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青空のパレット  作者: あるみゃ
夏休みの後半で
18/29

親友

ずっとあなたの側にいる。私たちはそう決めた。


どんな事があろうと、俺たちは永遠の親友だから––––

  優の自称親父さんが来て翌日。家はやたらと静かになった。

  おばさんは俺たちに気を使ってあまり話しかけて来ないし、優は何故かほとんど喋らない。

  いや、訂正だ。理由があった。

「くちゅんっ!」

  可愛らしいくしゃみが隣から聞こえる。

「蒼太。寒い」

  布団に深く入り、身震いする優。

  そう。優は風邪を引いたのだ。

「人のアイスを横取りするからだ」

  それも珍しい夏風邪。

「違うもん。蒼太のアイスが勝手に私の口に入ったんだもん」

  どんなアイスやねん。

「ほら、これで汗拭け」

  俺は優にタオルを手渡しながらそう言った。

「蒼太は拭いてくれないの?」

  予想通りの言葉が返ってきた。

「それ俺が拭いたらただの変態だろうがっ!」

「私は変態蒼太が好き」

  ――え?

「そんな称号が無かったらその告白嬉しく受け取ろう」

  俺は溜息を吐きながらそう答えた。

「嫌だ」

  すっぱり断られた。断る方違くない?

  俺は部屋の外に出て、優が拭き終わるのを待った。

「蒼太。見る?」

  ドア越しから優の声が聞こえた。

「何を?」

「私の体」

「見ねえよっ!」

  今日の優は何かおかしい。

  ピンポーン。

  そんな事を考えていると、家中にチャイム音が鳴り響いた。

「優。そこに服置いてるからそれに着替えててくれ」

  俺は優に聞こえるように大きな声で言って、玄関へと足を運び扉に付いている覗き穴を覗いた。

  髪らしき物が一本見えるぐらいだった

「はい。どちら様?」

  俺は怪しむこともなく、おもむろに扉を開ける。

「ここに優が居ると聞いたんで来たんですけど」

  扉を開けたがそこには誰も居らず、声だけが聞こえた。

  ま、まさかっ! 幽霊の仕業!

「あ、あのぅ……」

  驚いて周りを見ている俺に、またしても幽霊は話しかけてきた。

「こっちですっ!」

  へ? これは幽霊じゃなくない?

  俺は声がする方に恐る恐る視線を向けた。

  そこには、俺の心臓部あたりの背が小さい少女が立っていた。

「あ、すみません……」

  肩ぐらいまでの茶髪で相当小さな少女。てっぺんに見えるアホ毛がひょこひょこと揺らめいていた。

「本当にこんな所に優が居るのかな……」

  少女は小さくそう呟いた。

「えっと……優なら居ますよ? 今は風邪を引いてますが……」

「えっ! 優、居るのっ!」

  少女は大声でそう言って、家の中へと入って行った。

  全然聞いちゃいねぇ……

「悪いな。許してやってくれ」

  少年の声がしたので振り向くと、いつの間にか塀の中に少年が入っていた。

「あなたは?」

「俺は茅野 翔平。さっきのちっこいのが木内 由奈だ。俺たちは柏木の友達だ」

  優の友達……優に友達が居たのか!

「ちっこい言うなっ!」

  少女が家の中から、犬歯を剥き出して少年に反論した。

「そんな事はどうでもいいけど、優の部屋教えて!」

  少女はアホ毛を尻尾のように左右に動かしながら、期待した眼差して尋ねてきた。どうでもいいのか……

  てか、生きてるの? あのアホ毛。

「そこの部屋ですが……」

「分かったっ!」

  俺が指差すと、一瞬で即答して走って部屋に入っていた。

「まったく。初対面になんて物言いだ」

「いえ、いいんです。女の子はあれぐらい元気な方がいいので」

  俺は少女の入って行った部屋を見ながら少年にそう言った。

「はは。君面白いこと言うね。名前はなんて言うんだ?」

  少年は爆笑して俺に尋ねた。

「えっと。桜 蒼太です」

「蒼太か、よろしく。ちなみに俺たち二人は君と同い年だからタメでいいよ」

「あ、ああ。分かった」

  今日。二人の友人が出来た。


「だらっしゃぁぁぁっ!」

  っと、思いたい。

  少女は部屋から出てきたかと思うと、掛け声を出しながら走って来て、いきなり俺に飛び膝蹴りを食らわせた。顔面に。

「優になんて破廉恥な行為してんだぁぁっ!」

  俺の上に馬乗りして、少女はそう言った。

「は、破廉恥っ?」

  部屋の方を向くと、ベッドの上で服を一生懸命着る優の姿があった。

  忘れてた。優、片手じゃ服着れないんだ。

「許すまじ! この男許すまじ!」

  俺の顔面を何度も殴る少女。俺をノックアウトにでもしたいのだろうか。

「誤解だ! 誤解だって!」

  頑張ってもがくものの、少女は剥がれない。

  くそ。なんて馬鹿力だ……

「うがあぁっっ! 仕方ないっ! 優を守るためここに居座ってやるっ!」

  うがあって言ったよ。うがあって……

  ――って、え? 居座る?

