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Destino  作者: 一二三六
プロローグ
9/120

8話「姉弟の下校風景」

 生徒玄関、俺の方が近かったからだろうか、先に着いてしまった。明日美の姿はまだない。生徒会室は6階だし、明日美はエレベーターを使いそうにないし。それで他の生徒に見つかりでもしたら、面目丸つぶれだろうから。なので俺は明日美が来るのを気長に待つことにした。


「お、来た来たこっちこっち!」


 それからそう長くはない時間で、明日美が遠くからやってくるのがわかった。今度は俺がさっきみたいに手招きしながら、明日美を呼ぶ。 


「ごめん! 待った?」


「ううん、大丈夫。行こっか」


 その合図とともに俺たちは肩を並べ、共に学園を後にする。


「――今日はありがとね」


 それから雑談しながらしばらく歩いたとこで、明日美は軽くお辞儀をして、そう感謝をする。


「いや、いいよ別に。俺が望んでやったことだし」


「でも、凄いよね! 全部勝っちゃうなんて!」


 生徒会に予算が入って嬉しいのか、はたまた違う理由なのか定かではないがやたらテンションが高い明日美だった。


「そうでもないよ、それにここの運動部弱いし」


 実際問題、ここは進学校。スポーツより勉強がメインが学園だ。強いと言ってもバスケぐらい。それも修二のおかげがおもだし。所詮は俺レベルでも勝てる集まりってことだ。


「でも何よりカッコよかったのは、ポーカーのときかな?」


「なんで?」


「いやだって、ロイヤルストレートフラッシュだよ!? 65万分の1の確率だよ!?」


 明日美は興奮しているのか、目をキラキラさせながらそう言った。確かに滅多に見られるもんじゃないからね、ロイヤルストレートフラッシュなんてさ。


「まあ、そりゃ凄いけどさ……それもたまたまだと思うよ」


 なんて嘘をつく。たぶん、もう一回ポーカーをやってもかなりいい役が揃うと思う。しっかし、あの時の長の顔は最高だったなー今思い出しても笑けてくる。まさに絶望そのものの顔だったからな。


「それでもだよー! あの時の煉のすました顔、カッコよかったなぁー」


 さっきのことを思い出して弟のことだというのに、恍惚こうこつな顔でしみじみと遠くを見つめる明日美。


「おいおい、照れること言うなって……」


 いくら俺の姉でも、元を辿れば普通の女の子。そんなこと言われたら、普通に照れてしまう。


「あっ、そうだ! ご褒美しなくちゃね!! 何がいい?」


「何でもいいよ、明日美の好きにして」


 元々その判断は明日美にゆだねるものだったんだから、俺的には何でもよかった。明日美のくれるご褒美に、間違いはないだろう。そんな安心感が俺の中にはあった。


「そう? じゃあ、何がいいかなぁー……あっ、そうだ! 日曜日にデートしよっか!」


 だけれど明日美のくれるご褒美には、どうやら間違いはあったようだ。言っとくけどそれ、俺へのご褒美ではなく、明日美自身へのご褒美になっているから。どうせデートっつても自分のショッピングと自分の行きたいカフェに行くんだろうし。


「えぇー……? いいよ恥ずかしいし、それに俺たち恋人じゃないし」


「えーいいじゃーん、デートしようよぉー! ……ダメ?」


 明日美は俺の腕を揺らしながら駄々っ子のようにせがんだ後、今度はうるんだ目で俺を見つめてくる。くそ、俺がそれに弱いこと知ってていつもやってくるんだから。そんな目をされたら、断らないわけにいかないじゃないか。


「わかったよ、デートするよ」


 なので男らしく、その誘いを受けることにした。そもそもこれは俺へのご褒美なわけだし、明日美も明日美で自分ばかりではなく、ちゃんと俺にも得のあるようにプランニングしてくれるだろう。ただ、恋人でもない姉弟していが『デート』ってのは如何なものかと思うけれど。


「やったー!」


 明日美はまるでおもちゃを買ってもらった子供のように喜んでいた。ホント、俺といる時だけはとことん子供っぽいところを見せる明日美だ。こんな姿した人がウチの生徒会長さんなんだから。これを知ったら、さぞウチの生徒たちは驚くことだろう。


「じゃあ日曜日、広場の噴水で待ち合わせしようよ!」


「なんで待ち合わせなんてすんの? 別に家から二人で行けばいいじゃん」


「はぁー……なんも分かってないなぁーこういうのは気分が大事なんだよ!」


 俺に呆れるようにため息をつき、そんなことをボヤく明日美。姉弟していのデートに気分は必要なのだろうか、乙女心はよくわからん。


「そんなもんかなぁー」


「そんなもんです!」


「わかったよ、じゃあ何時に待ち合わせる?」


「んー……朝の8時ってどう?」


「えっ、早すぎじゃない?」


 相変わらず俺は朝に弱いから、ちょっとそれはちょっとキツい。それに休日の日曜日の朝だから、俺の体内時計がちゃんと起きてくれるか不安だ。目覚まし時計を使っても、ちょっと怪しいかも。


「えー、早くないよーそれにそっちのほうがいっぱいデートできるじゃん!」


「でもさすがに8時は……せめてもうちょっとぐらい遅くても……」


「いいの! もう決まりね!」


 俺の提案もむなしく、強引に決定されてしまった。これが姉の権力ってやつか。そうなると、明日は日曜に備えておかなければならないな。無駄に労力やお金は使わないで、日曜日にとっておかないと。それから俺たちは日曜日のデートの打ち合わせでもしながら家へと帰宅した。ちなみにその後も終始、明日美がご機嫌だったのは言うまでもない。

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