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第3話 白い悪魔

第3話です。

白い悪魔と言えば、もちろん管理局の・・・・・・ゲフンゲフンw


8/6

追記・加筆修正しました。

 目の前に立ち上る土煙に呆然と様子を見る盗賊の頭と女性騎士。

 「ケホッケホッ! こりゃ、着地に難がある魔法だな・・・・・・うぅ、目に砂まで入ってきた・・・・・・」

 土煙の原因と見られる少女のシルエットが浮かび上がる。

 

 少し前の事。

 消耗戦に押され徐々に疲労が溜まっていく女性騎士達についに負傷者が出た。

 不意打ちで喰らった矢が妙齢の女性騎士の右太腿に深く刺さっている。

 「あっけないもんだな。 さてこれで終わりだ。」

 盗賊の頭が一歩一歩、負傷した騎士に近づいていく中で空気を裂く音がした。

 キィィィーーーーーンッ!

 「!?」

 それは一筋の蒼い光が男の目の前に迫ってきたのだ。

 慌てて後ろに下がった瞬間に蒼い光は地面と激突。

 ドォーンッ!、

 爆音と共に土煙が立ち上る冒頭のシーンになった。


 「着地に難があるが、衝撃はそうでもないか・・・・・・」

 土煙が晴れ、自分の足元を確認するメラン。

 足は少し抉れた地面にちゃんと着いている。


 「な、何者だ!」

 先に正気を戻したのは盗賊の頭だった。

 「ここの人間の強さが知りたいだけだから、言う気もないし、この言葉の間に不意打ちでも何でもしてくれ」

 言うや否や、盗賊の頭に後方、数m離れた射手がメランの頭を狙い矢を放ったがその矢はメランの右手で掴まれた。

 「遅い・・・・・・あまりいい弓で引いていないな」

 矢の方はまぁまぁかと呟くメラン。

 「一体・・・・・・何者なの?」

 後ろからの声に振り向くと、妙齢に女騎士が片膝を付いたままの姿が目に入る。


 「ふむ・・・・・・その矢は抜くなよ。抜いたら後遺症かもしくは出血で死ぬぞ」

 問い掛けに応えもせずにメランは女騎士の状態を見てそう言った。

 「このアマぁっ!」

 盗賊の頭がここぞばかりに後ろを向いてるメランに襲い掛かろうとして、短剣を振り上げた直後。

 パスン!

 音と共に男の眉間に穴が開き、その場で崩れ落ちた。

 「ありゃ?もう少し加減しないとダメか・・・・・・」

 失敗したと言った感じの顔をしたメランが呟く。


 刹那の瞬間、メランは赤子の小指程の大きさの火の矢・・・・・・ファイヤー・アローを発動させたのだ。

 威力はかなり抑えたが、それでも人の眉間に穴を開け、骨を溶かし、脳を焼くには充分な威力だった。

 

 「なっ!?」

 あまりの一瞬の出来事で言葉を失い、唖然となる女騎士達。

 その瞬間を狙って矢を放つ一人の盗賊だったが、その矢は女騎士にとどめを刺すことはなくメランが掴んでいた。

 「ふむ、リーダーがやられたのに、退かないか・・・・・・思い切りはいいが・・・・・・」

 三流、いやそれ以下か・・・・・・と呟くメラン。


 「あのアマぁ・・・・・・よくも頭を!」

 4人の女性騎士を相手にしていた盗賊達の思考が戻ったのだろう、リーダーが殺されたという事実を受け入れ、メランに向かう。


 「面倒だ・・・・・・」

 (盗賊達にだけロックオン・・・・・・数は・・・・・・九人か・・・・・・水矢(ウォーターアロー)

 言うと同時に魔法をイメージし、九本の水矢を発動させる。

 それはあたかもミサイルの様にメランに敵意を向けた盗賊達に一本一本刺さり事切れる。

 出会った者からすれば白い悪魔に見えただろう。

 あっという間の出来事で騎士達がまたフリーズする。

 「ありゃ? 停止魔法はかけてないはずなんだが・・・・・・」

 魔力操作を間違えたか?いや、水矢(ウォーターアロー)しか発動させてないはずだと思い、ポカーンとしている女騎士に刺さってる矢をグリグリと動かす。


 「ぎゃああああああああああああああああああっ!」

 血の叫びがこだました。

 メランを力一杯押しのけて、悶絶する女騎士。

 「すまん、間違えて停止魔法もかけてしまったかと思ったのだ」

 押しのけられて尻持ちを着いたメランがそう言って立ち上がると、すぐに矢が刺さった女騎士向かい歩き、自分のローブのマント部の裾を破く。

 「じっとしてろ・・・・・・」

 そう言って、破いたマントの裾を止血帯にし巻き付けると同時に、彼女の身体に自分の魔力を通し、症状を確認する。

 「毒は盛られてない。その他血管も大丈夫だ」

 と言って、右手で麻酔のようなイメージの魔法を発動させ、左手で矢を抜くと同時に治癒魔法をかける。

 イメージは怪我が自然に治ると時と同じで、細胞増殖による治療だ。

 その気になれば、腕一本まるまる生やす事もできるだろう。


 「よし、これで大丈夫だ。 あとは御者か」

 御者よりも女騎士の方が重傷だった為、御者を後回しにしたメラン。

 御者も先程と同じ要領で治癒する。

 

 「馬は・・・・・・ダメか」

 せめて瀕死ならばと思っていたが、すでに死んでいる。

 「馬はダメだ。この辺で馬車が引けるほどの野生馬がいるとは思えないが・・・・・・どうしたもんか・・・・・・」

 一瞬、ペガサスを4頭でも召喚するか?と考えるがすぐに取り消した。

 (あいつら、干草にうるさいからな・・・・・・召喚したら、したらでこの世界の牝馬が大変なことになる・・・・・・ついてるモノもそうだが、それに伴う性欲も馬並というか・・・・・・絶倫だからな)