「ちょっ! 居座るって何? 何言ってんの?」

  俺は必死にもがきながらそう言った。

「元からそうするつもりだったけどね」

「ちょっ! 茅野までっ!」

「翔でいいよ」

「ああ。分かった。じゃなーいっ!」

  危ない。危うく翔に乗せられるところだった。

「別にいいじゃない! 翔もこう言ってるんだし」

「由奈が勝手に決める事じゃない!」

「誰があたしの事、名前で呼んでいいって言ったぁっ!」

  今度は腹を殴り始めた。

「すみませんっ! 本当にすみませんっ!」

  死ぬ。まじで。

「蒼太、楽しそう」

  優が笑いながら俺の方を見ていた。

「全っ然楽しかないわっ!」

  俺は全力で否定した。

「じゃあ決まりねっ! ずっと居るから!」

  くそ……おばさんなんて言うかな……

  その後、おばさんに状況説明をしてお願いしたが。

「え? 喜んで歓迎するわっ!」

  などと意味の分からない供述をして、すんなり受け入れた。

  この世界に俺の味方なんて居ない。



  いつもと違う朝。

「ほらぁ! 変態っ! さっさと起きろっ!」

  目を瞑っていて分からなかったが、少女の元気な声で少しは分かった。

  いつもと違う朝食。

「これ食べないならあたしが貰いっ!」

「あ、てめ! 由奈、自分のがあるだろ!」

  いつもは聞きなれない少年と少女の声がリビング中を響かせた。

「あらあら、二人とも。たくさんあるから別に喧嘩しなくていいのよ」

  おばさんは、笑いながら言った。

「優。こんなに騒がしくてごめんな」

  俺は優にご飯を食べさせながら、そう呟いた。

「別にいいよ。みんなで居る方が楽しいし」

  優は笑顔で嬉しそうに答えた。

  優の風邪は完治し、いつもの元気を取り戻していた。

「二人ともこう見るとなんだか恋人みたいだな」

  俺たち二人を見ながら馬鹿にするように笑う翔。

「こ、恋人なんかじゃないから!」

「そ、そうだよ翔! そんなんじゃないよ!」

  俺と優は動揺を隠しきれずに震えた声で言った。

「この変態っ! 優に手を出しやがったなっ!」

  まるで男の様な口調で言った木内は俺を椅子から突き落とし、優の前に座る。

「何すんだよ木内!」

「優は絶対に渡さないからっ!」

  俺的に木内の方が優の恋人に見えてきた。

「あれ? 柏木は確か背の高い人が好みだったよな。そんなちっこい背で柏木に匹敵すんの?」

  翔は息が出来なくなるんじゃないかと思うほどに爆笑した。

「ちっこい言うなぁっ!」

「大丈夫。由奈はきっと大きくなれるよ」

  優は木内の肩にポンと手を置き励ました。

「優まで……よし覚えてろっ! 絶対にでかくなってやるから!」

  どんだけ優一筋なんだよっ!

「おばさんごめんね。こんなに騒がしくて」

  俺はおばさんの横に座って、暴れまわる居候者二人を見ながら言った。

「別にいいわよ。こんなに騒がしかったのは夫が生きてた頃以来だから楽しいわ」

  おばさんは笑いながらそう答えた。

  それにしてもいつかテーブルごとひっくり返すんじゃないか? この暴れようは……

「あぁっ! お茶をこぼしたっ!」

  木内がすごい大きな声でそう言った。

  こいつらならいつかやりかねんな……

  いつもと違う空間で俺たちの生活は始まった。あとは、あの人をどうにかしなければならない。


  親父さんを……

こんにちは! あるまです!

こんばんはですね……はい。

暇な時は小説書くのが一番。と思ってましたが、授業中に書いてたら怒られました。

当然ですね。はい。分かってます。



今話を見ていただきありがとうございます! まだまだ続きますので応援お願いします!

あれ? 期日……

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