素晴らしき天然っ子
この場所が君を好きになった場所……
コンクールまで残り一ヶ月を切った七月中旬の土日。
師匠が残したアトリエに俺は篭っていた。
優の為に完璧な絵を完成させるためだ。
完成度はそこそこ、今日優に出来を見てもらおうと思う。
優もいろいろと忙しいみたいなので、毎日は見て貰えない。
今日にたくさんの事を聞くつもりだ。
それにしても優が来ない。
十二時にアトリエに来てくれと言ったのにもう一時ではないか……
まあ優にもいろいろあるから仕方ないと思うが。
腕時計をちらちら見ながら絵を描く。気になりすぎて全く絵の方に集中出来ない。
まさか……忘れられてる……?
いや、優に限ってそんな事はないだろう。何せあいつは約束を必ず守るからな……っと、この話は忘れるつもりだったんだ。
ガチャ。ドアが開く音が俺の耳を騒がせた。
「優。遅いぞ––––っへ?」
そう言いながら振り向いた瞬間。俺は目の前の少女にびっくりしたせいで、かなり恥ずかしい声が出てしまった。
「陽菜……どうしてお前が……」
そう。そこにはお馴染みの天然少女小鳥遊陽菜が居た
陽菜は不思議そうな顔をしてこう言った。
「優ちゃんから桜くんが呼んでるって言われて来たんだけど……」
ハメられた……完全にハメられてしまった。優は忘れてなんかなかった。優の考えはきっと、行けなくなったが行かないのは悪いので他の人を蒼太に会わせよう。と言う作戦だろう。なので、短な陽菜を呼んだのだろう。
「うわあ。これが桜くんの絵かあ!」
目をキラキラさせながら俺の絵を見る陽菜。
「そんなに上手くないだろ?」
そう言えば忘れていたことが一つ。陽菜も同じ学校で絵を描く人間だったんだ。
「そんな事無いよ! 私の方がしたてだもん!」
したて……したてっ!? したてって何!
「優ちゃんと桜くんどっちがしたてなの?」
だからしたてって何!
っは、まさかっ!
「俺の方がしたてだよ」
「やっぱり優ちゃんの方がうわてかあ」
やはり……この子下手をしたてって読んでる……てかさっきうわても言わなかったか!
怖いわあ。天然っこ恐ろしいわあ。
「そう言えば桜くん。用事って?」
おっとそう言えば忘れていた。
優が面倒な事をしているんだった。
「ごめん……用事なんて無いんだ……お前に会いたくなっただけなんだ……」
……っは? 何言ってんだ俺はっ! ちょっ! 何言ってんの俺はっ!
ああ。もう完全に引かれているよ絶対!
「そ、そこまで私に会いたかったなら……言えばよかったのに……」
陽菜は顔を赤くして俯いていた。何故かときめいた。
って、違うんです陽菜さん! 間違えただけなんですって!
これも全部、昨日のテレビのせいだ! この言葉がかっこいいと思った俺が馬鹿だったんだ!
とにかく誤魔化さなければ!
「ほら、あれだよアレ。陽菜の顔が恋しくなっただけなんだって!」
だから何言ってんだ俺はっ!
「今日なら……夜空いてるけど……」
ああ。事態がどんどん悪化して行く……
深呼吸……よし!
「陽菜は優に騙されただけなんだ……」
カチカチカチ……っと時計の秒針が聞こえるほどの沈黙の後に。
「っへ? でも……ええっ!」
陽菜が取り乱した。
陽菜の顔がさっきの倍に赤くなって行くのが裸眼でもはっきり分かった。もうすぐ火を吹くんじゃないかと言わんばかりの赤さだ。
「じゃ、じゃあ、用事って?」
「ごめん……全部優の作り話なんだ……」
いつか、優にやり返ししてやる……
それにしても優は何で来れないのだろうか……この頃ほぼ毎日と言っていいほど何処かに出かけている。
っは! まさか、優に……彼氏が……
いやいやいや! そんなはずは無い。優はほとんどの告白をことごとく潰して来た天才だ。優に限ってそんな事はないだろう。
まあ、帰って来たら聞いてみよう。
それよりも先に、目の前の状況を何とかしよう。
ここまで来てくれたのだから安易に返すわけにはいかない。
じゃあ、まずはどないしよう……
うん。何もないね!
「そ、それにしても懐かしいよね。ここに来たのは中学ニ年生以来だっけ?」
頭の中でぐるぐると考えている俺に陽菜は焦って話を変えようとする。
「ああ、そうだな。あの約束からもう三年か……」
俺も話についていけるように、頭の中をを真っ白にさせた。
約束……それが陽菜にとっての心の支えなのかもしれない……
こんにちは!
みゃんたろうです!
今日はあるまさんが私に全てを託してくれました。
でもほとんどあるまさんが書いてるんで何を書けばいいのやら……
今回も読んでくれてありがとうございます!
あるまさんも皆さんに沢山感謝していると思います!
皆さん! 本当にありがとうございます!
あれれ……ありがとうございますしか言ってない……