表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

灯りのあるこの街で (短編集)

みんなが幸せと思えるように

作者: 新垣 電燈

私はこのクラスにいる人全てを幸せにしたい。他の人が不幸せだと自分の気分まで落ち込んでしまう。今はこのクラスにいるのが楽しい。クラスの全ての人と話した。と思っていたが、話してない人がいた。窓際の席の佐渡君である。

彼はいつも休み時間は外を見てボーっとしていて、移動教室も一人で行っている。友達がいないのだろう。なら私が友達になろう!

「ねぇねぇ!佐渡君は何が好きなの?」

私が友達になろうとする人にはまずこれを聞く。趣味が分からないと話しずらいと思うから。佐渡君はキョドりながらもゲームやアニメが好きと答えた。私はゲームはしないがアニメは見る方だ。なので、どんなアニメを見るかとかを聞いた。

それから、佐渡君にいろんなときに話しかけた。休み時間、教室に移動するまでの時間、班行動で時間が余ったときでも。その度に佐渡君はキョドった。人と話すのが苦手なのだろう。落ち込んでいたように見えたので励ますこともあった。


最近佐渡君がおかしい。一緒に移動教室に行こうと誘おうと、佐渡君の席を見ても、そこにはいなく、既に移動教室に行っている。廊下で見かけて、声を掛けようとすると、逃げるように去っていく。そんなに人と話すのが苦手なのだろうか。


そして、とうとう佐渡君が学校に来なくなった。

一体誰が、いつ、佐渡君をいじめたのだろう。いつも佐渡君と話しているとはいえ、下校のときとか一緒にいないときもある。その時にいじめられたのだろう。とにかく、クラスの一人が抜けたまま授業を受けるのは嫌だ。私は学校に行くように説得するため、佐渡君の家に行った。


佐渡君の家は赤崎町のマンションの205号室。階段を登ってると、ばったり佐渡君にあった。声をかけようとしたが、私を見るなり自分の部屋へ逃げるように走って行った。そして乱暴にドアを閉めた後、施錠の音が聞こえた。佐渡君が人間不信になるほどいじめた奴が許せなかった。私はドアの前に立ち、ありったけの説得をした。

「元気だして!誰にいじめられたの?あなたは一人じゃないの!私達で居心地のいいクラスにするよ!どうしてほしい?あなたがいないクラスなんて嫌!苦しいと思うから苦しいの!心の扉を開いて!」

思いつく限り励ました。J-POPの歌詞も言ってみた。しかし、佐渡君は出てこない。

「じゃあ私、佐渡君が学校行くっていうまで、ここを離れない!」

思いきった行動に出たけど、これしかないと思った。


結局佐渡君は出てこなかった。いつまでも待つつもりだったが、佐渡君のお母さんが帰ってきたので、諦めた。

「心配して来てくれたのね。ありがとう。あなたお名前は?うちの子にも伝えておくわ」

「ありがとうございます。2年2組の高橋紗良です」

しかし、佐渡君のお母さんは眉をひそめた。

「えっ…高橋さん?うちの子はクラスに高橋さんがいるから学校行きたくないって…」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