的で興味が惹かれるところではある。

 でも魔法って発動もそれなりに難しいけど、制御の方が圧倒的に難易度が高いから寸止めとか出来ないんじゃないだろうか。


 剣での戦いなら相手の首筋に剣を当てて「俺の勝ちだな」とか言えば終わりだけど、魔法だと相手が文字通り戦闘不能になりそう。火魔法でドーンとか、風魔法でザックリとか。

 どう考えても一撃で致命傷になりそうだけど、治癒魔法とかあれば大丈夫なのかな。まさかそんなに危険なことはしないとは思うけど。


 いや、もしかしたらもっと安全に配慮した伝統ある魔法用の決闘方法とかがあるのかもしれない。

 なんかこう、魔法を無効化する安心安全な防御魔法を掛けてから、防御魔法がはがされたら負けでーす、みたいな。

 それなら安心して火球でも破壊光線でも出せそう。その場合、石礫(いしつぶて)とかは魔法判定になるのかな? うーむ謎だ。


 そもそも攻撃魔法というのからして曖昧だよね。

 魔法で出した水は果たして魔法なのか水なのか。井戸水を魔法ですっ飛ばしたら水の攻撃魔法なのか。


 いやね、さすがに無から何でも生み出せる訳でもないってことは分かってきたよ?

 魔力が万能エネルギーってだけで、魔力を水や土に変換してるのであって、何も無いところから無限に生み出すことは出来ない。コンセントから熱や冷気を生み出すみたいなものだ。


 なら変換に魔法を使うだけで、魔法で生み出されたものはただの水や土。それらを防ごうとするなら、弾くべきは魔力ではなく、物理的な衝撃だ。鎧でも着ればそれで済む。


 と、私は思ってるし、検証もしたからそれほど的外れでも無いとは思う。思うけど、魔法ってほら、ファンタジーだし。


 火の玉作るのと空飛ぶのはどっちもすごいと思うのに、空飛ぶ方が難しいらしいし。なんなら魔法で空を飛べる私だって、魔法で服を着替えることは出来ない。変身シーンの再現は出来ないのだ。


 魔法を使わずにできることが魔法ですら出来なかったりする。

 魔法は、魔法に出来ることが出来るだけ。

 ただ、人が魔法の持つ可能性の全てを引き出せていないだけ。そう思う。




 だからこそ、この魔法対決は可能性の扉を開くものだと、そう信じていたのに。

 初めて魔法に触れた時のトキメキを思い出させてくれる。そうあって欲しいと願っていたのに。


「それではこれより、旦那様とカイル様の魔法対決を始めます。最初の勝負は水。一度の魔法の行使で、桶により多くの水を溜められた方を勝ちとします」


 なぁにこれ?

 私の期待を返せ。


司会進行は頼れる屋敷の便利屋さん、ブライおじさまが担当してくださいました。

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