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想造世界  作者: 玲音
第四章 種族争い
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一足遅かった・・・・

「ところで魔光霊命様。その格好のままでよろしいんですか?

バレたら、また捕まってしまうのでは?」


「いいえ、それはないでしょう。あなた達が助けてくれると信じていますから!」


そう嬉しそうに言われて、僕らは、お互いに顔を見合わせてため息をつく。

だって、僕らだって守ろうと思うけど、限度ってものがあるんだから。

もしものことを考えた方がいいのに・・・・。


「ところで、どこに向かってるんだよ?」

「妖狐亜修羅の閉じ込められているところです」

「えっ、わかるんですか!?」


「ええ、牢屋から出していただければ、一応神ですからね。

一人の者の居場所を捜すことぐらい、簡単な事です」


「そうか!じゃあ、族長は生きてんだな!」


「ええ、多分生きていると思います。

昨日居場所を確認したので、今日もやってみましょう」


そう言って、魔光霊命様は立ち止まり、目を瞑って何かをブツブツ言っている。


「大丈夫でしょうか?」

「・・・・どうなんだろうな。俺、族長が死んだら、どうすりゃいいんだよ・・・・」

「でも・・・・信じましょう!」


そう小声で話しているものの、

魔光霊命様の様子が変なので、やっぱり嫌な予感がする。


「魔光霊命様・・・・大丈夫でしょうか?」


痺れを切らして話しかけると、魔光霊命様は目を開いて、僕らの方に向き直った。

その表情は、さっきまでの表情と違って、微妙に曇っているのがわかる。

やっぱり何か・・・・。


「どうしたんだよ!何かあったのか・・・・?」

「なぜか・・・・感じ取れないのです。気配が・・・・」

「それって、どう言うことですか?」


「・・・・この世に既にいないのか、それとも、私の力の及ばない場所にいるのか」

「それならまだ、死んだってことじゃないんだな!」


安心する神羅さんとは裏腹に、未だに顔が晴れない魔光霊命様の様子が気になるけれど

とにかく、信じようと思う。


「とりあえず、昨日感じた居場所まで行きましょう。

そこから何かがつかめるかもしれません!」


「はい!行きましょう!」


僕は、出来るだけ元気に答えたけれど、みんなの雰囲気が悪い。


「・・・・どうやら、この場所にいるようですね」

「この、ドームのような場所ですか?」

「ええ、ここの地下の牢屋に閉じ込められているようよ」


「よしっ、行くぞ!」

「あっ、少し待って下さい」


そう言うと、魔光霊命様は前に進み出た。

すると、今まで重く閉ざされていた扉が自然と開いて、

そのまま中に進んで行くから、僕らも慌てて後をついて行く。


「これからどうするんですか?」


「ここの牢屋は地下にあります。

ですから、会場の裏側を通り、エレベーターに乗って地下へ下りましょう」


「そんじゃあ、まずは、俺が先に偵察に行って来るぜ」


そう言って神羅さんがドームの中に入って行く為、

僕らもドームの入り口の近くまで近寄る。


しばらくそっちを見ていると、

神羅さんがドームの中を覗いたまま手招きをして来た為、

僕らも慌ててドームの中に入る。


ドームの中は、意外にも人通りが少なくて驚いたけれど、

それは僕らにとっては好都合だった為、先頭の神羅さんの後について行く。


しばらくしたらエレベーターにたどりついたけど、

その途中、何回か魔光霊命様の正体に気づかれそうになった。

でも、神羅さんが慌てて気絶させて部屋に閉じ込めて来たから、多分大丈夫だと思う。


「ん?地下なんてないぞ?」

「ああ、ここです」


そう言って魔光霊命様が押したボタンは、

Bと言う不思議なボタンと、二階のボタンだったんだ。


「これで地下にいけるんですか?」

「ええ、確かにそう教わったわ」

「幸明って、何者なんだろうな?」

「・・・・ただの愚か者です」


神羅さんの言葉に、強張った表情で魔光霊命様が言った。

その様子がおかしいとわかったのか、

神羅さんも、それ以上幸明のことについて何も言わなかった。


「さぁ、着きました。ここに、きっと彼はいるはずです」


魔光霊命様の言葉を信じて、僕らもエレベーターを降り、廊下を歩き出す。

そして、一つの部屋に入ると、驚いている看守に話しかける。


「ここに、一人の妖怪を閉じ込めましたよね?どこにいるのですか?」

「まっ、魔光霊命様・・・・・どうして?」


「私は、そんなことを聞いているのではありません。

妖狐亜修羅はどこにいるかと聞いているんです」


「そっ、それは・・・・」

「答えないと、痛い目に合いますよ」


「痛い目とは、どう言うことですか?」

「それは・・・・」


そう言って振り返った魔光霊命様の動きが止まり、思い切り相手を睨みつける。


僕らも慌てて後ろを振り返ると、そこには、

背が高くて、全体的に白を主体とした洋服に身をまとっている若い男の人がいた。


「こいつ、誰だよ?」

「神域の神、幸明です」

「えっ・・・・」

「素っ気ないですね、魔界の神、魔光霊命・・・・いや、我が妹、魔光霊命」


その言葉の後、沈黙が続いた。


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