神様、大地に立・・・・・・てない
新作です。
楽しく読んで頂ければ幸いです。
不定期更新します。
白い空間がありそこには蒼く長く伸びた青年が寝ていた。
実際は気絶していたのだろう。
ふと青年は眼を開け、上半身を起こし、周囲を確認する。
「確か俺は・・・・・・」
ここに来る前の事を思い返してみる。
青年がこの白い空間に来る少し前の出来事。
仕事がひと段落し、お茶を淹れようと立ち上がった瞬間。
突然足下に穴が出現し、落ちた。
「・・・・・・と言う事は、聖帝の嫌がらせか? それとも、天帝のクソガキの仕業か。 どっちにしろ、ここから出なければなるまい。」
青年がそう呟くと、今までいた白い空間が煌びやかな王宮の部屋になった。
「?!」
絢爛豪華なその部屋の1番奥にある玉座に美しい女性が座っていた。
「ようこそ、異世界の人よ。 私はこの世界を霊帝様より任せられた女神アトラス=アストレア。
若き青年よ。私のことはアトラとお呼び下さいな。
いきなりこんな所に来て混乱しているかと思いますが、まずは、霊帝様と言うお方について少しだけ説明しますね。
霊帝様と言うのは無限に存在する神様の中でも全ての神の中で一番秀でているいわゆる、神様の中の神様であり、私達神はその霊帝様から勅命を受け異世界を管理、育成をしています・・・・・・(以下略)で、霊帝様は神様の中で頂点に存在し、次点で聖帝様、そして天帝様と続き、この三つ帝位の事を三神帝と呼び、そのずーっとずーっと、ものすごくずっーと下に、世界を管理する私のような女神や神が位置してます。 あっ!もちろん、世界に住んでいる者達を個々に見たりとかはしていませんよ? そんなことしたらストーカー法やら、個人情報が~なんちゃらとか言ってうるさいんですよ。こないだはあなたの世界でも有名なギリシャ神話のゼウスが異世界に来て、異世界の人間の女性に手を出そうなんてして、もう大変だったんですよ。公報でゼウス注意報や警報まで出てしまってですね。 え? 私の所? 私の所は大丈夫でした。私の世界に来る前に奥さんに捕まってしまって、無事、元の世界に戻っていきましたよ。本当、男の人ってなんで決まった女性がいても他の方に手を出してしまうんですかね? 本能ですかね? 人間でも浮気する人はしてしまうと聞きますけどね。私、不倫されたら、証拠収集して機会を窺いつつここだ!っていう時に弁護士立てて、有り余る証拠を提示して慰謝料がっぽりもらいますよ(笑) あ!いけない、話を戻しますね。一応、この世界とあなたがいた世界は平行線上にあって、交わる事もないんですが、霊帝様がいる世界は別で異世界がある平行線を交差するように繋がってるんです。それで、交わる事がなくてもあみだくじの様に辿ると霊帝様の世界を経由して私の世界とあなたの世界は間接的に繋がって(以下略)。」
聞いてもいないのにペラペラと大阪のおばちゃんですらドン引きしそうなテンションで、この世界の事や青年がいたであろう世界の事、そして、世界は平行に繋がっている事を喋る女神に青年は玉座の手前の階段まで近づき、そして、彼女を睨みつけた。
「この世界が滅ぶと連鎖的に少なからず霊帝様の世界を経由してあなたがいた世界まで影響が出て、最悪場合、滅んでしまうのです。 理不尽だと言う事は重々承知しています。
ですが、全ての世界そのものが危機です。」
と、言っておけば、大抵の人は納得してまうのであろうな。 特に俺が目をかけ、手をかけている世界の人間が異世界に行けば、特殊な力を身に付けられるからな。
確か、アトラスに任せた世界は剣と魔法の世界で、魔物もいたし、魔王もいたが共存できる世界だったな・・・・・・あぁ、そういえば、かなり前に魔神と名乗る存在が魔王を臣下にし、魔物が人に襲い掛かるようになったと報告が来ていたな・・・・・・自分でなんとかしろと通達してこれか・・・・・・やれやれだな。と青年は思考を巡らせた。
「で、あの・・・・・・そろそろ貴方のお名前をお聞かせください。」
アトラがそう言うと、青年は思考を止め、口を開く。
「メラン=コリーク。」
「メランですね。ではメランよ、私の力で貴方に特別な能力を付加しましょう。 先程、説明した通り、付加できる能力は選択できません。」
救うとも救わないとも返事をしていないのに、この女神は青年が世界を救うと思い込んで、話を進めている。
「あぁ、そう言えば、霊帝様の名前もメランとおっしゃるのですよ。 偶然ってあるんですねぇ。まさか、霊帝メラン様と同姓同名の者がい・・・・・・あの・・・・・・もしかして、まさか・・・・・・」
彼女はようやく、青年の出で立ちを見て、数回しか会ったことのない霊帝の容姿を思い出す・・・・・・任命式でお会いされた時の霊帝様って、確か、腰まである長く蒼い髪に、顔立ちは中性的で、力が大きすぎるために右耳にヒイロカネとオリハルコンを融合させたリミッター型のピアスが三つ、左耳にさらに四つ、それでも百億分の一しか抑えられないからって両手首にピアスと同じ材質の細い腕輪があって・・・・・・それからタグタイプのネックレスが・・・・・・全てある・・・・・・今、自分の前にいる青年は以前会った事がある霊帝と同じ容姿で同じ装身具をつけている。ここまで一致していると言う事はもはや本人でしかない。
「メラン=コリーク。それ以下でも以上でもない。 アトラと言ったな?」
「ひゃ・・・・・・ひゃいっ!」
青年・・・・・・メランの言葉にアトラが噛みながら答える。彼女はすでに涙目になっている。
「俺は第一種平行世界一種型宇宙次元第三惑星地球出身の人間だ。」
先程、ペラペラとアトラが喋っていた説明の中に地球が存在する世界の正式名称を答えた。
「いやいや、地球がある世界の人間が、いきなり正式名称を覚えて、自ら言うなんて事出来ませんからっ! てか、霊帝様ですよね? え?他人? いやいやいや本人っ! あなた本人ですよねっ!
