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想造世界  作者: 玲音
第四章 種族争い
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運命を変える者

最初の凛君は、探検にでもいくようなテンションだった。しかし、今では・・・・。


「さっ、さむっ・・・・そして、怖っ」

「凛君、そんなにしっかり腕を摑まないで下さい、ちょっ、痛いです!」

「いやいや、人のぬくもりに接していないと、くじけそうになるのさ」


「確かに、今までの城も不気味でしたが、ここは物凄く不気味ですものね」

「声が響くし、寒いし暗いし、嫌だ~~~」


とか言いながら、僕の腕をしっかり摑んでいるものの、

ズンズンと前に進んでいくから、その言葉が嘘のように聞こえる。


「凛君、戻りましょうよ?なんだかまずい雰囲気です」

「だってさ、この先に何かがある予感がする。だから、行くんだ」

「えっ、何かを感じるんですか?」


「おうよ!な~~んかを感じる!」

「その何かってわかりますか?」


「う~ん、再会出来るかもしれない」

「えっ、誰とですか?」


僕がそう聞いた途端、今まで僕を引きずるほどの勢いで歩いていた

凛君が足をとめて、うつむいた。

何かいけないことを言ったかと思うけれど、思い当たる節がない。


自然と僕もうつむいていると、急に凛君が振り返って僕の肩を叩くから、

思わず声を上げてしまう。


「大丈夫だよ!何とかなる!」

「なっ、何がですか?」

「この先に、希望の光りを感じる」


「希望の光りとは、一体・・・・?」

「大丈夫だって!なんか、滅茶苦茶勇気が湧いて来たんだ!」

「はっ、はぁ・・・・」


なんだかよくわからないけれど、凛君が元気になったからいいかなと思う。


「よしっ、怖いけど、頑張るぞ!」

「はっ、はい!その意気です!」


僕も自然と元気になって、体が温かくなって来る。


気分が落ち込んでいたりすると、自然と体も冷たくなるみたいだ。

だけど、ワクワクしたりすると、自然と体が温かくなって来る。

そうなると、自然と「よしっ、頑張ろう!」って気持ちになれるんだ。


ワクワクした気持ちで地下通路を歩いていると、

今まで薄暗くはあったけど、まだ前が見えてる状態だったのが、

急に真っ暗になって何も見えなくなってしまった。

そのせいか、自然と寒気がしてくる。


すると、突然グラグラッと物凄い揺れが起きて、地面に膝をついて頭を守っていると、

揺れは収まったけれど、何が起こったのか全くわからない。


「なっ、何!?」

「どっ、どうしたんでしょうか?」

「とっ、とにかく行こう!」


「でも、何も見えなくなってしまっては、前に進めないんじゃないんでしょうか?」

「うーん、とりあえず、進もうよ」


凛君がそう言った時、突然腕を冷たい何者かに摑まれて、思わず悲鳴を上げる。


「シーッ、黙ってろ。今から出口に連れてってやる」


そう言われて、カチッと音がなって見えた顔は、神羅さんだった。


それを確認すると、大きく息を吐いた。

今は、懐中電灯で顔が見えているからいいけれど、

真っ暗なところで突然腕を摑まれたら、普通驚くよね?


