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Destino  作者: 一二三六
1.岡崎栞
82/120

Extra.3-4「栞の手作りお弁当」

 それから時間は経って、お昼時を迎えていた。いっぱい叫んだり、動いたりしたこともあってかお腹が空いてしょうがなかった。なのでアトラクション回りは一旦止めて、お昼にすることにした。遊園地の休憩スペースみたいなところで、それはまるでテラスみたいになっているところで俺と栞は対面になって座っていく。そしてしおりの方は持ってきていたカバンの中から、少し大きめな弁当箱とそれよりも小さめのお弁当箱を取り出す。


「はい、召し上がれ!」


 栞はそれを開けながら、満面の笑みでそう言ってくる。


「おおーサンドイッチか」


 その中身はサンドイッチであった。しかもその具もハムエッグ、チキン、ツナ、レタス――とバラエティ豊か。そして小さい方のはどうやらおかずのようだ。それは色味にも気を遣った、そんなことが窺えるようなおかずであった。


「うん、そっちの方が食べやすいと思って。それになんとなくお外でのお弁当ってサンドイッチってイメージがあるから」


「あぁーなんかわかるかも」


 なんかピクニックとかでシートを広げて食べるイメージだ。保育園とか、小学校とかの遠足とか、運動会のお昼って感じ。


「んじゃ、いただきまーす!」


 そんな会話をしつつ、俺はいよいよ栞のお弁当を食すことにした。お決まりの挨拶をしてから、俺はさっそくそのサンドイッチを手に取る。まずはサンドイッチと言えば『レタス』というイメージから、レタスとチーズとハムのセットのサンドイッチを取って口へと運んでいく。


「……うおおぉー! めっちゃうまい!」


 まずレタスのシャキシャキ感で食感がいい。決して水っぽくなくて、ヘナヘナになっていない。そしてチーズとハムの味と、塩の味が相まってものすごくうまい。パンもふわふわしてて、それもまたよかった。


「へへーありがとっ。おかずも食べてみて」


 そんな俺の反応を見て、どこか安心したように嬉しそうな緩みきった表情をして、喜ぶ栞。


「じゃあ、からあげをっ――」


 俺は箸でまずはからあげを取って、それを食べてみる。


「おおっ、これもおいしい! 味濃くてスキだなぁー」


 冷めてもその味は落ちていなく、そしてその味付けが一般的なものよりも濃い目だった。俺としては味が濃いものは好きなので、このからあげはやみつきになりそうだ。


「よかったぁー……れんまだ味の好み変わってなくて」


 たぶん今回の手料理は『俺のため』に作ってくるものだから、基準はあの頃のを元にしているのだろう。だからそれを元にして作って、俺に喜んでもらえたからそんな安心しているみたいだ。


「たぶんそれ抜きにしても、うまいと思うよ」


 この感じからすると、たぶん栞は普段から料理しているし、その腕もたしかなものなのだろう。だから決して俺好みに合わせなくても、それはきっとおいしかったと思う。


「そ、そうかな?」


「そうそう。実際、ウマいしね。ほらっ、栞も食べなよ」


「あっ、うん――」


 それから俺たちは2人でお弁当を食べていく。他のサンドイッチもどれもとてもおいしくて、とても手が込んでいるようだった。俺のためにここまでしてきてくれるなんて、そんな『栞の愛』が俺はとても嬉しかった。その嬉しさも相まってか、さらにそのおいしさもあっていつもより食が進んでいた。そんな俺のその姿が嬉しいのか、それに栞は優しい眼差しで微笑みながら俺を見つめていた。なんかこそばゆい感じになりつつも、俺たちは雑談しながらお昼を楽しんでいた。

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