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想造世界  作者: 玲音
第四章 種族争い
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急展開

「ああっ、恥ずかしい・・・・」


今思うだけでもあの時は恥ずかしい・・・・。

もう、なんと言うか、ため息が出てしまう。


恥ずかしい思いでドームを抜け出して、今は林を走っている。

でも、魔光霊命様を探すことは愚か、亜修羅を外に出す手段すらわからない。

こうやって闇雲に走っているうちにもろくなことがないのに・・・・。


ため息が再び漏れる。

だって・・・・ねぇ?


僕は仕方なく、ドームの方に戻る。

もう一度亜修羅に話を聞けば、何かがわかるかもしれない。


今度は、イライラしてどこかに行かないようにしないとね。


そんなことを考えながら、ドームへの道を歩いていた時、

不意に人の気配を感じ、慌てて隠れる。


「全く、前期族長に逃げられるなんて情けないぜ、同じ警備員として」


「と言っても、もう一人の方は捕まえられたらしいぜ。

そいつは脱走を図ったから、普通の牢屋じゃなく、あの牢獄に閉じ込められたらしい」


「まさか!?あそこに入れられたのか?」


「ああ、生き地獄を味わうから、

率先して死を望む者が多数出ると言われるあそこに閉じ込められたんだ」


「本当か?なら、もう二度と会うことは不可能だろうな。

『地獄監獄』に入れられちまったらなぁ・・・・」


僕は、自然と息を飲むのがわかった。


地獄監獄・・・・どこかで聞いたことがある。

そのどこかよりも、重要なのは、内容・・・・。


地獄監獄と言うのは、その名の通り、地獄のような監獄。

どんな場所かはわからないけれど、まずい場所だったと言うのは覚えてる。

具体的な内容は書いてなかったようだけど、インパクトが残っていた。


僕は、その人達が去った後も、しばらくの間はその場で立ち尽くしていた。

まさか、亜修羅が地獄監獄に入れられてしまったとは・・・・。


どうしようかと迷う。地獄監獄の場所なんて知らない。

でも、魔光霊命のいる場所も知らない。


僕は、もうヤケになって、もう一度ドームに戻ることにした。

もう一回暴れてやろうと思ったんだ。


いや、それは嘘だけど・・・・って、何やってるんだろうな、僕。


ため息をつきながら裏口から中に入った時、

廊下の隅でヒソヒソと話す声が聞こえた為、僕は身を潜めた。

なんだか最近、妙に盗み聞きをすることが多くなった気がする。


「どうやら、魔光霊命様が、このドーム内にいるらしいね」

「本当かよ?あの牢屋に閉じ込められてたんだぞ?」


「でも!なんだか、人間の男の子と妖怪の男の子と一緒に、

例の妖怪の閉じ込められていた牢屋のところに行ったって言ってたのよ!」


「マジかよ・・・・あの、地獄監獄に連れて行かれた奴か・・・・。

なんで抵抗なんかしたんだろうな」


「そんなの私に聞かないでよ!わからないんだからさ。

それにしても、もう、種族争いは終わっちゃうのかな?」


「そうなるんじゃないのか?俺にもわからないが・・・・」


僕は、ある程度の話を聞き終えた後で、さっさとその場を離れると、

たまたま通りかかった神に、亜修羅の閉じ込められていた牢屋の場所を聞いた。


普通なら、敵である僕に素直に教えるはずがない。

でもね、あんな風に暴れた後だと、僕の顔は割れているから、

素直に・・・・いや、怖がりながら教えてくれたんだ。


とりあえず、一番近くにあったエレベーターに乗り込むと、

地下へのボタンを押してため息をつく。

エレベーターは、ちょっと苦手だったりするんだ。

狭い場所に閉じ込められたような気分になるからね。

もし、エレベーターの移動途中に止まったりしたら、大変なことに・・・・。


僕がそんなことを考えている時、不意に、ガタンッとエレベーターが揺れた。

その揺れで、とても不安になって、エレベーターの階数表示を見るけれど、

電気がついていないようで、ボタンを適当に押しても反応しない。

そして困ることが、神の世界のエレベーターには、

非常用の電話マークのボタンがないんだ・・・・。


僕は、それを確認して大きくため息をついた。

まさか、こんなところで邪魔が入るなんて・・・・。


しばらくの間ボーッとしていたけれど、ハッと我に帰って天井を見上げる。

しかし、上に出入り出来るような場所はない。

と言うことは、強引にエレベーターの扉を開けるしかないのかな?


僕はため息をつくと、大きく息を吸って扉を蹴ろうとしたその時、

再びエレベーターが大きく揺れて、僕はバランスを崩して転んだ。

大きく振りかぶっていたから、転んでしまったんだ。


「痛ったいなぁ~」


思い切り頭をぶつけてしまってため息をつくけれど、

エレベーターが動いてくれたから、まぁよしとしよう。


頭を押さえながらよろよろと外に出ると、激しく口論しているのが聞こえる。

何かと思ってそちらの方に歩いて行くと、誰かが突き飛ばされて、しりもちをついた。

気になってそちらの方に走って行くと、桜っちだってことがわかった。


「おおっ、桜っち、お久しぶり!」

「あっ、凛君!」

「どうしたの?色々あったみたいだけど・・・・」


「魔光霊命様が・・・・」

「魔光霊命がどうしたの?」

「とっ、とにかく、ここから逃げましょう。危ないですから!」


よく状況も読めないまま、桜っちに腕を引かれて窓から外に出ると、

どこかに連れて行かれる。


「一体どうしたの?」

「魔光霊命様が、殺されてしまいました!」


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