約束と契約
これが君と始めて出会った物語の始まり……
時代は、中学二年に遡る。
優が居なくなって一年。俺は中学二年になった。
一年の頃から優にべったりだった俺は私立だけあって友達が居らず、優が居なくなってからはずっと一人だった。
二年に上がって一ヶ月の放課後。
丁度その時、俺の目の前で事件が起きた。
いつも通りカバンに荷物を入れ、帰ろうと廊下に出た時、教室に残った複数の男子生徒が椅子に座っている女子生徒の教科書を取り上げたのだ。
まるで、俺が教室から出るのを待っていたかのようだった。
それを奪い返そうと立ち上がって、男子を追いかけようとする女子。しかし、一歩踏み出した瞬間。もう一人が女子の足を引っ掛けそのまま転倒した。
それを大笑いする複数の男子達。
完全ないじめだ。
しかし、他人にほとんど関与しなかった俺は、無視をして帰った。
それに、あそこまで大胆にすると先生は嫌でも気付くだろうと思ったからだ。
しかし、俺の思ったとおり人生はそんなに甘くなかった。
翌日の放課後、先生はいじめの事を何も言わないまま、いつも通りまたしても始まってしまった。
今度は、一人が女子を抑えていた。もう一人が裁ちバサミを筆箱から出した。
もうその時点でやることは分かった。
俺は忘れ物と称して教室の中にUターンする。
すると、男子達は手を止めた。
中の一人は特に分かりやすく、裁ちバサミを背に隠し、口笛を吹き始めたのだ。
俺は「あれえ?」と言いながら引き出しの中をわざとあさぐりながら時間を稼いだ。
しかし男子達は手強いことに帰る素振りを見せない。
このままだと、怪しまれてしまうと考えた俺は、次の行動に出た。
俺は適当な教科書をカバンに詰め。紙にある文章を書いて立ち上がった。
「あれ? 陽菜じゃん! まだ残ってたのか?」
そして、まだ一回も話したことのない、当時の陽菜に話しかけたのだ。
男子達は一斉に俺の方を向いた。
しかし、陽菜はキョトンとしている。
ここでさっきの紙の出番だ。こっそりと陽菜に紙を見せた。
それには『助けてやるから、話を合わせろ』と書いた。
「てか、お前この学校に来てたんだな! てっきり公立に行っていると思ったよ」
そして話を続けた。
どうみても分かり易い嘘だが、男子達は気付いていなかった。
「久しぶりに一緒に帰ろうぜ! 話も聞きたいし!」
「うん……」
我ながら完璧な演技で、陽菜を救出することが出来た。
「ありがとう……」
帰り道、陽菜は悲しそうな顔をして言った。
「気にする事ないって」
「でも私を助けたことで、君にまで......」
「いいよ。別に。こんな無反応なやついじめても楽しくないだろうし」
そう言うと陽菜はクスクスと笑った。
「あ! 笑ったなあ!」
自分で行ったことなのに少し恥ずかしかった。
翌日。俺は男子達から白い目で見られた。まあ、友達が居ない俺を批判の目で見ても痛くも痒くもないんだが。
そして放課後になった。
男子の一人がライターを持って来ていたのだ。
どうやら、髪を燃やすらしい。
俺は昨日と同様、教室に後戻りはした。
しかし、男子達は俺に見せつけるようにしていじめを始めたのだ。
「またヒーローを気取って助けに来たのか?」
そんな悪者的な言葉を吐いた男は陽菜を後ろから押さえつける。
もう一人がライターを髪に近づけ一気にボタンを押した瞬間。
「やめろおおおおおおっ!」
俺は大声で叫び、ライターを持った男に殴りかかっていた。
運が良かったのかライターは不発だった。
「てえな。何しやがる」
男を殴った瞬間。他のやつに抑えられ、やり返しをされた。
「おい、先にこいつの髪からやっちまおうぜ!」
殴った男に髪を掴まれライターを近づけられる。
丁度その時だった。俺の叫び声で駆けつけた教員が複数の教員を連れ、男子達を次々に抑えて行ったのだった。
「陽菜……これから、何が起ころうと……俺が助けてやる……」
声が出なかったがこれだけは伝えたかった。
「だから……今度から俺のそばから離れないでくれ……約束だ……」
「うん……約束だよ……」
陽菜は泣いていた。はっきり見えなかったが、俺の頬に水滴が落ちたので分かった。
俺は殴られた場所が悪かったのか、その場に倒れこんでしまった。
それからずっと陽菜はその約束を守り続け、俺のそばにずっといるのだった。
皆さんこんにちは! 今日は一人でかけとみゃんたさんからやり返しを食らったあるまです!
まあね。今日は七話と言うことでですね。
「なんかこの頃一話一話の話が短すぎじゃね?」とか「ストーリーを長引かせているようにしか見えない」よかいう批判のクレームも殺到しているので、次話からは結構長めに書きます!(キリッ
というわけで皆さん読んでくれてありがとうございました!
今度からはニューあるまに転成させてもらいます!
でわ、次話で会いましょう!
っえ? 七話じゃない?
………………あ……うん……