「し、神羅さん、凛君はどうしたんですか?」

「えっ、確かに・・・・あいつはどこなんだ?」


そう言って、神羅さんが懐中電灯の光を泳がせるけれど、凛君の姿が見あたらない。


多分、凛君から気を逸らしたのは、ほんの数秒前だ。

それなのにどこにも姿が見えないと言うことは、消えてしまったとしか考えられない。


「それにしても神羅さん、どうして僕らがここにいるって知ってるんですか?」


「知ると言うか、城の中で、俺たちの種族と戦闘種族が戦いを始めて、

どこにも隠れる場所がないから、どこかないかと探していたら、

変なレバーを見つけて、それを引き下ろしたら扉が開いたと言う訳だな」


「それなら、出られないですね」

「ああ。いずれ、ここも見つかるだろう。だから、早く出口に向かった方がいい」

「そうですか・・・・それなら」


僕は、神羅さんの方を向いたまま、一歩を踏み出した。


と、突然地面が消えてしまったかのように足場がなくなって、

僕は下に落ちて行きそうになった。


しかし、とっさに神羅さんに腕を摑んでもらって、なんとか宙吊りでも助かった。


「はっ、はぁ~、助かりました」

「おい、まだ助かった訳じゃないんだぞ!」

「それでも・・・・」


その時、神羅さんがなんとも言えない声を上げた。

「うわぁっ」と言うか「おわぁっ」と言うか。

とにかく、そんなような声を上げられた為、

自然と、何かまずいことが起こったんだとわかった。


「なっ、何かあったんですか?」


そう言った途端、直ぐ近くで神羅さんの声が聞こえた。


「落ちた」

「えっ!?」

「俺の踏んでいた床も、突然消えた」


「それなら、僕達は死んじゃうんですか?」

「わからない。もしかしたら、凛もこうして消えたのかもしれないぞ」

「えっ、でも・・・・」


その途端、何も見えなくなった。








「いたたたた・・・・全く、地下通路って、こんなに脆いものかね?」


僕は何とか起き上がると、背中を摩る。そして辺りを見渡した。

そこは、どこかの建物のような場所だった。


よくわからないけれど、人の話し声が聞こえた為、

僕は、近くにあった扉の中に隠れると、息を潜めた。


一応、今までの過程を説明しておくと、

僕は、錬賭君を守る為に戦った。そこまでは覚えてる。

だけどそこからは覚えていなくて、桜っちに会ったところまで、全く記憶がない。

だから、何が起こったのかわからないんだ。


そしてさっきは、突然桜っち達が消えてしまって驚いていると、

真っ暗になって今のような痛みを味わうことになったと言うことだ。


ため息をつきたい気持ちも山々だけど、

それ以前に、ここがどこなのかがわからないから、

とりあえず、人の気配もなくなったことだし、出て行こうとした。


しかし、不意に人の気配を後ろから感じて振り返ると、

鉄格子越しに、何者かがこちらを見ていることに気づいた。


ここは薄暗いから、僕も相手も、お互いの顔が見えていない。

だけど、一応見ていると言うことだ。


「お前は何者だ?ここに何の用がある?」


その声を聞いて、自然とその鉄格子に近づいて行くと、思わず声が漏れた。


「・・・・本物?」

「凛か?」


そう言われて、確信した。

今、鉄格子越しに見える人は、格好すら違うけれど、亜修羅だってわかった。


「また会ったね!」

「もう、二度と会えないなんて言ってない」


「言ったじゃないか!

もう、二度と会えないかもしれないって言ったじゃないか!嘘つき!!」


「落ち着け。丁度いい、お前に頼みがある」

「なっ、何!?」


さっきは怒鳴ってしまったが、久しぶりに会った訳だし、

怒鳴ることもなかったかなと思いながら聞く。


なんと言うか、ツンデレって言うのかな?こう言うの。

本当は嬉しかったりするけれど、恥ずかしくて言えないって言うの。


おおっ、なんだか、珍しいくらいに亜修羅の気持ちがわかったぞ・・・・。


僕がそう思って嬉しそうな顔をしていると、

亜修羅が不思議そうな顔をして見ている為、自然と笑顔を浮かべる。


「で、頼みって何?」

「ああ、魔界で起こっている種族争いの真実は知ってるか?」

「・・・・へ?」

「その様子だと、知らないようだな。なら、わかり易く説明してやる・・・・」


亜修羅がそう言った時、不意に、僕が入って来た扉が開きそうになった為、

亜修羅がハッとした顔になり、ポケットから銀色の何かを取り出すと、

僕に投げ渡し、一言言った。


「魔界の命運は、お前に任せた!」


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