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想造世界  作者: 玲音
第四章 種族争い
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天界への階段

「またまたぁ~、そんな嘘言っちゃってさ!」

「嘘を言ってどうするんですか!」

「・・・・マジ?」


「ええ。神羅さんが確認した時には、既に息が止まっていたようで・・・・」

「僕がいない間に、一体何が起きたの?」


「・・・・実は、幸明と魔光霊命様は、兄妹だったらしいんです」

「ワオ!じゃあ、家族!?」


「あっ、ええ。実は、物凄く仲のいい兄妹だったらしいのですが、

大きくなるに連れて実力差が開き、段々溝が出来て行ったらしいです。

そして、最近になって、種族争いを始めた頃からは、

互いの意見が食い違い、話もしなくなったそうです」


「でっ、でも・・・・これからどうするの?

魔光霊命がいなかったら、僕達、何も出来ないよ!」


「はい。そうしたら、修さんを助けろと言ってました。

天界への道を開くことが出来る笛を渡してあると言っていたので」


「えっ・・・・?」


そう桜っちに言われて、ふと、亜修羅に投げ渡された何かのことを思い出して、

ポケットを探ってみると、やっぱり、銀の笛のようなものがあった。


「こっ、これ?」

「なっ、なんで凛君が持ってるんですか!?」


「一回亜修羅と会ったんだよ。その時に投げ渡されたんだ。

何かは教えてもらえなかったけど、とりあえず、もらっておいたん・・・・」


「行きますよ!」


僕は、最後まで言葉を言わせてもらえずに、桜っちに腕を引かれて走り出す。


「どっ、どこに行くの!?」

「とりあえず、天界へ行く階段を出現させなくちゃいけません!」

「神羅はどこに行ったの?」


「魔光霊命様を病院に預けた後、修さんを助けるらしいです」

「なるほど・・・・で、これから僕らはどこへ?」

「あの・・・・だから、天界への階段を出現させる為に、カンテス湖へ行くんです」


「ああ、あの、聖なる泉と言われてる湖?」

「そうです。急ぎましょう!」


「でも、天界と言うところに行って、何をするの?」

「とっ、とりあえず、カンテス湖に着いたので、僕の言う通りに動いて下さいね」


そう言われて腕を離されたから、僕は笛を取り出すと、大きく息を吐いた。


目の前にはとても大きな湖が広がっていて、その湖の中央には小島があった。

そこには大きな樹が生えていて、聖なる泉と言われてなくても神々しいものを感じる。


それだけでも神秘的なんだけど、さらにそう思わせる理由は、水の色にあったんだ。

普通の水は透明なんだけど、ここ、カンテス湖の水の色は、綺麗な青色なんだ。

それが更に神秘的に思わせるんだよ。


「えーっと、まずは、こうして、こうして・・・・」


桜っちは、一人ブツブツ何かを言いながら、

近くに転がっていた石で魔方陣のようなものを描くと、僕にそこに乗るように言う。


何が起こるのかワクワクしながら立っているけれど、何も起こらない。


「あれ?どうしたの?」

「あっ、そうでした!この塩を・・・・」

「えっ、塩!??」

「じっとしてて下さい!」


なんだかうそ臭いなって思うけれど、一応おとなしく魔方陣の真ん中に立っている。

すると桜っちは、魔方陣の外側の円に、

小さい山にした塩を一定間隔ずつおいて行った。


こんなんで何が出来るのかわからないけれど、やっぱりおとなしく立っている。


「そうしたら、凛君に残りの塩を振りかけるので、目を瞑ってて下さいね」

「えっ、そんな・・・・」

「ごめんなさい、世界を救う為だと思って我慢して下さい!」

「・・・・了解!」


僕は、思い切って目を瞑ると、サッと塩を振りかけられて、しょっぱい。


ため息をついて目を明けようとした時、突然周りが明るくなって、

思わず目が眩んだけれど、眩しくなったのはその一瞬だけだった。


「大丈夫ですか?」

「うっ、うん。でも、これに意味があるの?」


「はい、実はあるんです。

天界への階段を出現させるには、カンテス湖に入る必要があるのですが、

その際に体を清めないと、カンテス湖には入れないんです。

だから、体を清めたんですね」


「なるほど・・・・。で、次の手順は何?」

「次は、カンテス湖に入ってもらえますか?」

「了解!」


僕は、カンテス湖の近くまで歩いて行くけれど、中に入ることが躊躇われる。

入ってもいいと言われても、

こんなに綺麗な湖に足を踏み入れていいものかと躊躇われるんだ。


でも、それじゃあ、天界とやらに行けないから、

なんとかカンテス湖に足を踏み入れるけれど、その水の冷たさが尋常じゃない。

全身が震えるほどに冷たかったけど、

そのままジャバジャバと奥に向かって歩いて行く。


「中央の樹の場所まで行ってもらえますか?」

「桜っちは来ないの?」


「僕は、一応体を清めましたけど、

あんまり大人数で行ってはいけないかと思いまして・・・・」


「そっか。そっちの方がいいかもね。ものすっごい冷たいから」


水が腰の高さまで来た時に、やっと中央にある樹までたどり着いたけど、

これからどうすればいいのかな?


「で、これからどうするの?この樹の植えてある小島に乗っていいの?」


「あっ、ダメです!

その樹に向かってお辞儀をしてから、その樹の周りを三回回って下さい」


「えっ、めんどくさ・・・・」


そうつぶやきながらも、小島の周りを歩く。

けれど、樹の幹が思った以上に太くて、面倒だ。


やっとの思いで三回回り終えると、大きく息を吐いた。


「そうしたら?」


「そうしたら、小島に乗っていいですけど、

再び樹の周りを、今度はさっき回った方向とは逆向きに三回回って下さい」


「・・・・」


何とかため息をつかないように息を止めると、大またで樹の周りを三回回る。


「そしたら?」

「そうしたら、樹の幹に触りながら、願いを込めて、銀の笛を短く三回吹いて下さい」

「わかった!」


やっと笛の出番か・・・・と思いながら樹の幹に触ると、願った。


「どうか、天界への扉を開いて下さい。そして、魔界を助けて下さい!」


小さくつぶやくと、ポケットから笛を取り出し、短く三回吹いた。

すると、突然空が曇って来て、早くも雨が降って来る。


「なっ、何?どうなってるの?」

「凛君、戻って来ても大丈夫ですよ。天界への階段が出現しました」

「了解!」


僕は、安堵のため息をつきながらカンテス湖から出て来て、ふと振り返る。

すると、天界への階段が出現しているのが見えた。

不思議なことに、階段の先は雲を突き抜けていて、

その部分だけは雲が避けるように晴れていた。


「とっ、とりあえず・・・・上る?」

「はい、行きましょう!」

「よしっ、行くぞ!」


桜っちの勢いに乗せられて、僕は大きく返事をすると、

透明に近い金色の階段を上って行った。


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