同じ気持ちを持つ者
この場所で私は絵を描いた……
小学生の頃。四年生の時にクラス替えがあり、運が悪いことに優とは違うクラスになってしまった。
いつも通りの理由で友達が居なかった俺は、授業が始まる前の休み時間が始まると特にやることが無いので机に突っ伏していた。
次の授業は図工。絵を描くらしい。
俺にとって得意分野なので嬉しいが、授業自体は楽しくはなかった。
絵を描くと必ず褒められる。その時は世界ランク百位外だった俺は自分の絵が気に食わず破りたいぐらいだった。
なのに先生から必ず褒められる。
なのでいつもはわざと同レベルの絵を素早く描き先生に提出して、寝るというのが図工の時の日課だ。
ただおかしい事に今日は寝る気がしなかった。
何故か目の前の絵に目が止まったのだ。
いつもは興味が湧かない周りに俺は始めて興味を持った瞬間だった。
その少女の描く絵は自分よりは分からないが、少なくとも周りの人間が足元にも及ばないほど上手いのだ。
その少女は絵を描き終わり筆を置いて、先生へと持っていく。
当然少女は褒められるが俺とは違い嬉しがっていた。
何か羨ましい気がした。
昼休みになり屋上へ突っ走る。
屋上と言うか温室庭園なので小学生には安心して開放している。
しかしまあ、かなり人気がない。
来る人間は読書ぐらいの一、二人程度、寝るのにうってつけだ。
そして最奥には芝生が張り巡らされており天然のベッドが出来上がっている。それに加えて絶対に人が来ないので、ジャストな寝心地を醸し出してくれる。まさに完璧。
と思ったのがつかの間だった。
俺の前にもう誰かがそこに占拠しているのだ。
しかも絵を描いている。
誰かは決まっているだろう。
あの時の少女だ。
「あのさ、ちょっと避けて欲しいんだけど……」
少女の反応は…………ガン無視だ。
まさか芝生のど真ん中で絵を描いているとは。もう寝る範囲が無い……
そんな事を考えながら少女の絵を覗き込む。
半端ない。半端ないほど上手すぎる。色のバランスも絵のバランスも完璧。
文句が言えないほど完璧だ。
しかしまあ庭園を描いているということは避けてもらうわけには行かない。
仕方ない。場所を変えるか。
「待って……」
「っへ?」
服を掴まれ動けない。
「どうした?」
「君……絵描く?」
ドストレートに少女はそう聞いた。
「描くけど……何で?」
理由はだいたい分かっているのだが、何故俺にそんな事を聞いたのだろうか。
「私の絵……感想聞かせて欲しい……」
少女の目は真剣だった。
お世辞はやめて欲しいというまっすぐな目。お世辞などは言えない。
しかし、この絵のどこを突っ込めばいいのだろうか……
全く分からない。
「ごめんね……やっぱり分からないよね……」
そう言うと俺に一言も言わせずに片付けてその場から去って行った。
何だったのだろう。そう思いながら芝生に思い切り倒れ込む。
目を瞑った瞬間。チャイムの音で眠気を遮られた。
「運が悪い……」
思わずそう口ずさんでしまった。
帰りは優と一緒に帰り、今日のことを全て話した。
優は笑っていた。
翌朝。授業でも無いのに何故か少女は絵を描いていた。
「何描いてるんだ?」
近寄って絵を覗き込むと描いていたのは教室の風景だった。
「やっぱり何かがダメなの……自分の絵に満足出来ない……」
完成した絵を何度も眺めながら少女はそう言った。
俺は勘違いしていた。褒められて嬉しがっているので、てっきり褒められて延びるタイプだと思っていた。正反対だ。
この少女は俺と同じで悪い場所を指摘されたかったんだ。
自分と同じ気持ちなら自分でも分かる。それなら––––
「ここ。色使いが荒いからもっと薄くした方がいい」
「え……あ、うん……」
この少女の力になってあげればいい。
皆さんこんにちはあるまです!
みゃんたろうさんからは『悲しくも中間テスト期間に入っちゃったので一人で書いて』などという言葉が来たので
『言いたいことはそれだけか?」という言葉で返してあげました。
あるまって優しぃ。
何て自分で褒めてました。
なので相談することも出来ず、やってしまったのは––––
小学生ってこんな感じだったっけ……
てなことです。
実に小学生は難しいですね。はい。
それともう一つ。
短くなって申し訳ありませんでしたっ!
まだまだ後半で続きますので引き続きよろしくお願いします!
読んでくれた皆様ありがとうございました。
でわまたいつか!