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Destino  作者: 一二三六
1.岡崎栞
47/120

46話「全員集合!」

 買い出しが終わって、俺たちは家に帰って来た。そしてそれからなぎさたちが来るまで、適当にテレビでも見ながら雑談していた。


「そういやさ、岡崎おかざきっていつくんの?」


 ふと、そんなことが気になって修二に訊いてみる。


「ん、あーたしか夕方頃になるつってたな」


「ふーん、そっか。じゃあ渚たちと一緒ぐらいか」


 そんな他愛もない話でもしながら、野郎2人で年末のひと時を過ごす。なんとも華のないことよ。明日美あすみは明日美で色々と忙しいし。ああ、渚たち早くこないかなぁーなどと思いながら、夕暮れ時になるのを待っていた。


「――おっ、いらっしゃい」


 それからしばらくして、待ちに待った夕方となった。そして玄関からチャイムが鳴り、数秒してメンバーがやってくる。


「「「おじゃましまーす」」」


 渚、みお、岡崎は声を揃えてリビングへと入ってくる。どうやら途中で一緒になったようで、みんなまとめて勢揃いとなった。


「ようやくみんな揃ったな」


「あれっ? もう一人って木下きのしたくんだったんだ」


 澪は修二の存在に気づくと、そんなことを言っていた。


「おう、なんせ俺が提案者だからな」


「へぇーあんたがねー……」


 露骨に嫌そうな顔をしている渚。諫山姉妹も修二と一緒のクラスになったことがあるとはいえ、他のクラスの人に警戒されるって相当なレベルだぞ、修二。ホント、彼女なんて夢のまた夢の話のような気がする。


「なあ、修二。集まったはいいが、何するんだ?」


 もちろん修二が提案してきたということは、何かがあるということだ。ただ時刻はまだ17時。騒ぐには早すぎる。


「いや、まだ言わなくてもいいだろ。時間が来たら教えてやるよ」


「なんだそれ」


 まず確実に何かを隠しているということはわかった。次に『時間が来たら』ということは、騒ぐ時間になってから何かするのだろうか。と考えていても、まだその時間ではないのだろうから、暇つぶしにでも俺はとりあえず明日美の手伝いでもすることにした。いい加減、修二との相手にも飽きてきたし、岡崎や諫山姉妹にその役割は任せよう。そんなことを考えながら、キッチンに向かうと、明日美は慣れた手つきで料理をしていた。俺が見る限りかなり豪華になりそうだ。邪魔しないように注意を払いつつ、明日美に話かけた。


「手伝うよ」


「あ、お願い、そっちの方任せるね」


 俺は手を洗ってから、指定された料理にとりかかった。そういや、ここに立つのも久しぶりな気がする。いつもは明日美が作っているし、冬休みに入ってから生徒会の仕事がなくなったから、余計にだな。ふと、リビングの方に耳を傾けると、どうやらあいつらはトランプをやっているようだ。声からして楽しくやっている様子。なので、俺は安心して料理に専念することにした。



 料理を作り始めてから、結構な時間が経っていた。俺もちょっと張り切りすぎたようだ、結構な量になってしまった。ただ野郎2人もいるし、合わせれば6人。なんとかなるだろう。俺はそう思い、料理を皿に盛って、それを運こぼうと手に持つ。するとその時、俺の様子に気づいたのか、渚がキッチンへとやってきた。


「運ぶの手伝うよ」


「おお、頼む。んじゃ、これとこれを」


 空気の読める幼馴染に感謝しつつ、運ぶものの指示をする。


「了解」


 それから渚の手伝いもあってか、すぐにすぐに料理を運ぶことができた。そして俺たちは明日美、俺、岡崎、修二、渚、澪の順に時計回りにテーブルに座っていく。いつもは2人のテーブルも6人も座ると結構狭く感じられる。


「うわ、すげぇ豪勢だな」


 もうよだれが垂れてそうなぐらい、食べたそうな顔で料理を見つめている修二。


「煉くん、凄いねぇ……」


 そして、そういえば俺の料理が初な岡崎。そういえば、『俺の料理食べたい』って言ってたっけか。まさかその願いがこんなにも早く叶うとは思わなんだ。


「そんなことないって、んじゃ食べるか」


「いただきまーす」


 みんな一斉にその挨拶をして、早速食べ始める。特に修二は『明日美の手料理』ということもあってか、速攻でがっつき始める。


「うまい! 明日美先輩、ホントに料理うまいっすよね!」


 大変満足そうに明日美の料理を食す修二。明日美の手料理だからか、異常にテンションが高かった。


「ふふ、ありがとう」


「おい、俺も作ったんだが?」


「お前の味は散々味わってるから、いわなくても十分だろ」


「煉のもおいしいわよ、ね、澪」


「うん、すごくおいしい」


「よかった」


「煉くん、ホントに料理できるんだね」


 俺の料理初の岡崎も美味しそうに俺の料理を食べていた。よかった、お口に合ったようだ。


「や、ホント簡単なのぐらいだけどね」


 俺はあくまでもそう謙遜する。


「そんなこといって、結構手のこんだの作るじゃない」


「や、ホント大したことないって……」


 そんな渚の褒め言葉に、相変わらず照れてしまう俺。なんか、恥ずかしくてしょうがない。


「でも、男の人が料理できるっていいですよねー」


 その話題に対して、岡崎はそんなことを言い始める。なんか、料理の話から急に恋バナになってしまった。これがガールズトークというやつだろうか。


「そうよねー助かるだろうしねー」


「うんうん、いいよね!」


 女子たちには俺みたいなやつは好評なようで、盛り上がっている。


「マジか! 煉、俺に料理を教えてくれ!」


 修二は女子たちの言葉を聞くやいなや、そんなことを言ってきた。そこまでしてモテたいのか、お前は。


「や、俺、教えるの苦手だし……」


「嘘つけ、勉強とか教えるのうまいんだから、んなわけねーだろ」


「や、それとこれとはちげぇーから」


 そんな感じでみんなは大晦日を楽しんでいた。これだけの面子でもこんなに盛り上がれるんだと思いつつ、俺もみんなと一緒に今年最後の日を楽しんでいた。

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