 

 「お礼を言うのが遅くなってすまないが、助太刀ありがとうございました」

 と考え込んだメランに先程、治癒魔法をかけた女騎士が彼に向って一礼した。

 「あぁ、気にするな。 困った時はお互いさまって言いたいが・・・・・・これは本当に困った状況ではないだろうか?」

 その言葉に女騎士は状況を確認する。

 

 「誰かが近くの村や町まで行って、馬を借りてくる・・・・・・いや、行きや戻ってくる途中で事が起きたらダメだ・・・・・・馬車を引いて・・・・・・ダメだ・・・・・・もしもの事があれば体力を消耗しきった我々では守り切れない・・・・・・」

 ぶつぶつと呟く女騎士。

 「馬車は放棄して、歩くしかあるまい」

 メランはそう言って、馬車の進行方向に目線を向ける。

 それしか道がない事は女騎士もわかっているのだが、護衛対象が何というかという顔をしている。

 「争いは治まったのですか?」

 いつの間にか馬車の扉が開きそこから、メランと同じ背格好の美少女が降りてきた。

 金髪カールにティアラをつけ、大きく見開いた緑色の瞳に白を基調としたドレスを着た美少女だった。

 「申し訳ありません・・・・・・我々が油断したばかりに馬が駄目に・・・・・・」

 と、片膝をつく騎士達。

 「いいのです。ミーヤ達が無事で何よりです・・・・・・そちらの方は?」

 ふと、その美少女の視線がメランに移る。


 「旅の者です。我々が危ない所を彼女に助けてもらいました・・・・・・」

 ミーアと呼ばれた騎士がそう言って、美少女に一礼する。

 「みたいですね・・・・・・窓から見ていました。

 私と変わらぬ年齢かと思っていたのですが、まさか御使い様?」

 とニコッと品格に似合う笑みを浮かべる美少女。

 「御使い様ねぇ・・・・・・まぁ言われてみれば、お使いみたいなものか・・・・・・無能な部下を管理神にしたせいで、魔神ボコボコにすると言って降りてきたからなぁ・・・・・・」

 「「「「「えええええええええええええええええええええーっ!」」」」」

 

 「メラン様・・・・・・」

 「・・・・・・」

 かなり険しい顔をして霊帝の名を呼ぶアトラ。

 それに対し、メランは正座している。

 「地上に降りて数時間の出来事は別にいいでしょう・・・・・・」

 アトラがギロリとメランを睨みつける。

 「善良なる人々を助けたのも別にいいです・・・・・・ですが・・・・・・」

 プルプルとこめかみあたりに青筋が立っているアトラ。

 「いや、言いたい事はわかる・・・・・・自ら降りたとか、アトラの事を無能と言った事とか、悪かったと思っているし、反省もしている・・・・・・後悔もしては・・・・・・いないか」

 「ああんっ!」

 「う・・・・・・」

 メラン、部下のアトラにメンチを切られる。


 メランがアトラの所にいる理由は至極簡単である。

 メランの動向が気になり、ずっとモニターしていたのだ。

 で、襲われた馬車の連中を助け、先程の会話で、アトラの上司である自分が魔神を倒すために降りてきたと盛大な自爆をしたのだ。書いてはいないがメランにこの世界の説明をした時にアトラは神であることは隠せと言ったのだ。ひとしきりの説明が終わる度に隠せと、かなりの頻度で言ったのである。

 にも関わらず自らばらしたので、すぐさまアトラがメランを彼女の仕事空間であるここに召喚したというわけである。

 

 「すまん・・・・・・久々にリミッターが外れ、はしゃぎ過ぎた・・・・・・」

 メランはそう言って、項垂れる。

 「もういいです・・・・・・それよりも、言葉使いです!」

 「はぁっ?」

 てっきり神であることをうっかりばらしたので怒りメーターがMAXで振り切ったと思っていたメラン。

 「美少女がそんな言葉使いしたらいけませんっ!

 お姉さん、本っ当に怒りますよ!」

 「はあああああああああああああああ?」

 もうチンプンカンプンであるメラン。

 アトラの怒りメーターが振り切っていたのはメランの言葉使いであった。

 「ほらっ!またっ!」

 「・・・・・・」

 言葉使いが荒いのは仕方ないだろ・・・・・・と呟くメランに対し、アトラが無言のガン飛ばしをする。

 「わかった・・・・・・言語機能を切り替える・・・・・・これで良いでしょうか?」

 無言の圧力に負けた霊帝。

 (おかしいな・・・・・・俺、神様の中でも一番上なのに、なんで無能な部下に言葉使いで説教されてんの?

 おかしいよな? いや絶対おかしいよ・・・・・・おかしいですよカテジナさんっ!)

 とまぁ、考えてるとまたもや睨みつけるアトラ。

 「メラン様、今日から下ではメラニー・コリンと名乗ってください。」

 (うはっ!名前の改名まで指示出してきたよこの無能)

 「女の子がメラン・コリークなんて男っぽい名前なんてありえないでしょう!いいですねっ!」

 「うっ・・・・・・わかりました・・・・・・」

 「では、戻します」

 そう言って、再度、彼女を降ろすアトラ。

 メランは降りる途中で、彼女は絶対管理神ではなく白い悪魔だと思った。というのも、管理神の制服は自由であるが、今のアトラはメランを召喚した時と違い、魔法少女なのに魔砲少女だったりするアニメの女性用制服を着用していたのである。

お読みいただきありがとうございました。

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