ていうか、なんで霊帝様が召喚されたんです? 私、座標は地球の日本のどこかに設定・・・・・・って、あれ?」
アトラ、ここで自分が設定した座標が全く違うことに気づいた。
「え?ええ? なんで? あれほど確認したのに!どうして?!」
アトラ様ご乱心の様子を冷ややかな目で見る霊帝ことメラン。
(まぁ、たぶん、あの阿婆擦れか、あのクソガキの悪戯だろうな・・・・・・新米にこの手の悪戯をするのは聖帝と天帝しかいない。まぁ、ちょうどいいか・・・・・・そろそろあの日と言うか、今日だったから丁度いい。 補佐三人でも仕事は片付けられるか。なら、俺はゆっくりと休ませてもらうとしようか。)
座標がずれた原因をあえて言う事もないと結論付けると同時に焦っていたアトラがなんとか持ち直した。
「えぇっと・・・・・・霊帝様、本当にすみません。
今、送還しますすので・・・・・・本当にお忙しいのにこんな辺鄙な所に召喚してしまい。私は神様失格です!」
間違って霊帝メランを召喚した事に精神的ダメージが計り知れないアトラ。
なんとか持ち直したものの、目の焦点があっていない。
すでに抜け殻のような状態であり、今の彼女を表す言葉があるとすれば、ライフポイントはゼロよ!な状態である。
一方メランはそんな事を気にするわけでもなくこう言った。
「送還? あぁ、しなくていい。」
「はいぃーっ!」
アトラの言葉が空間一杯にこだまする。
「ペラペラ禁足事項喋ったり、人を見て焦ったり、たかが召喚陣の座標が狂った事ぐらいで取り乱したりとうるさいぞ。」
「はい・・・・・・申し訳ございません。 ですが、霊帝様をこのままって事にはできませんので、やはり・・・・・・」
「必要ないと言った。末端とはいえ、部下が困っているのだから上司が助けるのは当然の事だ。」
上司と言っても、霊帝は神の中の神、キングオブゴッド、いわば社長みたいな存在だ。
そんな彼、自らの手で自分の世界を救ってくれるというありがたい申し出なのだが、アトラは焦る。
「そんな事しては私の立場がありません!」
当たり前の理由である。
新人がやったミスを何も一番上が尻拭いする事はない。
手頃な人材(この場合は神材か?)を集めるかアトラ自身にやってもらうのが一番なんだろう。
「お前、ここで俺を送還して、元の世界に戻したどうなるかわかってんだろうな?」
「え?」
「アトラスがペラペラ喋っている間に思い出したんだが・・・・・・今、俺の世界はゼウス率いる、浮気、不倫肯定派とそれを良しとしない否定派の神達が一触触発状態。戦場が決まり次第開戦になるんだが、態々俺を召喚して(呼びつけて)ご高説の中に禁足事項を入れ込んでガンジーもダッシュで逃げるようなドン引きハイテンションで色々とペラペラ喋ったんだから、資格剥奪、管理を任せてるこの世界は適格者がいないのでどうなろうと関係ないから、戦場に指定して、あたり一面というかこの世界の平行線は消えるだろうな・・・・・・(長いので以下略)」
とメランの言葉を聞く内にアトラの顔が青くなるのを通り過ぎ真っ白になり玉座から転げ落ちた。
「で、戦争が終わったら、この世界は何もない状態だから俺のプライベート世界として、まず男は触手生物ベースに、女は人をベースにしてあれこれ実験を・・・・・・あぁ、その前にちゃんと男の方が機能するかわからんから、触手(♂)とアトラでちゃんとできるかやってみないとダメだな・・・・・・それから」
「それはいやぁぁぁーーーーーーーーっ!!!」
霊帝の悲惨な妄想に対し、最後まで聞く事ができすアトラは精神的どころか色んな意味でライフポイントがゼロになった。
「わ、わがりまじだ・・・・・・霊帝様・・・・・・ヴォ願いじまずがら、ぞんな事をしないでくだざいぃ~~。」
美少女だったアトラの顔は涙と鼻水でぐしゃぐしゃになり、縋りつくように霊帝の足にしがみつき出た言葉がそれだった。
そして、霊帝が冗談だという言葉に、ホッとした彼女は立ち上がる。
「では、俺を降ろせ。」
「・・・・・・はい・・・・・・一応、この世界の説明を改めて」
「必要ない・・・・・・うっ・・・・・・くぅ・・・・・・」
「霊帝様っ!」
突然呻きだし、その場で膝を付く霊帝に、アトラが座り込み、様子を窺ってきた。
「心配ない・・・・・・じきに・・・・・・治まる。」
と言った瞬間、突然、霊帝から発した光が二人を包みこんだ。
無駄に長い駄文で申し訳ありませんでしたぁー!






